緊急地震速報で誤報、原因は調査中


 8月25日6時37分頃、気象庁から緊急地震速報(警報)が発表された。対象地域は千葉県、茨城県、東京都23区、神奈川県東部、埼玉県南部だったが、震度1以上の揺れは観測されず、誤報となった。

 緊急地震速報(警報)とは、震度5弱以上の地震が発生すると予測した場合に気象庁から発表されるもの。発表された情報は、交通機関や通信事業者、放送局などへ伝達され、電車の運行を一時的に見合わせたり、携帯電話へ配信して注意を促す。

 今回もNTTドコモやauのユーザーに対して通知が行われたほか、公共交通機関が一時的に運転を見合わせ、遅れが出るなどの影響があった。気象庁では「今回の誤報で、国民の皆様に大変ご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします」と陳謝している。

緊急地震速報の仕組み、今回の経緯

 緊急地震速報は、地震発生直後に震源近くの地震計で得られた観測データをもとに、震源や地震の規模(マグニチュード)を推定し、さらに各地の震度を予測する。その仕組み上、地震が発生してから発表されるため、地震を予知するわけではない。

 気象庁が25日10時半に発表した資料によれば、25日6時37分に千葉県東方沖を震源とする地震の発生をキャッチ。その後、約1分間で8回、地震波をキャッチしている。1回目は6時37分28.1秒で、最大震度2程度以上と予測された。続く第2波は0.6秒後に届き、さらに第3波が6時37分33.5秒に観測され、千葉県北東部で震度4程度という予想がはじき出された。その0.3秒後である6時37分33.8秒に観測した第4波により、千葉県北東部、茨城県南部で震度4から5弱程度になるとの予測になり、この時点で一般向けの緊急地震速報が発表された。

 このときの地震は、千葉県東方沖で深さ20km、マグニチュード4.1という規模だったが、震度1以上の揺れが観測されず、結果的に今回の緊急地震速報(警報)は誤報となった。気象庁によれば、緊急地震速報発表に用いたのは、茨城県八郷、銚子天王台、千葉三芳、伊豆大島にある観測点だが、このうち、千葉県南房総市にある千葉三芳観測点から異常な振幅値データが送出されたため、地震規模が大きく算定された。原因は現在調査中で、千葉三芳観測点は、緊急地震速報向けの運用が停止されている。今後、詳細が判明次第、あらためて発表される。

今回の緊急地震速報(警報)発表に用いられた観測点

 

【追記 2009/08/25 18:05】
 気象庁が25日17時に発表した資料によれば、千葉三芳観測点から異常な振幅値のデータが送出された原因は、8月24日に行ったソフトウェア改修に不具合があったため。同観測点の震度計機能について、ソフトウェア改修を行ったところ、改修対象外の緊急地震速報に関する処理についても作業が行われてしまい、振幅を過大に送出するようになっていた。既に同観測点のソフトウェアは正常なものに復旧しており、緊急地震速報向けの運用が再開されている。

 



(関口 聖)

2009/8/25 11:47