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見るだけでロック解除、虹彩認証搭載でフルスペックの「ARROWS NX F-04G」

 NTTドコモから発表された「ARROWS NX F-04G」は、世界初とする虹彩認証機能を搭載し、ARROWSシリーズのフラッグシップモデルに位置付けられる富士通製のAndroidスマートフォン。5月下旬に発売される予定。実質負担価格は5万円程度になる見込み。

「ARROWS NX F-04G」 Iris Green

スマホ初の虹彩認証機能

 「ARROWS NX F-04G」は、インカメラなどが配置される正面の上部に虹彩認証専用のデバイス「Iris Passport」を搭載している。Iris Passportは今年3月にバルセロナで開催された見本市「Mobile World Congress」に富士通が出展していたものの実用製品版で、3月の展示では既存端末をベースに外付けモジュールを追加していたが、F-04Gでは完全に本体に内蔵されている。

 Iris Passportは虹彩認証専用の赤外線カメラと赤外線LED照明からなり、暗い場所でも認証を行えるのが特徴。F-04Gでは左から近接センサ(発光部と受光部)、赤外線照明、通常のインカメラ、右の少し離れたところにIris Passport用のカメラと配置されている。

 Iris Passportのカメラは赤外線のみを映す単色で、画素数も少なく、利用者の顔の両目だけを映すくらいと画角も狭いため、通常のインカメラとは兼用にはなっておらず、自分撮りにも利用できない。

 赤外線カメラで利用者の眼球を撮影し、その表面に見える虹彩(瞳孔の周囲の黒目部分)の模様で個人識別をする。虹彩と瞳孔は周囲の明るさによって大きさが変化するが、Iris Passportは形状の変化があっても虹彩を識別できるという。

 利用するには、パスコードやパターン、指紋同様に、最初に虹彩の登録を行なう。登録はカメラが眼球を認識する位置で数秒待つだけで終了するが、このときはメガネを外しておく必要がある。登録後の認証ではメガネを着用していても問題はない。

 認証時には画面上にIris Passportのカメラからの映像が表示されるので、F-04Gや顔の位置を調整し、両目が写るようにすると認証が行なわれる。展示機で試したところ、ほぼ一瞬で認証できていた。カメラの位置に慣れると、スリープ解除とほぼ同時にロック解除ができる。

 F-04Gには実際にロック設定をしなくても虹彩認証を試せるように、「虹彩認証体験」というデモアプリが搭載される。これはデモ機用のアプリではなく、販売される商品にもプリインストールされる。

 虹彩認証は従来のARROWSシリーズの指紋同様、生体認証ができなくなった場合に備え、パスコードやパターンロックと併用する形になる。ロック解除手段として使えるほか、今シーズンの生体認証搭載端末の共通仕様であるdマーケットなどでのdocomo IDや決済時のパスコード入力の代わりに使ったり、富士通独自のセキュリティ機能、プライバシー機能、パスワードマネージャー機能にも使える。

 ホーム画面は標準ではドコモのdocomo LIVE UXとなっているが、富士通のNX!ホームも標準搭載している。富士通独自のメーラーや電話帳アプリはプリインストールされない。プライバシーモードの一部機能は富士通製のホーム画面やアプリが必要となる。

 富士通独自のセンシング技術「ヒューマンセントリックエンジン」を強化して搭載している。従来機種同様、NX!ホームでは時間帯や場所に応じてよく使うアプリを自動分析し、ホーム画面上にレコメンド表示する「パーソナルアシスト」を搭載する。さらに「アシストナビ」という新機能を搭載する。こちらは時間帯や位置情報をログとして記録し、たとえば平日の朝であれば通勤先が行き先として予測され、目的地を手動入力することなく、NAVITIMEのアプリでナビゲーションを利用できるというものになっている。

近接高速通信の「TransferJet」を内蔵

 F-04Gは非接触高速データ通信規格の「TransferJet」の機能を内蔵する。TansferJetは非接触IC並の超至近距離でデータ通信をするという規格。Wi-FiやBluetoothと異なり、かなり近づく必要があるが、ペアリング手続きは不要で混信の影響も少なく、実行最大で375Mbpsという高速通信が特徴となっている。

 F-04Gでは写真などの共有メニューに「TransferJet」の項目が用意されている。たとえばF-04G同士で写真を転送するときは、転送元F-04Gの共有メニューでTransferJetを選択してデータ送信待機状態にし、転送先F-04GのTransfetJetアプリを起動してデータ受信待機状態にし、お互いのTransferJetアンテナを近づける。お互いの機器が認識されると、送受信の許諾ボタンが表示されるので、それをタップすることで転送が開始される。

 デモ機では約1MBの写真がほぼ一瞬で転送されていた。F-04Gでは4K動画の撮影にも対応するので、そうした巨大ファイルの転送にも向いているという。

 ディスプレイは5.2インチ、2560×1440ドット(WQHD)ドット、570ppiの液晶で、MHL 3.0を利用して画面をテレビなどに出力できる。フロントパネルにはゴリラガラス3が採用されている。

 アウトカメラは約2150万画素で、5群5枚のレンズとExmor RSセンサ、富士通独自のGRANVUエンジンを組み合わせている。フォーカス速度が改善していて、水平よりも上を向いているときは遠景、下を向いているときは近距離を優先的にフォーカスさせる仕組みも導入されている。インカメラは240万画素。

 文字入力システムの「Super ATOK ULTIAS」は、最新キーワードへの対応をはじめとしたアップデートが行われている。

 ドコモの新サービスとして「PREMIUM 4G」をサポートし、受信最大225Mbpsの通信に対応する。また、「PREMIUM 4G」とWi-Fiと組み合わせるマルチコネクションやファイルのダウンロード時などに最大16のセッションに自動分割する機能、Wi-Fi MIMO(11ac)にも対応する。TD-LTEにも対応し、ローミング時に利用できる。

 このほか、おサイフケータイ、NFC、Bluetooth 4.1、ANT+、Miracastなどにも対応している。ワンセグ/フルセグ/NOTTVの地デジ放送に対応し、伸縮アンテナも内蔵しているため、アダプタなどを付けずにテレビを視聴できる。

 OSはAndroid 5.0。VoLTEに対応する。チップセットは「Snapdragon 810」で、オクタコアの「MSM8994」。メモリ(RAM)は3GB、ストレージは32GB。メインカメラは2150万画素、インカメラは240万画素。バッテリー容量は3120mAh。赤外線通信、防水、防塵に対応。SIMカードはnanoSIM。最大128GBまでのmicroSDXCカードに対応。

 大きさは146×70×8.8mm、重さは約155g。ボディカラーはIris Green、Black、Whiteの3色。前面パネルは全色ブラックがベースとなるとが、上端のアルミパーツ部分やIris Passportカメラのリングなどもカラーバリエーションごとに異なっている。microUSBポートは防水キャップ型だが、充電は卓上ホルダで行える。

Black
White

白根 雅彦

太田 亮三