ニュース

「BALMUDA Phone」発売後の反響に寺尾社長「想定外だった」

 バルミューダ代表取締役の寺尾玄氏は10日、2021年12月期の決算説明会の席上で、同社初のAndroidスマートフォン「BALMUDA Phone」への反響について「想定外だった」と述べた。

寺尾氏

 同社のスマートフォン事業は、2021年5月に発表された。そのことを伝えた当時の本誌記事にも大きな反響があり、Twitter上では期待を寄せる声が多数見受けられた。一方、実際に製品が発表されると、厳しい声が数多く挙がった。

 寺尾社長は、「ネット上での逆風は、私が未熟だったのかもしれないが、想定していなかった。(その直後の)数週間は、私の頭のなかは、なぜそうなったのか仮説を立てることもできなかった」と衝撃を受けた様子を語る。

 同氏は、その後、多くの人に会い、店頭にも立って何が起きているのか理解しようと努めたという。

 そうした想定外の事象があったものの、実際に使っている人からは、フィットするという声も寄せられているとのことで、ネット上の評判を含め、最近では旗色が変わり始めているという実感を得つつあるという。

値下げは「思い描いていた姿と乖離しており、多くの人に手にしていただくため」

 10日の決算説明会の直前、ソフトバンクから直営店限定ながら、ほぼ半額への値下げが発表された。

 寺尾氏は、BALMUDA Phoneの販売状況に、「私たちが望んだ状況とかけ離れている。ソフトバンク側も同様にお考えだと思う。その背景に、ネット上のネガティブなご見解というのが、大きな影響を及ぼしているなと考えている。その一方で、実際にお使いになられた方は、もちろん合わない方もいますが、生活にマッチする場合、とても顧客満足度の高い端末になっているというデータもある」と説明する。

 寺尾氏の説明は、「使ってもらえれば高く評価する人がいる」というもの。つまり、値下げおよびバルミューダ側が実施するキャンペーンは、BALMUDA Phoneを使う人そのものをもっともっと増やしたい、と考えた上での取り組みだという。

2022年度の見通し、新製品分はまだ含まず

 2021年にスマートフォン事業への参入を発表した際、27億円の売上という予想が示されていたが、今回の発表では28.4億円になったと発表。

 決算短信では主要顧客として、ソフトバンクから約27.6億円との情報が示されているが、寺尾氏は「上振れ分はSIMフリー版か?」という問いに「そのとおりです」とシンプルに回答する。

 2022年の携帯端末事業の売上高は、約10.8億円と、21年度の61.9%減という予想が示された。ただし、これは開発中の新製品分はまだ含まれていない。

 寺尾氏は「(BALMUDA Phoneについて)さまざまな声をいただいています。で、これらをどう咀嚼して(新製品に反映して)我々なりに仕上げていくのか、さまざまなパターンを検討して開発を進めているところ。ただし、やはりバルミューダは『普通のものは作ってはいけない』と考えている」と語る。

 新製品開発で注力するのは、どれだけユーザーの生活が良くなるのかという点。

 BALMUDA Phoneへの評価はまだ確定していない、という寺尾氏は「(厳しい)ネット上の評価、評判があります。なんですが、私達が聞いている実際のユーザー様の声と、少し種類が違います」と説明。BALMUDA Phoneでの体験を踏まえた新製品開発について、「次の一手を決定するのが、いま難しい状況でもある。いくつかのパターンで考えている。ただ、普通の携帯電話でありません」と述べ、挑戦を続ける姿勢を示す。

 寺尾氏は「アプリ、サービスは非常に有用。ハードだけではなく、ソフトウェアとの組み合わせ、あるいはソフトウェア単体でお客さまへ貢献できないかといった研究も始めている」とも述べた。