ニュース

スマホの位置情報でバス運賃支払いなどの実証実験、徳島県鳴門市でKDDIら7者

 KDDI、JR四国、徳島バス、全日空、日本航空、イーストとくしま観光推進機構、徳島経済研究所の7者は、徳島県鳴門市において観光型MaaSの実証実験を開始した。期間は2022年1月31日まで。

 同実験「くるくるなるとデジタル周遊チケット」では、徳島県鳴門市の鳴門公園周辺を実施エリアとして、3種のデジタルチケットを提供。スマートフォンでの支払いや施設への入場が可能な観光型MaaS(Mobility as a Service)の実証を行う。

 「バス スマホタッチ支払い」「JR・徳島バス フリーパス」「なると観光チケット」の3つの取り組みが行われる。

位置情報からバス運賃を計算

 バス スマホタッチ支払いでは、実証期間中に実証実験のエリアを運行する徳島バスの路線バス車内に設置されたNFCのタッチプレートにスマートフォンをかざすだけで乗車区間を判定し運賃を自動精算。あらかじめスマートフォン登録しておいたクレジットカードで支払いができる。

 これにより回数券や現金が不要となる。乗車・降車の判定には、スマートフォンの位置情報を利用。専用のアプリのインストールは必要ない。位置情報にはジェノバの高精度GNSS測位補正の技術を用いており、KDDIによると、高精度なGNSSを用いたバスの位置情報による運賃の計算の仕組みは日本初の試み。

 大都市圏で一般的な交通系ICカードは導入・維持ともにコストが多く、バス事業者にとって負担が大きいことが課題となっている。一方、今回用いられる仕組みであれば、1/6~1/3程度コストを下げられる見通しという。

 また、外国人にとって整理券方式は利用のハードルが高く、今回の方式でそれを代替できれば、アフターコロナを見据えた観光需要にも応えられる。

 利用可能エリアは、徳島県鳴門市 徳島バスの鳴門公園線、鳴門線、鳴門藍住線、鳴門郵便局前バス停~鳴門公園バス停の区間。

スマホでフリーパスや観光施設入場

 JR四国線の徳島駅~鳴門駅間の普通列車と徳島バス・徳島市バスの路線バスが利用区間内で乗り放題となる。

 乗車は、スマートフォンを利用したデジタルフリーパス。徳島県には大阪や四国の他県からの観光客が多く、そうした他地域からの来訪者の需要に応えられる。料金は大人2000円、子供1000円。有効期限は利用開始から2日間となる。

 加えて、「なると観光チケット」では、鳴門公園エリアを中心とした11カ所の観光施設のデジタルチケットを購入できる。各観光施設の入り口で、スマートフォンの画面上に表示されるチケットを見せることで、対応する施設へ入場でき、スムーズな入場が可能となる。

 利用可能施設は、うずしお汽船、うずしお観光船、大鳴門橋遊歩道 渦の道、大鳴門橋架橋記念館 エディ、エスカヒル鳴門、門前一番街、大塚国際美術館、鳴門天然温泉あらたえの湯、鳴門市ドイツ館、鳴門市賀川豊彦記念館、アオアヲ ナルト リゾート。

 このうち、エスカヒル鳴門は12月の開館予定となっている。

 推奨環境は、いずれの仕組みもiOS 14以降(iPhone XS以降)、Android 8.0以降。

ANAアプリなどとも連携

 これらに加えて、徳島阿波おどり空港発着の航空チケットを持っている場合、ANAアプリおよび全日空のWebサイトで「空港アクセスナビ」を開くと条件選択画面および検索結果画面からくるくるなるとデジタル周遊チケットにアクセスし、チケットを購入できるようになっている。

課題洗い出し商用化につなげたい

 鳴門市は、鳴門海峡の渦潮をはじめとして、徳島県を代表する観光地。一方で、鳴門公園の周辺エリアでは、クレジットカードや交通系ICカードなどが未導入となっている。

 こうしたことから、渦潮などの主要な観光地をめぐる観光モデルが多く、鳴門公園周辺エリアの観光消費低迷が課題となっている。加えて、感染症拡大により影響を受けた観光産業では、キャッシュレス移行によるアフターコロナにおける産業回復に期待が高まっているという。

 KDDIでは、今回の実証実験を通して課題を洗い出し、商用化へつなげたいとしている。