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エリア整備を怠ける携帯会社のMVNOには電波貸し出しの義務なし――総務省がガイドライン改定

 総務省は、「MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン」(MVNOガイドライン」)を改定した。新たに「MNOが手掛けるMVNO」に対し、フェアな競争ではない状況であれば、競合他社が電波を貸し出す義務がないことが追記された。

MNOとMVNOとは

 全国各地に基地局を設置して自社でサービスエリアを構築する携帯電話会社は「MNO」(モバイルネットワークオペレーター)、そしてそのMNOから電波を調達して携帯電話サービスを手掛ける企業は「MVNO」(モバイルバーチャルネットワークオペレーター)と呼ばれる。

 MVNOガイドラインは、携帯電話市場の競争を促すため、新たなMVNOが増えるよう用意され、市場の変化にあわせ、たびたび改定されてきた。

MVNOも手掛けるMNOに対して

 今回の改定では、「MNO等によるMVNOの兼営」、つまり自社でサービスエリアを手掛けるMNO自身が、MVNOとしてのサービスを手掛ける場合についての考え方が追記された。

 現在、国内市場を見ると、KDDI子会社のBIGLOBE(ビッグローブ)、ソフトバンク子会社のLINEモバイル、そして楽天モバイルがNTTドコモから回線を調達している。LINEモバイルはau回線も利用している。

 ガイドラインでは、 MNO、またはMNOの関係法人などが競合他社のネットワークを利用して、MVNOを運営することは、法律上、禁止されていない といった表記が新たに追加。

 その記述に続いて「MNOは限られた電波を割り当てられており、電波の有効活用が求められていることを踏まえると、MNO自身が自らネットワークを構築することが原則」と指摘する。

 そして、MNOが手掛けるMVNOが、フェアな競争に対して 著しい弊害を引き起こしている場合は、業務改善命令の対象になる と記されている。その「著しい弊害」の例として、 基地局整備を怠ける場合 が挙げられている。その場合は、「MVNOからの接続の求めに応じる義務」から外れると明記された。

 3月18日~4月16日までに実施された意見募集では、NTTドコモがガイドライン改正の方向に賛意を示していたほか、ソフトバンクとKDDIが「『クリームスキミング』(美味しいとこどりの意)に繋がりかねない」と指摘し賛同していた。