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政府、新型コロナ拡大防止に「位置情報や検索履歴の統計データ」の提供求める

 政府は、プラットフォーム事業者、携帯電話各社を念頭に、新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐことを目指して統計データの提供を要請した。

 要請は内閣官房IT総合戦略室、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室、総務省、厚生労働省、経済産業省による文書で公開された。内閣官房IT総合戦略室によれば、プラットフォーム事業者はグーグルやヤフーを想定。具体的なスケジュールは定めておらず、情報が提供され次第、なるべく早く活用していく。

総務省の報道資料より

 提供を求めるデータの例として、ユーザーの移動を示すデータや、サービスの利用履歴が挙げられる。どちらも個人情報の状態で提供するのではなく、個人の属性を排した統計データに限られる。検索に用いられたワードと位置情報を組み合わせることで、たとえば発熱した、薬など新型コロナウイルス感染症との関わりがあるようなワードが一時的に急激に伸びた地域が判明する、といった効果を狙っている。

 これにより、クラスターと呼ばれる集団感染の封じ込め対策や、外出自粛要請などのソーシャルディスタンシング(社会的距離確保)などの効果検証、今後の政策制度の向上が図られる。

各社のコメント

携帯3社

 NTTドコモは、まだ調整中としつつも、同社の携帯電話ユーザーの位置情報をもとにした統計データ「モバイル空間統計」を提供する想定とコメント。具体的には国内人口分布統計(リアルタイム版)と訪日外国人の人口分布統計を準備中という。そのほかは「要請に基づき、適宜検討してまいります」としている。モバイル空間統計のリアルタイム版は1時間前のまでのデータを1時間ごとに確認できるもの。また訪日外国人のデータはリアルタイム版はなく、過去に遡ったデータの提供が想定されている。

NTTドコモのモバイル空間統計で1月から提供されているリアルタイムの人口分布統計

 KDDIは「感染拡大を防ぐことが最重要と考え、個人情報保護法などの法律の範囲内で当社も対応していきます」としている。

 ソフトバンクは「要請内容を確認の上、対応を検討する」とした。

プラットフォーム事業者

 グーグル広報は「Google では、統計的な集計データを活用した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策支援を検討しています。いずれの方法においても、厳格なプライバシープロトコルに則りあらゆる個人情報を共有することはありません。今後、進展がある場合には別途お知らせいたします」とコメント。

 またヤフーは「お客様のプライバシー等を十分に保護することを前提に、ビッグデータの力で新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策に貢献できる方法がないか、検討させていただきます」としている。

 ドコモのみ他社よりも踏み込んだ内容だが、そのほかの企業は、すぐさま政府の要請に応えるという内容ではなく、個人情報そのものへの配慮を示しつつ、要請を検討する方針となっている。