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「Pixel 4」で「Motion Sense」が利用可能に、画面に触れずに音楽操作など

 Googleは、同社のAndroidスマートフォン「Pixel 4」において「Motion Sense」(モーションセンス)の機能を4日から日本でも順次提供する。

 「Motion Sense」は、Pixel 4に搭載されたレーダー「Soli」によるジェスチャー機能。画面に触れることなく、手を振るだけでさまざまな機能にアクセスできる。国外ではすでに提供されていた機能だが、日本国内でこれまでは利用不可となっていた。今回、国内で提供される機能は、海外で提供されるMotion Senseと全く同じものという。

 Motion Senseを利用することで、画面に触れずに音楽の曲送り、曲戻しなどが可能になる。また、Androidの機能「Always on Display」を人が近づいた時にだけオンにすることで、バッテリー消費を抑えるなどの効果もある。また、着信時に画面の前で手を払うことで、着信拒否や手を近づけることで着信音が小さくなるなどの動作が可能になる。

 このほか、Motion Senseを有効にしていると、顔認証センサーが端末を持ち上げる前からオンになり、フェイスアンロックが高速で行える。

 Soliが取得した情報はオンデバイスでのみ処理され、Googleのクラウドなどにデータが送信されることはないという。また、GoogleによるとサードパーティのMotion Sense対応は現在検討中とした。

「Pokemon Wave Hello」でピカチュウに手を振ることもできる

 Motion Senseを使用するには設定の「システム」から同機能を手動で有効にする必要がある。

デバイスがより“人間らしく”

 Motion Senseの発端は5年前に始まった「Project Soli」だとGoogle プロダクトマネージャーのBrandon Barbello氏は紹介。

Brandon Barbello氏

 コンピューターは、黎明期の1部屋ほどのスペースも必要とする業務用のマシンに始まり、今やテクノロジーは人間の生活に密着したものとなった。しかしBarbello氏は「“人間らしく”なったかというとまだ疑問が残る」と語る。

 Soliで目指したのは、デバイスが周辺の空気を読むこと、ボディランゲージを理解することでより人間に近づくことだという。Soliは、ほかのセンサーのように録音や画像の記録をしないためセキュリティ面においてもメリットがある。

 Soliの開発にあたっては2つの困難が立ちはだかった。そのうちの1つは「小型化」。レーダーは大きなセンサーであることが多く、Soliの開発当初も大きな箱型から始まった。開発の過程で工夫を重ね、いくつものプロトタイプを制作し最終的にはPixel 4に収まるレベルのサイズまで小型化に成功した。

 2つ目は「データ処理」だ。レーダーが検知するのは「動きのかたまり」で、手に入れたデータの扱い方に苦労したという。カメラやマイクが目や耳に例えられるのと違い、「レーダーはもっと複雑」とBarbello氏。

 しかし、試行錯誤を重ねる過程で信号処理の問題を解決でき、その後はダイヤルを指先で回したり、ゲームのキャラクターを指先で動かしたりなどの動作の実験を繰り返した。この内のいくつかはポケモンの壁紙「Pokemon Wave Hello」にも活かされているという。

 その後は、スマートフォンのみならずスマートウォッチに応用する実験や、実際に「Pixel 2」を改造してSoliを組み込むなどのテストを行った。

 使い勝手がシンプルで、ほかの作業をしていても簡単にコントロールできるSoliやMotion Senseはほかの端末に導入することも検討しているという。また、Barbello氏は「Pixel 4はあくまでも始まり。Soliはテクノロジープラットフォームとなるだろう。さまざまな端末の可能性を考えられると確信している」と語った。

Google アシスタントに新たな機能も

 Motion Senseと同時にPixel 4向けのGoogle アシスタントにも新たな機能が加わった。英語以外の言語では日本語版が最初の提供になるという。

池田大介氏

 今回のアップデートでは、アラームのセットがより素早くできるようになったり、YouTubeなどアプリの起動やWi-Fi、設定などが高速化された。斜めにスワイプするというアシスタントの呼び出し方は、Android 10のジェスチャーナビゲーションと統合された新たな形になる。従来の音声やアクティブエッジによる呼び出しも引き続き対応する。

 Google ソフトウェアエンジニアの池田大介氏によると、ユーザーのリクエストの処理の一部をクラウドではなくデバイス側で行うことにより、高速化を実現したという。

Google アシスタントはこれまでもさまざまな機能を提供してきた