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年頭所感2020:ソフトバンク宮内社長

年頭所感

ソフトバンク株式会社
代表取締役 社長執行役員 兼 CEO
宮内 謙

ソフトバンク株式会社 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 宮内謙氏(2019年11月撮影)

 あけましておめでとうございます。

 2018年12月に東証1部に上場し、2019年は上場企業として始まった1年でした。この1年間は、成長に向けて「Beyond Carrier」戦略の実行にスピーディーに取り組み、今後の10年に向けて布石を打ってきました。

 通信事業においては、競争環境が日々変化していく中で、「ソフトバンク」「ワイモバイル」「LINEモバイル」の三つのブランドがそれぞれにポジションを確立し、顧客基盤を堅調に拡大することができました。スマートフォンの市場は成熟したといわれますが、「1億総スマホ」の時代に向けてまだまだ成長の余地は大きく、この1年でPayPayが急激に普及したように、スマートフォンの利用シーンは日々広がっていきます。今後、スマートフォンはあらゆるサービスの起点となり、さまざまなネットサービスが集約されたスーパーアプリが重要な鍵を握ることになるでしょう。この時代の流れを大きなチャンスと捉え、さらなる成長を実現するために、ヤフー(現Zホールディングス)の子会社化やZホールディングスとLINEの経営統合に向けた合意など、グループ全体で「Beyond Carrier」戦略をより強力に推進するための手を打ってきました。さらに新たな領域でも、MaaS時代のプラットフォームを構築するMONET Technologiesや、成層圏に次世代通信システムを構築してどこでもつながる社会を目指すHAPSモバイルなどが本格的に始動しました。また、成長領域に人員をシフトする構造改革においては、昨年から全社で4,000人のデジタルワーカーを創出するプロジェクトを開始しました。この構造改革は成長戦略を加速させる重要な取り組みとして、今年も継続的に取り組んでいきます。

 今年はいよいよ5Gが世の中に本格的に普及していく年です。われわれは、3月末ごろから5Gの商用サービスを開始します。5Gによって、さまざまな業界でデジタライゼーションが急速に進み、産業界全体が大きく変わっていきます。これまでの、人と人がつながる世界から、人とモノ、モノとモノがつながるIoTの世界になり、そこから得られるビッグデータの活用が企業の発展において重要な鍵となります。AIによってビッグデータを分析して活用することで新しい価値が生まれ、あらゆる産業が再定義されることになるでしょう。われわれは、5G、IoT、AIの三つのテクノロジーを中心に、各産業で新たなビジネスモデルを創出するとともに、社会課題の解決を目指していきます。また、今秋に本社を移転する竹芝地区においては、新本社をAIやIoTを活用したスマートビルにするだけでなく、街全体で5Gやモビリティー、ドローン、ロボティクスなどを活用する最先端のスマートシティーの構築に取り組み、社会課題の解決の最前線としてモデルケースを生み出していきます。

 デジタライゼーションが進む世界で、通信ネットワークは重要な社会インフラになっており、あらゆるモノがつながる5Gの時代において、その役割は一層増していきます。われわれは、その通信ネットワークを基盤に、人々の生活や産業を変える新領域のビジネスに挑戦し、経営理念である「情報革命で人々を幸せに」の実現に向けてまい進していきます。

 今年もソフトバンクをよろしくお願い申し上げます。