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総務省「モバイル研究会」第23回開催、最終報告書を提出へ

 総務省は12月25日、「モバイル市場の競争環境に関する研究会」(モバイル研究会)の第23回を開催した。これまでの議論を踏まえた最終報告書案について説明され、構成員による意見交換が行われた。

最終報告書骨子案から大きな変更はなし

 これまでの流れとしては、12月17日に開催された第22回で最終報告書骨子案が出され、骨子案に対する構成員の意見を反映させた最終案が今回提示された。

 内容としては、利用者料金に関する事項として「改正電気通信事業法の施行」「行き過ぎた囲い込みの是正」「端末市場の活性化」「通信料金等の総額表示の促進」「広告表示の適正化」「改正法施行後の状況の評価・検証」、事業者間の競争条件に関する事項として「5G導入当初(NSA構成段階)における課題」「本格的な5G時代(SA構成段階)における課題」「eSIMの普及への対応」「接続料算定の適正性・透明性の向上等(中間報告書の指摘への対応)」について報告される。

 最終報告書骨子案から最終報告書案までに大幅な変更はなく、5G(NSA)の接続料は4Gと一体的に算定する方向性、eSIM契約における本人確認の対応などについて追記、文言の修正が行われたほか、構成員の意見が複数追加された。

 最終報告書案に新たに盛り込まれた構成員の意見としては、販売代理店における適切な業務の確保について「出店している地域によって、各代理店が置かれている環境、客層が異なるので、各地域のニーズにあった多様な代理店の在り方を考えていくことが必要」、改正法施工後の評価・検証について「5G時代に向けてネットワークサービスが多様化していく中で、単純な価格の比較ではなく、事業者が提供するサービスの価値に見合った料金が設定されているかという観点も重要」などの意見がある。

モバイル研究会に関連した取り組みの進捗状況

 モバイル研究会の指摘に基づく主な取り組みの進捗状況としては、10月の改正電気通信事業法施行に合わせて通報窓口を開設。販売代理店の届出制度については、2019年内が既存代理店の届出期限となる。

 SIMロック解除ガイドラインは11月22日に施行され、まずは端末単体購入の場合に新ルールが適用されている。2020年4月には通信契約を伴う場合を含めて全面適用される。

 残債免除プログラムの見直しについては、10月10日にソフトバンクがプログラム名を変更し、半額という表現を撤回する形で対応。11月1日にはKDDIが新基準に対応したプログラムの提供を開始した。

 MVNOの接続料の見直しについては、パブリックコメントが終了し審議会の答申を受けた段階。1月頃に省令を交付、2020年4月の将来原価方式導入を目指す。

 UQコミュニケーションズおよびWireless City Planning(WCP)への二種指定制度の適用時期は2020年4月となる。

 中古市場の活性化については、中古端末のSIMロック解除義務化に始まり、11月28日に民間のガイドラインが改定され、2020年2月頃から認証制度の運用が開始される。

構成員の所感

 これまでの内容を踏まえた最終段階の取りまとめということもあり、構成員からは最終報告書の内容に関する指摘や意見は少なく、会議そのものも短時間で終了している。一方で、一連の議論を終え、所感を述べる構成員も。

 北俊一氏は、「市場を見ていると10月1日から明らかに違うフェーズになった」とコメント。端末が安いから変える、儲かるから変えるといった「無駄なMNPが減った」と表現し、料金プランそのものの魅力や付加サービス、アフターサービスの価値でキャリアが選ばれるようになったことは概ね研究会の狙い通りだと述べた。

 大橋弘氏は、今後の状況を評価していく必要性に言及し、エビデンスに基づいた通信政策を実行していくべきだと語った。座長の新見育文氏は、まずは“通信サービスとしての”競争条件を整える必要があったと述べ、制度整備は第一歩だとした上で、サービス内容の拡充など今後起きる競争に期待感を示した。