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「5Gは新たな扉を開くもの」 ドコモが描く5Gが実現する世界

 ドコモは18日、都内のホールで5Gプレサービスの発表会「5G OPEN DAY」を開催した。ドコモの5Gプレサービスは9月20日に開始予定。同発表会は提供されるサービスなどが紹介され、NTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏が5Gで実現する世界のビジョンを語った。

5Gのスタートと位置づける

 発表の冒頭、吉澤氏は、台風15号により被災した地域に対して、「心よりお見舞いを申し上げます」と述べ、ドコモ携帯電話が一部地域でつながりづらい状況が発生していることについて、「1日も早く被災前の通信環境を復旧する」とした。

吉澤和弘氏

 ドコモの5Gプレサービスは9月20日スタートする。しかし、吉澤氏は「料金はいただかないが、プレサービスは実質的に5Gを本格開始する日だと位置づけている」と語った。プレサービスではコンシューマー向けにも、5G本サービスと同じ環境を提供するとしたほか、ビジネスにおいても5Gを利用したソリューション開発が本格的にスタートする日でもあるとした。

 吉澤氏は「5Gってもうあの日から始まっていたよね、と思えるほどの密度の濃い期間にしていきたい」と5G、並びにプレサービスについての熱意を示した。

 ドコモでは、5Gを新しい生活や社会への扉を開くものと捉えている。「5G OPEN」は今日最も伝えたいキーワードだと吉澤氏。パートナーとはさまざまな可能性を実現していきたいとも。

スマートフォンのあり方が変わる

 ドコモが描く可能性とはどのようなものなのか。5Gの特徴を改めて記すと、高速、大容量、多数接続が挙げられる。これらを活かして実現できることは、音楽、ゲーム、スポーツ、観光などにおける新たな体験、社会的課題解決のソリューションの開発であるとした。

 ドコモは、5Gスマートフォンをハブとして周辺デバイスと連携して新たな世界を体験する世界「マイネットワーク構想」を描いている。デバイスだけではなく、スポーツやライブなどのコンテンツ開拓を行い、新たな体験を提供するとしている。

 新たな5Gサービス創出のためにxR領域での取り組みを強化するという。すでにxR技術似強みを持つMagic Leapとの連携を行っており、自宅で手軽に臨場感あるスタジアムやショッピングセンターの再現などが構想にある。将来的には家の外でもMRグラスを日常的に使用する時代を描いている。

 そうした5Gで実現するサービスの一環として、ドコモは20日にラグビーワールドカップのマルチアングル観戦を提供する。また、音楽、観光などでさまざまな新体験を用意する。

 また、第32回東京国際映画祭での施策のほか、9月20日から東名阪の一部のドコモショップなど(d garden五反田店、ドコモショップ丸の内店、ドコモスマートフォンラウンジ名古屋、ドコモショップグランフロント大阪店)で5Gのサービスの体験コーナーを設置する。年内には十数店舗に拡大するという。

パートナーとの共創

 ドコモでは2018年2月から「ドコモ 5G オープンパートナープログラム」を通じて、さまざまな社会課題の解決に向けての取り組みを行っており、パートナー企業は3000社を超えた。

 現時点で、200ものトライアルを行い、実際のビジネススタートに向けた具体的な議論が着実に進んでいる。パートナーからも5Gを早く使いたいという声が多く、実現に向けた取り組みを加速していく。

 また、9月20日から「ドコモ オープンイノベーションクラウド」の提供を開始する。5GとLTEを使用するドコモ独自のクラウドサービスで、低遅延かつセキュアなネットワークで社会課題解決に向けた取り組みを推進し、パートナーとの共創を加速するものだという。

 加えて、ドコモ 5Gオープンラボを4拠点から11拠点に拡大する。全国のパートナーとともに5Gを利用した課題解決に向けた取り組みの加速を狙う。

 発表会では、課題解決に向けた取り組みの一例として、ワコムと日本ゴルフ協会が紹介された。

井出信孝氏

 ワコム 代表取締役社長兼CEOの井出信孝氏は、創作活動におけるニーズの解決について紹介。ユーザーの新たなニーズがどんどん出てきており、画面だけでなく3Dでの創作、複数のスタジオ同士での共同制作、フリーランスやアマチュアの安全なネットワークソリューションなどが挙げられた。

 時間や場所に限られない制作ツールとして、xR空間に最適なインプットデバイスを開発、ドコモの5Gに接続する新たな創作環境サービスを実現した。自動車のデザインなどに活用すればクレイモデルをする必要がなく、内装のデザインも可能という。これは、遠隔地にいるデザイナーとの共同制作にも使用できるという。

倉本昌弘氏

 日本プロゴルフ協会からは、倉本昌弘氏が説明。ゴルフ業界はプレイヤー数の低迷に直面しており、若者の呼び込みなど人口増加が急務とされている。ドコモとの協業で開発したのは5GとAIを使用した遠隔レッスン。スイング映像をAIにより解析、結果をもとにコーチが映像で指導するシステム。倉本氏はこれからドコモとの協力で活性化に取り組みたいとしている。

 「30年来ゴルフをやっているがなかなか上手くならない……」という吉澤氏も期待を寄せる。

プレサービスでは全周波数帯を

 ドコモが総務省から割り当てられた、sub6で3.7GHz帯、4.5GHz帯とミリ波の28GHz帯をプレサービス時点でフル活用していく。これは日本ではドコモだけだと吉澤氏。

 高速大容量という5Gのポテンシャルを活かせる28GHz帯について、遠くまで飛ばすにはさまざまな技術要件が必要。ドコモでは、ネットワークベンダーからミリ波の準備を行い、環境を整えたとしている。

 また、基地局の展開については、2024年に基地局数を2万6334局、基盤展開率は97.02%を目指すとした。しかし、これらの数字はあくまで実現できる最低限の数字。前倒しも計画しており、ドコモの総力を結集して取り組むと吉澤氏。2020年度Q1までに47都道府県に5G基地局を展開、さらに1年後には1万基の展開というプランとしている。

 また、ドコモはLTEでもコアネットワークの40%を仮想化している。ドコモでは、5Gでは完全仮想化を目指している。さらに、無線アクセスネットワーク側でも親局は仮想化を検討しているという。加えて、複数のベンダーの相互接続も推進する。これにより低コストで自由度の高いネットワークを目指すとしている。

来年は大きな転換期

  吉澤氏の「5G OPEN」の声とともに、会場が暗転した後に光に包まれるという演出の後にプレゼンテーションは終了。「2020年はドコモにとっても日本にとっても大きな転換期。私も今からとても興奮している。5Gですべての可能性が、ひらかれる。ドコモの5Gにご期待ください」と締めくくった。

日本の5Gは遅れていないと思う

 プレゼン終了後の囲み取材に応じた吉澤氏は、5Gの料金について「5Gの用の料金については、今の延長線上のようなものも考えられるし、新たなものもあると思う。検討中で決まっているものはない」とした。また5G端末の価格については、「最初の5G端末はフラグシップ機になると思う。価格は4G端末の価格も考慮する。他国では5G端末を極端に値引きしていることもあるが、そこまでいくかはわからない」という。

 また、商用の5G端末については、秋冬モデルとは別に発表で来春頃になるかと思うとした。日本は5G開始が遅れているのではという指摘については「そこは焦る必要はないと思う。海外でも5Gでのキラーコンテンツ、キラーサービスはないと思う。ローンチ時にはなにか明確なものを用意したい」とした。

 また、総務省の有識者会合でも議論に上がったSIMロックについて、「端末料金分離という中ではSIMロックはちょっと違うのでは。回線契約上の制限を端末に転嫁しているようにも思える」とも語り、端末値引き2万円については「ずっと2万円かはわからない。販売の健全化が図れたら変わることもあるかと思う。次世代の端末が高価で手に入れられないというのであれば、浸透を図る意味でももう少し安い手段をということで(総務省に)働きかけはしていきたい」とした。

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