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iPhone 11はどれだけ高速? 歴代iPhoneのプロセッサー性能を比較

 「iPhone」シリーズのチップセット(プロセッサー)は、「iPhone 4」以降はアップルオリジナルの「A」シリーズが採用されている。クロックスピードやコア数などの詳細スペックやシステムメモリ容量(RAM)は公表されていないが、それらはApp Storeで入手できるベンチマークアプリでプロセッサーの処理能力やシステムメモリ容量を知ることが可能だ。

 この記事ではベンチマークアプリ「Geekbench 5」で調べたベンチマークスコアなどを基に、過去のモデルと「iPhone 11」シリーズのプロセッサー性能差予測を解説していく。なお、ここでは最新のGeekbench 5が動作する「iPhone 5s」以降の「iPhone」を掲載する。より古い「iPhone」のデータについては、昨年の記事を参照いただきたい。

モデル名発売日チップセットメモリ(RAM)iOSサポートベンチマークスコアスコア比
iPhone 1119年8月A13不明最新不明不明
iPhone 11 Pro19年9月A13不明最新不明不明
iPhone 11 Pro Max19年9月A13不明最新不明不明
iPhone XR18年10月A123GB最新11141.17倍
iPhone XS18年9月A124GB最新11051.18倍
iPhone XS Max18年9月A124GB最新11111.17倍
iPhone X 17年11月A113GB最新8941.45倍
iPhone 8 17年9月A112GB最新8731.49倍
iPhone 8 Plus17年9月A113GB最新9291.40倍
iPhone 716年9月A102GB最新7161.82倍
iPhone 7 Plus16年9月A103GB最新7171.81倍
iPhone SE16年3月A92GB最新5002.60倍
iPhone 6s15年9月A92GB最新4982.61倍
iPhone 6s Plus15年9月A92GB最新5682.29倍
iPhone 6 14年9月A81GBiOS 12まで3074.23倍
iPhone 6 Plus14年9月A81GBiOS 12まで3273.98倍
iPhone 5s13年9月A71GBiOS 12まで2465.28倍
Geekbench 5の画面

 ベンチマークスコアは誤差が大きく、測定するたびにかなり数値が変動する。なのであえて複数回計測して平均を取ることはせずに、明らかにおかしな数字だったときを除いてほぼ1発計測としている。とくにマルチコアのスコアはバックグラウンドタスクなどの影響か、安定的な測定が難しいので、ここでは比較的安定するCPUシングルコアのスコアだけを掲載する。

 アップルは自社のチップセットの性能について、しばしば「Axxに比べてxx%向上」のような言い方をしているが、Geekbenchの数値はこのアップルの公称する比率と10%くらいの誤差に収まることが多いので、そこそこ信憑性のある数字だと思っていただきたい。

 今回の「iPhone 11」シリーズに搭載されるチップセットの「A13 Bionic」は、A12比でCPU/GPUともに20%向上したとされている。なので「iPhone 11」シリーズのGeekbench 5のCPUシングルスコアは1330前後ではないかな、と大雑把に推察できる。そこで表中には、スコア1330の仮想モデルが各モデルの何倍なのかの比率も表記している。今使っている「iPhone」に対して「iPhone 11」が何倍の性能を持つか、あくまで推測の範疇ではあるが(ここ重要)、参考にしていただきたい。

iOSのアップデートはいつまで?

iOS 13アップデートで足切りされたiPhone 6/6 Plus/5s。iOS 12のベンチマークスコアもかなり厳しい数字だ

 プロセッサーの世代は、「iOSがいつまでアップデートできるか」というポイントにも直結する。iOSは毎秋のメジャーアップデートのたびに、古い機種からサポート対象外となっていく。OSが最新でなくなると、セキュリティアップデートもできなくなるばかりか、アプリも正常に動作しない、機能が全部使えないといったことにもなる。OSアップデートが終わったら、それは買い換えタイミングと考えよう。今秋のiOS 13では、2014年9月発売A8世代の「iPhone 6」が足切りされ、アップデート対象から外れた。

 毎年1世代ずつ足切りされるとは限らず、たとえば今年は「iPhone 6」と「iPhone 5s」の2世代が同時に足切りされている。これまでの例を見る限り、だいたい発売から5~6年でOSアップデートができなくなっている。もっとも、ここ数年はプロセッサー世代間の性能差が少ないので、今後、OSアップデートが7年以上続くというケースも現われるかもしれない。このあたりも確実なことは何も言えないので、予想が外れても困らないような買い換え計画を立てよう。

 現行ラインナップには「iPhone XR(A12チップ)」や「iPhone 8(A11チップ)」が廉価モデルとして残されているが、それらはOSサポート寿命が1年2年と短くなる可能性があることに注意しよう。

 さらに注意が必要なのは、「iPhone」ではないが、「iPhone 11」と同時に発表された「第7世代iPad」だ。「第7世代iPad」は3世代遅れのA10チップを使っている。春先に発売された「iPad Air」や「iPad mini」は、A12チップを使っているので、そちらよりもOSサポート寿命が2年短いかもしれないのだ。早期の買い換えを想定したお試し「iPad」としては悪くないが、「iPad」をそれなりに使いこなしていて、長く使える「iPad」が欲しいときは、「第7世代iPad」は避けることをおすすめする。

今後はメモリ消費の大きいアプリが登場するかも?

geekbenckではメモリ容量やコア数、クロックスピードなども調べられる(正しいという保証はないけど)

 アップルはシステムメモリー容量を公表していないが、ここは同一世代でも上位モデルとスタンダードモデルで違うことがあるので注意が必要だ。筆者の調べた限りだと、「iPhone XS/XS Max」は4GB、「iPhone XR」は3GBとなっていたので、「iPhone 11」は3GBか4GB、「iPhone 11 Pro/11 Pro Max」は4GB以上と予想される。

 システムメモリー容量はマルチタスクに影響がある。具体的には、メモリーが足りないとアプリの切り替えや起動、文字入力時にもたつきを感じる場合がある。

 iOS 13ではiOS 12に比べると、システムメモリー容量が1GBの「iPhone 5s/6/6 Plus」がサポート対象外となり、サポート対象は2GB以上のモデルのみとなった。しかし現行モデルとして残っている「iPhone 8」も2GBなので、2GBモデルのサポートは当分続くだろう。

 ちなみにiOS 13と世代のiPadOS(今年初登場なのでナンバリングなし)は、2014年10月発売の「iPad Air 2」や2015年9月発売の「iPad mini 4」もサポートしている。「iPad Air 2」と「iPad mini 4」は、iOS 13で足切りされた「iPhone 6」と同じA8チップ(Air 2は強化版のA8X)を搭載しているので、本来なら同じタイミングで足切りされそうなところだが、「iPad Air 2」と「iPad mini 4」はシステムメモリ容量が2GBとなっている。iOS 13/iPadOSの足切り条件は、プロセッサーではなくメモリだった、とも考えられる。

 1GBと2GBは2倍の差なので、OSアップデートの足切りになるのは仕方ないところだ。2GBと3GBは1.5倍の差なので、それに比べるとマシだが、それでも昨今のプロセッサーの世代差(1.2倍くらい)に比べると、大きな差である。将来的に(4年くらいは大丈夫だと思うが)2GBモデルが足切りされることがあるかも知れない。同一世代のプロセッサーを搭載していてもシステムメモリー容量が異なるケースは多い。そこをベースにモデル選びをする必要はないと思うが、念のため気にとめておくと良いかも知れない。