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「鹿島アントラーズ」の経営権をメルカリが取得、日本製鉄や鹿行地域との関係も継続

 メルカリは、Jリーグクラブ「鹿島アントラーズ」の取得を発表した。30日に行われたJリーグ理事会で承認され、同日に緊急会見を開いた。

左から、日本製鉄 執行役員 津加宏氏、鹿島アントラーズ・エフ・シー 代表取締役社長 庄野洋氏、メルカリ 取締役社長兼COO 小泉文明氏

 鹿島アントラーズは住友金属工業蹴球団を前身とするJリーグ初期からのクラブ。国内三大タイトル(J1リーグ、Jリーグカップ、天皇杯全日本サッカー選手権大会)の最多優勝回数を誇り、2018年にはAFCチャンピオンズリーグの優勝も経験している。

 2019年現在は、新日本製鐵と住友金属工業の合併によって発足した日本製鉄(旧社名:新日鐵住金)とその子会社が、クラブの運営会社である鹿島アントラーズ・エフ・シーの発行済株式の72.5%を保有する。メルカリは、鹿島アントラーズ株の61.6%を日本製鉄グループから取得して子会社化する予定。株式譲渡後の持株比率は、メルカリが61.6%、日本製鉄が11.0%、地方自治体が10.8%、その他企業が16.6%となる。

2017年からスポンサーだったメルカリ、日本製鉄は今後も経営に関与

 メルカリは、2017年から鹿島アントラーズとオフィシャルスポンサーを務めてきた。今後はホームタウンである鹿行地域(鹿嶋市・潮来市・神栖市・行方市・鉾田市)と手を組みつつ、メルカリの事業運営・組織運営のノウハウを活かした新たな事業展開を図り、世界に打って出る「常勝軍団」をビジネス面でバックアップしていく。

 また、メルカリの事業全体から見たメリット、鹿島アントラーズへの経営参画の理由としては、メルカリやメルペイといった他事業の顧客層の拡大やブランド力の向上につながること、新たなビジネス機会の創出を挙げる。

 日本製鉄は今後も、第2位の主要株主として引き続き経営に関与する。同社と行政、地元企業が一体となってクラブを立ち上げた歴史や理念を尊重し、オフィシャルスポンサーとしてのサポートを続けていく。

質疑応答:ドコモとの関係、メルカリを選んだ決め手

 会見では、鹿島アントラーズが今シーズンからオフィシャルスポンサー契約を結んでいるNTTドコモとの関係は続くのかという質問が挙がった。メルカリの小泉社長は「メルカリと通信事業者であるNTTドコモの得意分野は少し違う。両者のシナジーでデジタル化やその先のサービスを展開していきたい」とコメント。なお、ドコモとのスポンサー契約が締結された2019年2月時点では、5Gを活用したスマートスタジアムなどの構想が示されている。

 また、新たな経営パートナーとしてメルカリを選んだ理由を問われた鹿島アントラーズ・エフ・シーの庄野社長は、「ホームスタジアムを変えないこと」「クラブの理念を尊重するパートナーであったこと」が理由だと明かした。小泉氏はこれに補足する形で、自身の父親が鹿行地域の出身であること、子供の頃に完成したばかりのスタジアムで鹿島アントラーズの試合を観戦してファンになったことなど、クラブやホームタウンへの思い入れを語った。