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翻訳機「KAZUNA eTalk5」、2年間使えるグローバルSIMを同梱

KAZUNA eTalk5

 TAKUMI JAPANは、翻訳機「KAZUNA eTalk5」に2年間のグローバル通信に対応したSIMカードをセットにして1月25日より販売する。価格は2万9880円(税抜)。約10万秒の音声翻訳が可能で、本格的にルーターとして使用する場合は別途データチャージする必要がある。

 KAZUNA eTalk5は、3.5インチ、854×480ピクセルのディスプレイを装備した英語、中国語、韓国語、フランス語など72言語に対応した翻訳機。精度が高いオンライン翻訳に加え、電波が届かない場所でも利用できるオフライン翻訳に対応する。音声翻訳のほか、文字を撮影して翻訳できる「撮って翻訳」(8言語対応)、同端末同士でチャットする形で利用できる「チャット翻訳」といった翻訳機能が利用できる。

 LTE対応のモバイルWi-Fiルーターとしての機能も用意されており、最大6台まで同時接続できる。対応バンドは、FDD-LTEがB1/B2/B3/B5/B7/B8/B19/B20/B28B、TDD-LTEがB38/B39/B40/B41、W-CDMAがB1/B2/B5/B8、TD-SCDMAがB34/B39、GSMが850/900/1800/1900。無線LANはIEEE802.11a/b/g/nをサポート。SIMカードスロットはmicroSIMサイズ。

 大きさは127.8×59×11mm、重さは約123g。バッテリー容量は2000mAh。当初のボディカラーはブラックのみだったが、今回のセット販売にあわせ、新色のシャンパンゴールドが追加される。

プラスワン・マーケティングでの失敗の経験を生かせるか

TAKUMI JAPAN社長の増田薫氏

 1月17日に都内で開催された発表会には、同社社長の増田薫氏が登壇。KAZUNA eTalk5の特徴を説明するとともに、別途スマートフォンやフィーチャーフォンを開発中であることを明らかにした。

 増田氏は、「FREETEL」ブランドでMVNO事業やスマートフォンの開発・販売を手掛けるプラスワン・マーケティングの社長だった人物。業績不振により、2017年9月にMVNO事業を楽天に売却し、同年12月には民事再生手続きに入り、端末事業もMAYA SYSTEMに譲渡し、表舞台から退いていた。

 一時は所持金が1万4000円まで減り、カレーとモヤシで空腹をしのいだという増田氏。MVNO事業と端末事業の両方を手掛けた経験を買われ、コンサルティングなどの仕事も引き受けて生活していたが、「やっぱりハード(作り)が好き」という思いも強く、TAKUMI JAPANを設立するに至ったという。

 同氏によれば、KAZUNA eTalk5の「KAZUNA」は、“和の匠”を意味する「和匠」(かずな)を表現しており、日本の美しいものを世界に伝えたいという思いが込められているという。このあたりのネーミングセンスはプラスワン・マーケティング時代からあまり変わっていないようだ。

 KAZUNA eTalk5自体は昨年12月から2万4880円(税抜)で単体販売されてきたが、個人と法人の両方から反響があったという。中でも個人ユーザーの用途として、海外出張時にモバイルルーターとして使うというニーズが高いことが分かり、今回のグローバルSIM付きのパッケージの販売に至った。

 パッケージ同梱のSIMカードは世界143地域で2年間(音声翻訳で約10万秒相当)利用可能で、このうち75地域ではLTEにより快適にオンライン翻訳が行える。ただし、テザリング機能については、1月末までにオープンする同社のショッピングサイト「KAZUNA eSHOP」内でデータチャージして利用することになる。現時点で料金等の詳細は明らかにされていないが、増田氏によれば、空港でモバイルルーターをレンタルする料金よりは大幅に安くなるとのこと。同サイトでは、SIMカードの単体販売も行う。

ソフトウェア更新で機能追加

 「スマートフォンは半年周期で新しいものが出るが、翻訳機はそうでないので、更新で改善していきたい」と語る同氏。発売直後にもオンライン翻訳の応答速度を20%改善するソフトウェア更新を行ったほか、近日中にも翻訳結果をCSV形式で出力できる機能を追加する予定。レストランのメニューなどをさまざまな言語に翻訳したいという法人ニーズに応えたもので、今後もユーザーの声に耳を傾けて機能改善を図っていくとしている。上半期中には、8言語対応の同時翻訳機能も追加するという。

 また、現在の端末はスマートフォンのような形をしているが、ホテルのカウンターなどで使いやすいようにタブレットをベースにした「eTalk5 Biz」も開発中。利用される場面に応じて、専門用語に対応するなどのカスタマイズを行った上で提供したいとしている。

 法人向けには、端末販売のほかに、レンタルサービスも提供する。端末単体では月額2800円、国内SIM付きで月額3500円、グローバルSIM付きで月額4500円という料金体系で、1週間の無償貸出といったキャンペーン施策も実施する。

 一方、個人向けのキャンペーンとしても2月1日~3月31日にかけてアンバサダーキャンペーンと称し、レビューを条件に1週間の無料貸出を行う。さらに1月25日~2月15日には抽選で最大100万円がもらえるリツイートキャンペーンも実施される。

スマホと折りたたみ型端末も開発中

 増田氏によれば、TAKUMI JAPANでは翻訳機以外のデバイスも開発中だという。1つはスマートフォン、1つは折りたたみ型の携帯電話だ。いずれも海外の携帯電話事業者との話が進んでおり、話せるタイミングが来たところで報告したいとしている。

 同氏は「今回の会社では女優を呼んだりはしないと思う」としながらも、「毎月のように何らかの発表を行っていくことになる」と述べ、以前にも増して精力的に活動していく意向を示した。