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楽天のネットワーク構成が明らかに、5Gの仮想化アーキテクチャを4Gで先取り

「2020年から5Gのサービスを開始したい」

 1.7GHz帯で携帯電話事業に参入する楽天モバイルネットワークは、総務省で開催された5Gの公開ヒアリングにおいて、同社が構築中のネットワークの構成を明らかにした。

楽天モバイルネットワーク 代表取締役社長の山田善久氏

 公開ヒアリングは、5Gで全国サービスを検討するキャリアを対象に行われた。楽天は1.7GHz帯で参入が決まっているものの、4G LTEの商用サービスは約1年後の2019年10月に開始予定とあって、まだ一般にはネットワーク構成などの詳細は公開されていなかった。公開ヒアリングでは、現在構築中の4Gのネットワークを含めて概要を説明する形になった。

 なお同社は、2019年10月開始予定の4Gサービスの料金について、サービス開始の「数カ月前」に発表する予定としている。

4Gネットワーク

 楽天では、2019年4月に組織変更を行う予定で、新グループ体制として、インターネットサービス、フィンテック(金融)、そして通信事業の、3つの事業を大きな柱とする体制にする。

 まず構築する4Gネットワークについては、基地局の開設を前倒しする方針。また展開エリアは現在、東名阪を中心に構築しており、2019年10月を予定するサービス開始時点での自社エリアは、東京23区、名古屋市、大阪市が中心になる。その後は全国の都市圏、周辺エリアに拡大していく。自社エリア以外はローミングでカバーし、通信は全国で利用できるようにする。

 人員規模については、楽天モバイルネットワークと協力会社を含め、楽天のネットワークに専念している人員は現在400~500名で、将来的に1000名規模にしていく。

 また災害対策については、現場にかけつける必要性が高いことから、有事に必ずリソースを提供してもらい、平時でも一定の料金を払うといった契約で、外部委託を検討していることを明らかにしている。

 ベンダー(設備メーカー)は経験豊富なベンダーと新技術を持つベンダーを組み合わせたとし、2018年2月に公開した開設計画の6000億円という投資額を下回る見込み。

 新技術とは仮想化技術を指し、楽天では当初からネットワーク設備のハードウェアを既成品(COTS、コッツ)で構成、ソフトウェア部分は仮想化技術で構成する。これにより、コアネットワークを構成するための専用ハードウェア、対になる専用ソフトウェアが不要になり、大幅な設備投資額の削減を見込む。

CTOのタレック・アミン氏と山田氏

5Gネットワーク

 この仮想化技術は5Gの技術を先取りしたもの。アンテナなど末端の設備は5Gで新たにハードウェアを用意する必要はあるが、その基地局の選定は5Gも前提に選定を進めている。

 そして5Gへの移行も、この5G NRに対応する無線設備の追加以外は、ソフトウェアのアップグレードだけで済み、5Gへの素早い移行や、ネットワークスライシングに対応した5Gコアネットワークを5G導入当初から実現可能とした。

 こうしたネットワーク構成から、楽天では「2020年から5Gのサービスを開始したい」と表明。獲得を希望する周波数幅(28GHz帯で800MHz幅など)が実現すれば、下り10Gbpsのサービスを提供できるとした。

 またこれまで公開していないものの、Eコマースなどにおいて、ラストワンマイルの配送を無人のロボットカーが行う研究も行っているとし、これらでも5Gの連携を検討していく方針を明らかにしている。