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「auの新料金、2つの予想外があった」、KDDI田中社長が決算会見で語る
2017年8月1日 18:24
auの新料金プラン「au ピタットプラン」「au フラットプラン」の契約数が45万件に達した。KDDI代表取締役社長の田中孝司氏が、8月1日の2017年度第1四半期(4月~6月)の業績を説明する中で明らかにした。
田中社長はユーザーとの関係強化(リテンション)を目指した料金プランながら、MNPでの転入が約2倍に増えたこと、フラットプランの利用が予想を超えて多かったことと2つの“予想外”があったとコメントした。
8割が選択
田中社長によれば、新プランを提供しはじめた7月14日から、7月30日までの約2週間という短い期間ながら、新規契約や機種変更で端末購入した人のうち83%が新料金プランを選択。さらに割賦で買い替える人のうち84%が「アップグレードプログラムEX」を選んでいるという。
45万という契約数については、ほぼ予想通りとした田中氏は、もともと新料金プランがリテンションの強化。つまり、いわゆる囲い込みを目指すものとの位置付けをあらためて紹介した上で、開始前と比べて新規契約だけでも5割増え、MNPは2倍になったと説明。「Androidの販売も5割増えており、予想に反する動き。新規顧客の獲得にも強いのではないか」とした。ちなみにMNPでどこから転入しているのか、という問いに田中氏は「特徴的な動きはない」と語り、特に偏りはないとした。
もう1点の予想外がフラットプランの利用動向だ。段階型の従量制であるau ピタットプランを中心にプロモーションを展開する一方で、ピタットプランの5GBの料金より20円高いだけで20GB使えるフラットプランという形になっており、「1~3GBを使う人はピタット、それ以上使う人はフラットにシフトするというのは予想外だった(※内訳は非公開)。フラットプランの良さを理解してもらうのは時間がかかると思っていた」と語っていた。
テザリングどうする?
前日の7月31日に、競合のNTTドコモがテザリング(スマートフォンをモバイルルーターのように使う機能)を実質無料にすると発表。これを受け、auはどうするのか、と問われた田中社長は「我々は現状、2017年度末まで無料としており、現在検討中。マーケットの状態を見て対応策を考えていく。今しばらくお待ちを」と述べるに留まった。
三太郎の日に田中社長も並んだ
2017年度のKDDIの業績を見ると、売上高は1兆1987億円(進捗率24.2%)、営業利益は2814億円(同29.6%)と、1年の1/4を過ぎた中で順調に推移している。営業利益は前年同期と比べ、63億円増えており、通信サービスや、ライフデザイン関連のサービスでの収入が増えたことが寄与した。
一方、2017年度は500億円をかけて、au STARの還元策や店舗の拡充などを進めていく方針としており、第1四半期はその1/10にあたる約50億円を費やした。還元などリテンションのコストは期末に向けて増やしていくとのことで、1/10という規模も予定通りという。リテンション策のひとつである「三太郎の日」について、「あれはすごかった」と笑顔を見せる。
30日、31日は対象外だが「あまり考えていなかった」と語る田中氏は、7月23日が日曜日だったこともあって、マクドナルドに並んだという。しかし「でも15時以降は申し訳なくて」と恐縮していた。
auの契約数は減少、MVNOへの流出で
auの契約者数と、au回線を利用するMVNOの契約数を見ると2017年度第1四半期は、au契約数が前年同期より約68万件減少。その一方でMVNO契約数が91万件増えた。BIGLOBEの買収やUQ mobileの躍進がMVNO契約数の増加に結びついている一方で、au契約数について田中社長は「主たる原因はMVNOへの流出。特に第1四半期は、2月から続く学割シーズンであり、家族まとめて流出することがあるため、よりインパクトが出た形」と解説する。ただ、こうした傾向が今後も続くかどうか、という点については新料金プランでauに留まるユーザーが増える効果を期待していると説明した。
ただ、au回線を使うUQ mobileにも多少なりとも影響が出ているとの話は聞いている、と田中社長は語りつつ、「切磋琢磨していく」として、UQはUQでの施策で競争に挑むことを示唆した。
ユーザーのデータ利用、18%増える
昨秋、各社が続々と揃えた大容量プラン。auの場合、その契約者数はコアユーザー層が中心で、20GB/30GBのプランを利用する人は、具体的な数は伏せられたものの、グラフでは着実に増加していることが示された。
auのLTE対応スマートフォンにおける月間データ利用料の平均は、2014年~2016年には微増してきたが、2017年になって18%もアップし、4GBを超えるまでになった。
この背景に田中社長は「確かに映像型へ、非連続にアップした」と述べ、動画コンテンツの拡がりがあると説明する。
au経済圏の流通総額は4060億円に
auスマートパスやau WALLET、電力、通販の「Wowma!」など幅広いサービスを展開するライフデザイン事業を含むバリューセグメントの売上高は1224億円(前年同期比18.3%増)、営業利益は262億円(同3.6%増)となった。
auスマートパスの会員数は1529万、そのうちauスマートパスプレミアムは150万会員となったほか、au WALLETカードの有効発行枚数が2130万枚(クレジットカードは250万枚、プリペイドカードは1880万枚)に達している。
こうしたライフデザイン関連のサービスの利用動向を示す“au経済圏流通総額”は4060億円となった。
KDDIでは、通信サービスだけではなく、ライフデザイン関連など付加価値を持ったサービスからの収入をあわせて「ARPA」としているが、田中社長は、新料金プランの影響で今後、ARPAは下落傾向になると分析しつつ、まだ新料金プランの登場から半月程度であり、長期的な影響は「まだちょっとよくわからない」とした。