インタビュー

auが「iPhone」新モデルで仕掛ける、割引キャンペーンとサポート拡充の狙い

 新型iPhoneの発表を受け、auは、利用料を割引する「iPhoneギガトクキャンペーン」と、新たな補償サービス「故障紛失サポート with AppleCare Services」を発表した。コンシューマ事業企画本部の多田一国副本部長と、松田浩路コンシューママーケティング1部長に、その狙いを聞いた。

松田氏(左)と多田氏(右)

分離プランでキャンペーン

 auでは、2017年より「auピタットプラン」「auフラットプラン」を導入、まもなく利用者が1000万人に達そうとしている。どちらのプランも、「毎月割」はないが、月額利用料がそれまでのプランと比べて割安な価格に設定されていることが特徴。端末代金と通信料を切り離した“分離プラン”という位置づけだ。

 そして今回のiPhoneの登場にあわせて、「iPhoneギガトクキャンペーン」は、分離プランのうち「auフラットプラン」(Netflixパック含む)だけを対象とした形だ。

iPhoneユーザーはフラットを選ぶ

 フラットプランでキャンペーンを実施する理由として、多田氏は「auのiPhoneユーザーはピタットよりもフラットを選ぶ傾向が高い」と語る。

 具体的な数値は明らかにされていないが、au全体のピタットプランとフラットプランの選択の割合は、約6割がピタットプラン、約4割がフラットプランだ。しかしiPhoneユーザーはもう少しフラットを選ぶ人が多い。つまり五分五分の形になっているという。

 Androidスマートフォンであれば、エントリーからハイエンドまでラインアップがあるため、ライトユーザーはピタットを選ぶこともそれなりにあるが、スペックの充実したiPhoneを使う場合はデータ通信量もそれなりに使う。従って、段階制のピタットよりも定額のフラットを選ぶユーザーが多いようだ。

 また価格面を見ると「iPhoneギガトクキャンペーン」は、ソフトバンクの新プランと同等の形。ただ、au側としては、家族と一緒に利用する必要がないことを特徴の1つとしてアピールしていく姿勢だ。

ピタットは限界まで割引

 フラットプランだけでキャンペーンが実施される一方、なぜピタットプランは対象外なのか。

 多田氏は「踏み込みようがないんです」と率直なコメント。これは、2017年にピタットプランが導入された段階で、ギリギリまで安くしていたため、これ以上の割引が難しいという。

多田氏

50GBに対抗できる?

 去る8月、ソフトバンクがSNS/動画をカウントフリーとし、さらにデータ通信量が50GBという新プランを発表した。

 一方、auの「iPhoneギガトクキャンペーン」は20GB、30GBのフラットプランと、25GBのNetflixパックが対象だ。通信量だけ見れば、競合であるソフトバンクのプランのほうが充実している。

 これに多田氏は、「お客さまのスイートスポットが20GB」と語り、20GBと30GBを用意しているフラットプランのユーザーの90%以上が20GBを選んできた、という事実を挙げる。つまり、現在の利用動向からすれば、大容量プランであっても20GBもあれば十分というユーザーがほとんど。そのため容量では直接対抗しないことになったよう。

 ちなみにNetflixパックの契約者には、契約翌月に5GBがプレゼントされる。これは、動画という大容量コンテンツを気兼ねなく利用してもらえるよう、ユーザーの背中を押すために用意されたものになる。

アップル公式のサポートと連携

 auでは、ユーザーへのサポート体制として、今回、「故障紛失サポート with AppleCare Services」を提供する。

 これはアップルが提供する公式のサポートサービス「AppleCare」を4年間利用できるようにするもの。従来の2年間から大幅に長くなり、機種変更の期間が長くなるユーザーにとって利便性を高めるとともに、ユーザーにとっては故障修理の際の対応先がApple側に一本化され、わかりやすくなる。

機種変更しやすくする「iCloud」のキャンペーン

 実はauでは、8月下旬~12月末まで、iCloud 200GB分を2カ月無料で提供している。この取り組みについて、松田氏は、「地道だが、機種変更で困る場面をサポートするためのもの」と解説する。

松田氏

 ユーザーがiPhoneを買い換える際、一番手間がかかることの1つが、データの移し替えだろう。だが、よく使い込んでいる人であればご存じの通り、iPhoneには「iCloud」というサービスがある。データをクラウドにバックアップしておけば、機種変更後、すぐに新しいデータが利用できるようになるわけだ。

 だが、ITリテラシーの高くない人にとっては、普段からバックアップを取っていないことが少なからずある。通常は月額400円かかるというiCloudの200GBプランを2カ月間だけ無料で利用できることは、機種変更のときだけでも、iCloudで手軽にデータを移行できるようにしたものなのだ。

 海外ではこうした取り組みはすでにいくつかあったそうだが、国内ではauが初めてであり、現時点でもまだauだけの取り組み。ここ数年、auでは一連のユーザー体験(カスタマージャーニー)を重視する施策を進めてきたが、iCloudの2カ月無料もまたその一環という位置づけ。

 分離プランを踏まえた割安感と、長くユーザーがiPhoneを利用することに対応するサポート面での拡充など、auでは、2018年のiPhoneシーズンに料金とサポートの両面で訴求していく。

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