【WIRELESS JAPAN 2010】
iモードコンテンツ最新動向「40代以上の購入が増加傾向に」


マルチメディア放送 編成統括部部長の原田由佳氏

 WIRELESS JAPAN 2010で15日、マルチメディア放送 編成統括部部長の原田由佳氏による講演「iモードの取組み~コンテンツ利用拡大に向けて~」が開催された。NTTドコモでiモードコンテンツの販売に長く携わる立場から、市場の概況、スマートフォン時代に向けての対応などを具体的な数値を挙げながら解説した。

40代以上のコンテンツ購入が増加

 iモード利用時、最初に表示される「iMenu」TOPページのPV(ページ表示回数)は、直近の集計値で1日あたりは約2500万。2009年7月の段階は約1500万PVであり、約1年で1000万PVも増加した計算になる。この背景には、iモードボタン1プッシュでダイレクトにTOPページを表示する仕様を最新端末を中心に導入した影響がある。

 とはいえ絶対的な閲覧回数が増えたため、広告の掲示場所として価値は向上。「メール」「乗換案内」「テレビ」「ブック」など、幅広いユーザーにアピール可能なコンテンツへの誘導に効果を発揮しているという。

 また、TOPページにはキーワード検索機能を用意している。2007年9月のスタート以来、Googleとの提携や、動画・音楽などの専門分野検索機能を追加。2010年春には当初の4倍にまで利用が拡大している。

「iMenu」TOPページのアクセス状況

 iMenu検索のキーワード人気ランキング上位1000件のうち、約2割が企業名を直接指定するものだった。原田氏は「サービス名での検索も当然これ以上行われているはず。お客様が(購買や外出など)何らかのアクションを起こそうというとき、まず検索するスタイルが定着してきているように思う」と解説する。

 iモードの加入者数は2010年3月の時点で約4899万人。一方、利用者から受け取るiモード情報料は月間で約245億円(2010年3月)に達した。前年同時期と比較した場合、月間では約20億円程度の伸びとなっている。

 iモード上でコンテンツを購入する世代といえば、これまで10~30代の若年層が中心とみられていた。その状況に対して原田氏は「若年層へのコンテンツ販売は浸透しきった感もある。そこで、40代以上の購入動向を精査したところ、2008年から2009年ごろにかけて少しずつ増加傾向にあることがわかった」と説明する。

 40代以上のサイト新規入会者比率が特に高い分野は「コミック/小説/写真集」「ゲーム」「デコメール」「コミュニティ/SNS」の4つで、全入会者に対する40代~60代男女の比率が1/3ないし1/4を占めているという。

 「今回調査して、ここまでとは正直驚いた。40代以上のユーザーの場合、お子さんの契約を代行している可能性もあるため、この数値が100%正確とは言えないが、小・中学生の有料コンテンツ購入に対しては厳しいはず。極端な誤差は恐らくないだろう」と原田氏は補足。従来より高い年齢層のユーザーが、コンテンツの購入に至るケースは少しずつ増加していると考えられる。

 有料コンテンツを購入する上での事実上の前提条件となるパケット定額サービスだが、iモード全契約者の約50%が加入済み。2段階定額の料金を上限までを支払っているユーザーは約36%となっている。


コンテンツ情報料の推移40代以上の利用者が増加する傾向にあるという

ゲーム内アイテム、電子書籍が伸張~デコメ人気も定番に

デコメールの利用状況

 iモード公式サイトのうち、実際に人気の高いジャンルはどれなのだろうか。原田氏は、数年にわたって定番的な人気を確保しているデコメの素材販売サイトの傾向を説明。ここでも40代以上のユーザーの加入者数が伸びていると明かす。

 原田氏は「若年層は友人との交流の中で、デコメ素材を配布している無料一般サイトに関する情報を得ているのだろう。一方で、40歳代以上のユーザーになると一般サイトを巡る時間も限られており、その分、高品質な素材を素早く入手できる公式サイトを利用しているのではないか」と分析。原田氏がデコメ販売業者に対して、40代以上の利用も考慮した落ち着いたサイトにすべきと助言するケースも増えたという。

 電子書籍についてはコミックが堅調だ。コミックの映画化・ドラマ化が社会的にも急増している影響が考えられている。ブックサーフィンやXMDFなどの電子書籍ビューアを端末にプリインストールする取り組みも、2010年春モデルから本格化させている。

 ゲーム分野では、女性ユーザーを対象とした恋愛ゲームが増加。ユニークユーザー数の対前年度比は240%、参入事業者も増えており、関連サイトは160を超えるとみられる。ゲーム内で使用するアイテムへの課金についても月間売上15億円規模に伸張するなど、好調だ。

 また、iモード公式サイトのカテゴリーの1つに「企業・ブランド」がある。直接のコンテンツ販売を目的とせず、リアル店舗への誘導、キャンペーンによるマーケティングデータの収集などを目指したサイトが登録されているが、近年は検索の影響などでPVが増える傾向にある。iMenu内の「週刊iガイド」で特集を組んだところ、クーポン配布を行うサイトなどへのアクセスが増加したケースもあった。今後も「企業・ブランド」登録サイトの紹介は積極的に行う方針という。

 直近では、大河ドラマ人気にあやかった坂本龍馬特集をiMenuで掲載する試みも行った。週刊iガイドでの紹介、龍馬にまつまる観光地でのチラシ配布、高速道路サービスエリアでのステッカーPRなどを実施した結果、特集サイト閲覧ユーザーの約50%がやはり40代以上だった。紹介元の週刊iガイドは若年層の利用が多いだけに、意外な結果と言えそうだ。


ゲーム関連のコンテンツが充実龍馬特集のページは、閲覧者の約50%が40代以上だった

iコンシェルにも注力月額2万円までの課金代行を行う「ドコモ ケータイ払い」では、与信額が一度リセットされる月またぎの瞬間に決済を行う人も多いという

スマートフォン向けの課金代行もいよいよスタート

 ドコモでは4月、Android搭載スマートフォン「Xperia」を発売した。ドコモが販売するスマートフォンの8割を占める人気ぶりという、販売目標100万台の達成についても、原田氏は実数こそ明かさなかったが順調に推移していると説明する。

 講演ではXperia利用者の属性も発表しており、20~30代の購入者が60%、男性は78%。4月段階では約98%がパケット定額サービスを契約、92%が満額まで使用している。また、全購入者のうち18%が、新規契約およびナンバーポータビリティによる移行組だ。

 そして秋には、ドコモが運営するAndroid向けアプリストア「ドコモマーケット」での課金・決済代行サービスを開始。スマートフォン向けのコンテンツ販売が本格スタートすることになる。同時期には「SPモード」によるiモードメール送受信機能も提供される予定だ。

 ビジネスパーソン向けツールをドコモマーケットの『おすすめ』に掲載した際、あるアプリではダウンロード画面への遷移回数が298%増となったケースも確認。ドコモマーケットへアプリを登録するメリットも生まれつつある。

 原田氏は「iモード利用者は4900万、一方でXperiaは販売目標が100万。まだまだ従来型の携帯電話が中心だが、可能なものから少しずつ、iモードのサービスをスマートフォンでも使えるようにしていきたい」とコメント。時間はかかるが、スマートフォン対応を着実に進める方針を示す。

 最後に原田氏は「個人的な印象ではあるが、テレビやリアル店舗からのサイト誘導、企業タイアップによる効果が、数年前と比較して向上してきたように思う。ケータイのある生活が、エンドユーザーに深く根付いてきた結果といえるかもしれない」「今後もドコモとして、コンテンツとお客様の接触機会拡大に努めていきたい」とまとめの言葉を述べ、講演を締めくくっている。


スマートフォン「Xperia」の購入者属性新規購入者は約18%


(森田 秀一)

2010/7/16/ 06:00