【Mobile World Congress 2013】

エリクソンが考えるLTE時代の通信のあり方、大規模ブースで紹介

 エリクソンのブースでは、広いスペースを使って同社のネットワーク関連製品などが紹介されていた。

この全てがエリクソンブース
オペレーションルームを模した展示

 通信のオペレーションを管理するシステムの展示では、携帯電話事業者からの要請よって、トラブルが発生した際にエリクソンのスタッフが原因を調べ、必要があればスタッフを派遣できる仕組みを整えていることが紹介された。

 メキシコや中国、インド、ルーマニアなどに拠点があり、10億人をカバーできる体勢を整えているという。リモートでもトラブルを解決するほか、通信の使われ方からハードウェアやネットワークの問題なのか、マーケティングに原因があるのか特定する機能まで用意されている。

 現在、この仕組みは、米SprintやインドのBharti(バーティ)が採用しているという。通信事業者によっては、こうしたオペレーションデータをアウトソーシングする形を好まない事業者もいる。日本の事業者も、各社ともに外部委託型のコンテンツにゆだねることなく展開している。国内でも一部、フィールド用として活用している場合もあるという。

 アンテナシステムの展示では、T-mobileが導入するアンプ内蔵型のアンテナが展示されていたほか、最新版として8×8 MIMOのアンテナシステムが紹介されていた。

 LTE Advanced時代には、周波数の異なるLTEネットワークを利用して、通信速度を向上させるキャリアアグリゲーションの仕組みが導入される予定だ。LTEは世界各国で採用されている周波数帯がバラバラという宿命を背負っているとともに、細分化されている周波数をいかにまとめあげて使えるかがポイントになってくる。ブースでは、クアルコムのチップセットを使って、ストリーミング動画を再生するキャリアアグリゲーションのデモが行われた。下りの速度で130Mbps程度と表示されていた。

 また、LTEにはFDD方式とTDD方式が存在する。ブースでは、FDDからTDDへのハンドオーバーのデモが行われた。また、マクロセルとスモールセルの混在するHetNet環境において、必要に応じてスモールセルをマクロセルの一部と見なし、パフォーマンスを落とさずにインテリジェントな通信の運用が可能な「Combined Cell」といった技術も紹介された。LTEを放送のように利用できるLTE Broadcastingの説明では、米Verizonが2014年にもスーパーボウルで導入することなどが伝えられた。

 このほか、2020年頃の世界として未来のコンセプトが紹介された。窓ガラスを携帯のアンテナやソーラーパネルとして活用してしまおうというもので、研究開発を行っている技術となる。

津田 啓夢