【Mobile World Congress 2012】
コラボではなく日常に――ソニーグループとしての戦略を語るソニーモバイル


 ソニーモバイルコミュニケーションズは、2月28日、一部メディア向けにラウンドテーブルを開催。報道陣からの質問に答える形で、ソニーグループの一員としての戦略を、Chief Marketing OfficerのSteve Walker氏や、Corporate Vide PresidentのFredric Hedlund氏が語った。

ソニーモバイルコミュニケーションズ Chief Marketing OfficerのSteve Walker氏Corporate Vide President、Fredric Hedlund氏

 Walker氏は冒頭で、「我々はソニーの社員だということを誇りに思う」と述べ、ソニー・エリクソンの買収が13日前に完了したことを解説。「スマートフォンを単独で作るメーカーが、今後生き残っていくのは非常に難しい」という見方を示し、ソニーグループの持つデバイスやエンターテインメントの資産を活用していく必要性があることを語った。ソニーブランドの下で世界をリードするスマートフォンを作っていくというのが、同社の新たな目標だ。

 また、Helund氏は、ブランドだけでなく流通や工場などの開発体制にソニーの力を生かせる点も、強みとして考えているようだ。100%子会社化によって、ソニーとの間の意思決定や開発は迅速化している。質疑応答でWalker氏が「コラボレーションではなく、日常のビジネスになった」と述べているように、100%子会社化してからまだ間もないが、グループ間の連携が従来以上に強化されていることがうかがえる。

 こうした戦略を推進していくスマートフォンとして、1月に開催されたCESではフラッグシップの「Xperia S」およびLTE対応の「Xperia ion」を披露。Mobile World Congressでは、「Xperia P」「Xperia U」を立て続けに発表した。

 Walker氏は日本市場についても言及。「Xperia NXがNTTドコモを通じてすでに販売中。Xperia acro HDも間もなく発売される」とし、日本が同社にとって重要な市場であると述べている。

 一方で、同社は他の地域に比べて特に米国でのシェアが低く、再起を図ろうとしている。Walker氏はこの市場において、AT&T限定でXperia ionを投入できたことは、大きな一歩になるとの見通しを示した。

 スマートフォンのOSについては、WalkmanやSony TabletでもAndroidが採用されている状況を挙げ、「今後もキーになっていく」(Walker氏)とした。「オルタナティブにはオープン」(Hedlund氏)だが、Androidの巨大なエコシステムを活用するというのがソニーモバイルの立場だ。

 ラウンドテーブルの質疑応答では、ソニーのコンテンツやサービスが、なぜ同社の強みになるのかといった点に話が及んだ。たとえば、「PlayStation Certified」は他のメーカーでも取得できるし、「Music Unlimited」も他社端末に対応している。これに対し、Walker氏は「コンテンツ提供者はデバイスが限られていると興味が持てなくなる」と述べ、ソニースマートフォン限定のプレミアムコンテンツを用意したり、それらをプリインストールすることで差別化につなげていく方針を語った。

 他社が続々と投入しているクアッドコアCPU搭載のスマートフォンについては「ロードマップにはあるので、適切な時期に発表したい」(Walker氏)としつつも、プロセッサーのスペックよりユーザーエクスペリエンスが重要との見方を示し、「それが必要だと思うようになったときに投入する」と述べている。




(石野 純也)

2012/3/2 14:29