【Mobile World Congress 2012】
GSMA CEOのHoffman氏、“アジア版MWC”について語る


 「Mobile World Congress 2012」の最終日となる3月1日(現地時間)、同イベントを主催するGSMAのCEOであるJohn Hoffman氏に本誌が独占インタビューを行った。

 取材日はMWCのイベント最終日となっていたため、今回のMWCの手応えを聞くとともに、2012年6月に中国・上海で開催される「Mobile Asia Expo 2012」(MAE)への意気込みについても話を聞いた。


GSMA CEOのJohn Hoffman氏

 Hoffman氏はまず、「Mobile World Congress 2012」の開催を振り返った手応えとして、「とてもいい」と感想を語る。来場者は取材時点で約6万7000人で、200カ国以上から訪れているという。「反応も良く、非常に満足している」と評価した。

 GSMAでは、6月20日~22日にかけて、中国の上海にて「Mobile Asia Expo 2012」を開催する。中国で開催する意図について問うと、シンガポールをはじめ、マカオ、香港でイベントを開催してきた経緯に触れ、中国(上海)で開催することが突飛なことではないとした上で、「アジアは世界で最も伸びている地域」と、地域としての重要性が高まっているとする。

 また、「中国は最も重要な地域」とし、イベントに出展する企業(GSMAの会員企業)にとっては、中国でビジネスをはじめるきっかけになり、中国の企業においては外国に進出する機会になるとした。こうした流れは、GSMAの会員企業においても、中国市場に進出したいという意向が強まっていることも意味している。

 加えて、近年、MWCに代表されるGSMAが開催するイベントでは、出展企業がコンシューマーやプロシューマー(SOHOなど小規模なビジネスユーザー)にアクセスしたいという意向が強まっているという。

 日本では、一般ユーザーが気軽に入場できる展示イベントが一般的だが、MWCの一般入場は数万円が必要となるなど、基本的に業界関係者向けという色が強い。カンファレンスやミーティング、商談スペースが多数用意されているのもそうした「BtoB」の流れを汲むものだ。

 MWCでもそうした流れは起こりつつあるが、上海で開催されるイベントは、これまでの「Mobile Asia Congress」から「Mobile Asia Expo」と名称を変更し、「エキスポ」の名を冠したように、カンファレンス主体だった前回と比較して、コンシューマー・プロシューマー向けの内容を強化しているという。Hoffman氏が「起業の蓋を開けたい」と語るように、勢いのあるアジア地域にて、よりコンシューマーに近い領域にアクセスしたいという意図が反映されているようだ。また、詳細は今後発表される見込みだが、MAEでは、一般ユーザーを対象に展示会場をオープンする日も設けられる見込みになっている。

 出展企業の状況がどうなっているのか問うたところ、大企業では、チャイナモバイル、エリクソン、IBM、ZTE、NTTドコモ、富士通、NECといった企業が参加を表明しているとのことだった(取材時点)。2011年11月の「Mobile Asia Congress 2011」や、今回のMWCが2月末ということもあり、それぞれの開催時期が近く、出展企業側の準備期間が重なっているとしながらも、「時期が重なる中としては、勢いがあり、登録は伸びている」と自信を見せている。

 




(太田 亮三)

2012/3/2 05:46