【Mobile World Congress 2012】
ASUS、フルHD液晶でLTE対応のタブレットなど3機種を発表


 ASUSは2月27日(現地時間)、スペインのバルセロナで開催されている「Mobile World Congress 2012」に合わせる形で、新製品発表会を開催した。日本でも展開されている、キーボードドックと合体できるタブレット「Transformer」シリーズの新モデルで、フルHD液晶やクアルコムの「Snapdragon S4」搭載、LTE対応といったハイエンドなモデルが発表された。

 タブレットの新モデルは、「Transformer Pad Infinity 700シリーズ」と「Transformer Pad 300シリーズ」の2つ。加えて、これまで「EeePad Transformer」として展開されてきたシリーズは、その名称を「Transformer Pad」シリーズに統一することも明らかにされた。

 また、かねてよりコンセプトが明らかにされていた「Padfone」についても、具体的な新製品として、その詳細が発表された。なお、今回発表のモデルはすべてAndroid 4.0を搭載する。


「Transformer Pad Infinity 700シリーズ」

Transformer Pad Infinity 700シリーズ

 「Transformer Pad Infinity 700シリーズ」は、同社タブレット製品の中でもハイエンドに位置づけられるモデル。グローバル市場で2012年第2四半期に登場する見込み。

 CPUはクアルコムの製品群の中でも高性能な「Snapdragon S4」で、「Cortex A15 Class CPU」とアピールされている。10.1インチ、1920×1080ドット、フルHDのスーパーIPS+液晶パネルを搭載し、通信方式として3GのほかLTEもサポートされる。LTEは「100Mbps」を謳うほか、f2.2のレンズを搭載した800万画素カメラ、フロントに200万画素カメラを備える。ボディは8.5mmと薄型で、音響技術「SonicMaster」も用意されている。

 「Transformer」シリーズの特徴として、切り離せるキーボードドックが付属。同社ではこの取り組みを「2in1 Innovation」としてアピールしている。


 

「Transformer Pad 300シリーズ」

Transformer Pad 300シリーズ

 「Transformer Pad 300シリーズ」は、700シリーズと比べてカジュアルなユーザー層にむけたものとなり、3色の展開のボディカラーが目を引くモデル。一方で、クアッドコアCPUとしてNVIDIAの「Tegra 3」を搭載し、3Gに加えてLTEにも対応するなど、性能面では従来モデルを凌ぐ一面も持ち合わせている。グローバル市場で2012年第2四半期に登場する見込み。

 OSはAndroid 4.0。ディスプレイは10.1インチ、1280×800ドット、LEDバックライトのIPS液晶。カメラは800万画素で、フロントカメラは120万画素。連続駆動時間は約10時間で、キーボードドックを装着した状態では約15時間に拡大する。

 「Transformer Pad 300」単体での大きさは約180.8×263×9.9mmで、重さは約635g。Blue、White、Redの3色をラインナップする。


 

「Padfone」は3つの形に変化、スタイラス型ヘッドセットも

Padfone

 「Padfone」は、スマートフォンを基本としながら、タブレット型ボディ「Padfone Station」の背面にスマートフォンの「Padfone」を装着・収納して、タブレット端末としても利用できるというコンセプトのモデル。4月に発売される予定。

 電源は入れたままで着脱でき、見ている最中のコンテンツはそのままに、利用形態をシームレスに移行できるのが特徴。同社ではこれを「Dynamic Display」とアピール。どちらの形態でもCPUやチップセットはスマートフォンの「Padfone」側にあるため、1つのSIM(契約)で2つのデバイス(スマートフォンとタブレット)を利用でき、なおかつデータの格納は1つのストレージで済むというユニークな特徴を持っている。

 また、「Padfone」に対してもキーボードドック「Station Dock」が提供され、ノートパソコンのような形状にも変更できる。これにより、最終的にはスマートフォン、タブレット、ノートパソコンの3種類の形態に対応するという、意欲的なモデルに仕上げられている。それぞれにバッテリーが搭載されるため、Pad形態ではバッテリー駆動時間が5倍に、ノートパソコン形態では9倍にまで拡大する。

 さらに、スタイラスペンを兼ねるBluetoothのヘッドセット「Stylus Headset」も用意されており、画面に手書きでメモを記入したり、ヘッドセットとして通話に使用したりできる。タブレット形態やノートパソコン形態ではスマートフォンとしての本体が背面に収納されているため、通話・着信への対応が限定的となってしまうが、このヘッドセットを利用することで、どの形態でも手軽に通話が行えるようになっている。

 加えて、通信方式ではLTEサポートしたモデルもラインナップされる。通常の3G版は4月に発売される見込みで、LTE対応版は2012年第3四半期の早い段階に投入される予定。

 「Padfone」の本体(スマートフォン形態の部分)は、OSがAndroid 4.0。CPUはクアルコムの「Snapdragon S4」で、デュアルコアの1.5GHz駆動。GPUは「Adreno 225」。内蔵メモリは16GB、32GB、64GBがラインナップされ、RAMは1GB。ディスプレイは4.3インチ、960×540ドットの有機EL(AMOLED)。メインカメラは800万画素、フロントカメラは30万画素。microSDカードがサポートされる。

 バッテリー容量は1520mAh。連続待受時間はW-CDMAで約440時間、GSMで約373時間。連続通話時間はW-CDMAで約510分、GSMで約650分。大きさは約128×65.4×9.2mmで、重さは約129g。

 タブレット形態にできる「Padfone Station」にはディスプレイ、バッテリー、カメラ、インターフェイスが搭載される。10.1インチ、1280×800ドットの液晶を搭載し、800万画素のメインカメラと、130万画素のフロントカメラを搭載する。バッテリー容量は6600mAh。大きさは約273×176.9×13.55mmで、重さは約724g。

 

Transformer PadとPadfoneでラインナップを大幅に強化

「Padfone」を披露するASUSTeK ChairmanのJonney Shih氏

 2月27日(現地時間)にスペインのバルセロナで開催された発表会には、ASUSTeK ChairmanのJonney Shih氏が登壇。タブレット端末の大幅なアップデートを力強い語り口と茶目っ気のある演出でアピールした。

 発表会ではまず「Transformer Pad」シリーズへの名称の変更に触れられ、新製品となる700シリーズ、300シリーズの紹介が行われた。Shih氏は、700シリーズで搭載されるクアルコムの「Snapdragon S4」や、フルHDパネルをなどを挙げて、「新世代」の製品であることを強調。仕様など詳細を決定し改めて発表された「Padfone」でもCPUには「Snapdragon S4」が採用されており、「(ARMの)A9より上位のA15クラスを搭載する」と高性能を謳う。

 また、「Padfone」のスタイラス型ヘッドセットを披露した際には、通話の(擬似的な)デモンストレーションの話し相手がステージに登壇するという演出も。そこでステージに登場したのは米クアルコム Chairman&CEOのPaul Jacobs氏で、ASUS製品の強みや、シリーズの中でも上位に位置づけられる「Snapdragon S4」の特徴をアピールした。


 ASUSは、モバイル端末への取り組みにおいて、過去にはグローバル市場でスマートフォンを展開していた時期もあったが、最近ではAndroidタブレットが中心になっている。タブレット端末については、今回発表の700シリーズなどでさらに性能を強化し、キーボードドックというユニークな特徴を継承。LTEなどモバイル通信への対応を当初から表明しているのはこれまでにない強化点ともいえる。

 一方、スマートフォンに対しては、「Padfone」という形で、タブレットやノートパソコンの利便性を融合させたスタイルを提案しており、これまでのAndroidへの取り組み結集させた、同社ならではのアプローチが印象的だ。

 




(太田 亮三)

2012/2/28 11:17