【IFA2019】

「5GをSnapdragon 7シリーズ、6シリーズに拡大」クアルコムのアモン社長が語った5Gの今とこれから

 IFA会期初日の9月6日(現地時間)、同イベントの会場で、クアルコムのクリスティアーノ・アモン社長が登壇するキーノートが開催された。同氏は世界各国で5G立ち上がりつつある状況を解説するとともに、普及に向けたさらなる取り組みを発表した。

キーノートに登壇した、クアルコムのクリスティアーノ・アモン社長

 アモン氏は、キーノートの冒頭で「5G is Here」と書かれたスライドを掲げ、5GがIFAの開催地である欧州でもスタートしつつある現状を強調した。「4Gのときは、最初は4キャリアでデバイスも2つ、3つしかなかった」一方で、「5Gは世界で同時にスタートしている」という。スライドでは、20以上のキャリアがすでに5Gを商用化しており、端末も20以上のメーカーから発売されていることが示された。

5Gは、4Gよりも速い速度で普及が進んでいることが強調された

 IFAが開催されるドイツのほか、欧州ではイギリス、アイルランド、スイス、スペイン、イタリア、フィンランドで、すでに5Gは商用化されているという。結果として、「カバーできる人口は4Gがスタートしたとき、わずか120万人しかいなかったが、5Gではすでに22億人にのぼる」と、2019年に市場規模が一気に拡大した。

欧州でも、すでに7カ国でサービスが始まっている

 クアルコムのモデムを採用した端末も、すでに150種類以上となり、「不格好なデバイスやテストデバイスではなく、成熟した、フラッグシップの商用モデルに5Gが搭載されている」状況だ。アモン氏によると、「ネットワークにデバイスが先行した、初の事例」だという。

発売済み、または開発中のデバイスは、すでに150種類を超えた。フラッグシップモデルを中心に、5G搭載が進んでいる

 一方で、アモン氏が「これはあくまで5Gの第一歩に過ぎない」と語るように、5Gはまだスタートしたばかり。「5Gをどうスケール(拡大)させるかは、産業のチャレンジ」だという。こうした状況に対し、クアルコムはキーノートで2つの発表を行った。

 1つ目が、第2世代の5Gモデムである「Snapdragon X55 5G Modem」に対応した、「X55 5G Modem-RF System」。これは、モデムだけでなく、RFフロントエンドやRFトランシーバーまで、クアルコムが統合的に提供するソリューションのこと。現行モデルのX50でも同様のアプローチが取られているが、機能面では、それをさらに進化させたものになる。

「X55 5G Modem-RF System」を発表

 アモン氏によると、X55では、NSA(ノン・スタンドアローン)方式だけでなく、SA(スタンドアローン)方式もサポートするほか、出力を上げて電波の到達範囲を広げるHPUEや、5G/4GのマルチSIMなどにも対応するという。

「Snapdragon X55 5G Modem」が対応する機能が、リストで示された$$

 もう1つの発表が、「5Gを拡大していく」というもので、アモン氏はSnapdraognの7シリーズおよび6シリーズを5Gに対応させていく方針を明らかにした。アモン氏は、5G対応のSnadpdragon 7シリーズを搭載したリファレンスモデルを披露。「2019年第4四半期には商用化される」と、これを搭載した端末が間もなく発売されることを示唆した。

5Gモデムを、Snapdragon 7シリーズと6シリーズに拡大していく

 クアルコムによると、5G対応のSnapdragon 7シリーズを搭載した端末は、LGエレクトロニクス、OPPO、VIVO、モトローラ、HMD Global(ノキア)、Redmi、realmeなど、合計12のメーカーの端末に搭載される予定だという。また、Snapdragon 6シリーズを搭載した端末は、2020年後半に登場する予定。フラッグシップからスタートし、徐々に下のレンジにまで5Gが広がっていくようだ。

Snapdragon 7シリーズを搭載した端末は、第4四半期から発売される予定
リファレンスモデルを披露したアモン社長

 キーノートスピーチには、ドイツテレコムやサムスン電子、BMWの幹部も登壇。ドイツテレコムでは、すでにHTCの「5G Hub」を販売しており、サムスンの「Galaxy A90 5G」や「Galaxy Fold 5G」、Xiaomiの「Mi Mix 3 5G」も間もなく発売されることが明かされた。サムスン電子は、5日(現地時間)に開催されたプレスカンファレンスと同様、「5Gの民主化を進めていく」としながら、5G対応のGalaxyをAシリーズのGalaxy A90 5Gに拡大することを語った。