【CEATEC JAPAN 2009】
ソニー、近接無線転送技術「Transferjet」をデモ


 ソニーのブースでは、非接触高速通信技術「TransferJet」の技術展示が行われている。

 「TransferJet」は、FeliCaのように非接触で通信できる無線技術。ブースでは、「タッチするだけの近接高速無線転送技術」と紹介されていた。現在、コンソーシアムを設立して規格化が進められている。通信速度は375Mbpsとなり、利用する周波数は4.48GHz。ソニーでは、2010年の早い段階で製品の投入を計画しているという。

 携帯電話などのモバイル機器への搭載が想定されており、ブースでは音楽CDショップなどの什器にかざすと、携帯電話にプロモーション動画が数秒で転送されるデモが行われていた。このほか、モバイル機器同士やモバイル機器とデジタルサイネージとの連携、デジタルカメラの写真転送といった利用シーンが紹介されていた。なお、携帯電話の書き込み速度の関係上、デモ機の転送速度は20~30Mbps程度になるという。

 説明員によれば、FeliCaのようにタッチして近接通信が可能な技術だが、FeliCaとは利用する周波数が異なり、チップやアンテナも現時点では異なる。普及時期については判断が分かれるとしながら、「Blutoothも無線LANも普及するまでに10年かかった。TransferJetもいきなり普及するとは考えにくい」と話しており、地道に技術を確立させていく必要があるとした。ただし、日本のユーザーはFeliCaでタッチ通信に慣れているため、国内の普及は早いのではないかと語っていた。海外の展示会で披露した際、当初は反応が鈍いものの、体験すると非常に手軽な通信だと関心を持ってもらえると話していた。

 CEATEC JAPAN 2009では、ソニーのほかにKDDIや東芝が「TransferJet」のデモを行っている。コンソーシアムのプロモーターには、これらの企業が参加しているほか、NTTドコモやソフトバンクモバイルといった通信事業者や、ソニー・エリクソン、シャープ、パナソニック、NEC、カシオ、日立、サムスン電子といった携帯メーカーの名前もある。このほか、キヤノンやニコン、オリンパスといったカメラメーカーらも参加している


 



(津田 啓夢)

2009/10/8/ 10:49