【CEATEC JAPAN 2012】
ファーウェイ・ジャパンのエン社長、同社の歩みを語る


ファーウェイ・ジャパンのエン社長

 CEATEC JAPAN 2012のキーノートスピーチで、ファーウェイ・ジャパン(華為技術日本)の代表取締役社長のエン・リダ氏(閻 力大氏)は「Connected Possibilities ~可能性をつなげる~」と題した講演を行った。

 ファーウェイ(華為技術)は中国の通信機器ベンダーだ。主に基地局などのネットワーク機器ベンダーとして成長した企業で、ネットワーク機器は世界のキャリアのトップ50社中45社が採用するなど、高いシェアを持っている。Android端末ベンダーとしての歴史は短いが、2012年第2四半期の世界シェアでは6%で第4位(モトローラやLG電子と並ぶ)となる。一方、データ通信専用端末では2011年の世界シェアで55%と高いシェアを誇っている。

Android端末の世界シェアデータ端末の世界シェア
日本におけるビジネス

 ファーウェイの日本法人であるファーウェイ・ジャパンは、2005年に設立された。同年に通信事業に参入したイー・モバイルが、2006年にファーウェイの基地局ソリューションを採用したのが、ファーウェイの日本におけるビジネスの第1歩だったと紹介する。

 2007年にはデータ端末もイー・モバイルに採用され、それを皮切りに日本における移動機側のビジネスも始まり、2009年にはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社とネットワーク機器や端末デバイスの供給契約を結ぶに至っている。

 さらにエン氏は、2011年にファーウェイ・ジャパンが日本経団連に加盟したことについて、「大きな一歩だった」と紹介する。エン氏は、「経団連は日本では重要な経済団体。ファーウェイ・ジャパンは日本で登記している日本の会社なので、日本の会社のようにビジネスを行う。経団連に加盟することは夢だったが、ファーウェイ・ジャパン設立から6年でそれを達成した」と語った。

 エン氏はこれまでファーウェイが日本に投入してきた製品として、フォトフレームやモバイルWi-Fiルーター、キッズケータイ、ホームセキュリティ端末を紹介する。日本市場についてエン氏は、「先進的な市場。コンセプトもソリューションも進んでいる」と評する。

Android端末のブランド名「Ascend」

 さらに最新の製品としては、同社の展示ブースでもテーマになっているスマートフォンのブランド名「Ascend」を紹介する。「上昇」という意味を持つ単語をブランド名に採用した理由としてエン氏は、「現在のファーウェイの勢いについて示している。まさに上昇している最中」と説明する。

 かつてのファーウェイは、ネットワーク機器の提供がメインで、端末ビジネスは展開していなかった。しかし3Gが世界中で普及し始めたころ、3Gのネットワーク機器を事業者に納入する中で、「端末もあわせて提供して欲しい」というオファーがファーウェイに入るようになった。そうした声に応える形で、端末デバイスのビジネスが開始されたが、当初は納入先となる事業者のブランドで消費者に販売される、いわゆるODMのビジネスだった。しかし昨年、ファーウェイはこの方針を転換し、ファーウェイ自身の名前をPRするようになった。そして今年から採用されたスマートフォンのブランド名が、「Ascend」というわけだ。

 日本でのAscendブランドの第1弾は、NTTドコモから秋モデルとして販売されるAndroid端末、「Ascend HW-01E」となる。同端末はおサイフケータイやワンセグ、NOTTVなどの日本独自の機能もサポートしている。

最先端のハードウェア技術を投入する

 ファーウェイの今後の端末ビジネスのポイントの1つとして、エン氏は「最先端の技術と最先端のデバイスを使ったハイエンドの製品を設計すること」を挙げる。ファーウェイがODMで端末ビジネスを展開していたときは、主にローエンドの製品が中心だったが、今後ファーウェイブランドで端末ビジネスを展開するにあたっては、ハイエンドモデルを展開していくという。

 そうしたハイエンドモデルのための最先端技術として、たとえばAscendでは部品の半分を日本のサプライヤーから供給を受けているという。エン氏は「ディスプレイや優秀な機械部品など、日本の技術は最高水準にある。日本のサプライヤーとは多くのことをやっていきたい。さらに次のステップとして、より良いUXを提供することを考えていて、たとえばクラウドサービスの提供なども考えている」と語る。

 また、ファーウェイ自身がネットワーク機器と移動機端末の両方を手がける、業界でもユニークな立場にあるとも説明する。エン氏は、「ファーウェイは元々ネットワーク機器のサプライヤ。その知識やノウハウは、端末開発に転用できる。たとえばスマートフォンの頭痛の種であるバッテリの持続時間について、ファーウェイはネットワークと端末がソフトウェアを通じて連携することで、省電力化を図りたいと考えている。ファーウェイはこの点で優位性を持っていると思う」と語り、同社の優位性をアピールする。
$$cler

家庭用機器への進出も狙う

 さらにエン氏は、モバイル端末だけでなく、家庭に設置し、家電や家庭内ネットワークと連携する「シングルボックス」も作っていきたいとも語る。また、日本の高齢化社会に関連し、「ホームケアのようなサービスがこれからますます重要になる。そこでお客さまと協業することで、ハードウェアを提供するだけでなく、サービスもユーザーの皆様に提供したい」とし、講演を締めくくった。




(白根 雅彦)

2012/10/5 11:45