【ACCESS DAY 2009】
AQUOSのブランド力で中国市場を攻めるシャープ


 10月22日に開催されたACCESS主催のカンファレンスイベント「ACCESS DAY 2009」には、基調講演にシャープ 代表取締役 副社長執行役員の松本雅史氏が登壇し、シャープの製品戦略や海外展開などについて語った。

「地域にフィットし、コストが揃わなければ世界では通用しない」

シャープ 代表取締役 副社長執行役員の松本雅史氏

 基調講演に登壇したシャープの松本氏はまず、新しい商品を一番に開発して市場を創造したり、液晶など技術開発を継続して行ってきたりといった、シャープの商品開発の姿勢を紹介し、現在の停滞した経済状況でも「需要を創造する新しい商品作りが重要になる」と語った。同社は2012年の創立100周年を目前にさまざまな目標を掲げており、液晶関連製品の拡大から、省エネや、太陽光発電など“創エネ”の分野まで、得意分野でさらなる飛躍を目指すとした。

 携帯電話事業については、“ガラパゴス”と揶揄されることについて「技術的には世界の最先端だが、グローバルで通用するかどうかは別問題。地域にフィットしなければいけないし、コストの条件もそろっていなければ、世界では通用しない」と語る。しかし一方で、「デバイスメーカーは(国内市場で)技術の進化が促進され、グローバルのシェアを伸ばしている。デバイスメーカーのグローバルシェア獲得に貢献している」と語り、日本市場での技術進化により世界シェアを拡大させている存在も指摘した。

 国内の携帯電話市場については、「新販売方式で大きく販売台数が下がったが、元通りには戻らないと思う」と、楽観的な見方を否定。しかし、「2009年に入り、人気商品は売れている。物づくりの良い商品が売れる兆しはある」と語り、「キラリと光るオンリーワンの商品作り、新規需要を創出することが市場の活性化につながる」として、シャープの理念を追求していく姿勢を改めて示した。

年間2億台の市場でシェア拡大を目指す

中国市場でのラインナップ

 松本氏からは、「端末もグローバルに攻めていかないといけない」と、新たな展開として中国市場への取り組みに注力している様子も語られた。中国市場は海外展開の最大のテーマとのことで、年間2億台が出荷されるという巨大市場へ食い込む構え。5月からは3Gサービスが本格的に開始されており、「シャープは認知度がかなり上がっており、サイクロイド型のAQUOSケータイの人気が高い。日本市場でのラインナップがインターネットなどで詳細に伝わっているようで、サイクロイドやカラフルな端末など、トレンドの端末を求めるユーザーが多い。大手販売店では、4500元(約6万円)でサイクロイドの端末が販売されていた」と現地の様子も交えて紹介。1500元ぐらいまでの低価格な端末まで幅広くラインナップしており、「中国市場でのプレゼンスを上げていこうというところで、実際に欲しいと言われるようになっている」と手応えを語った。

 松本氏は現在の中国市場でのシェアを10位とし、さらにシェアを伸ばす構えで、「(年間2億台の市場では)1%のシェアでも200万台、5%なら1000万台になる。中国市場はかなり有望な市場だ」とその規模の大きさを語る。同社がこういった展開を描く背景には、液晶テレビのAQUOSが中国市場で大きな影響力を持っていることも関係している。松本氏は「台数シェアは中国企業に譲って2位だが、金額ベースではシェア1位。AQUOSはあこがれの商品と位置付けられ、売れている」と液晶テレビのブランド力の浸透を説明し、販売網の拡大に合わせて「AQUOSケータイ」の販売も拡大させていく方針を示した。

 



(太田 亮三)

2009/10/23/ 13:37