本日の一品

懲りずにまた買った紙(TYVEK)のバッグ

 ここ数年、筆者は紙素材を使ったバッグやドキュメントケースに凝っている。紙のような手触りや雰囲気で実は本当の紙ではない素材には、デュポン社の「TYVEK(タイベック)」やSIWAブランドの鞄作りに使用されている「ナオロン」などがある。

 実は現在、筆者も鞄の企画・開発を進行中だ。モバイルPCやタブレットが昔と異なり極めて堅牢になった現代にこそ使えるモバイルユーザーのための鞄を目指している。タイベックの鞄は今回ご紹介する「FLY BAG」に先駆け多くの鞄メーカーが商品を世に送り出している。

 欧州や中国に拠点を置くLEXON社の鞄である「AIR」はすでに数種類以上の商品を発売しているが、日本国内ではほとんど見かけることがない。日本はどうも“紙鞄の後進国”だと思われているのかもしれない。

 007ジェームズ・ボンドのアタッシュケースの時代から、エクゼクティブ御用達と思われていたゼロ・ハリバートンの時代がアッという間に過ぎ去り、今は適価でウルトラ軽くて堅牢な鞄がもてはやされる時代だ。

 今回ご紹介するタイベックを素材に使った「FLY BAG」もその1つだ。国内でタイベック素材を一番よく見かけるのは、国際宅急便の封筒やビル工事現場などの透湿・防水シートだろう。建築現場から化学防護服、封筒などにも使用されている多種多様なタイベック紙の中の1つを使って作られたクラッチバッグがFLY BAGだ。

FLY BAGは最近は少しは見かけるようになったTYVEKの紙製バッグだ
素材は国際宅急便の封筒などにも使われている素材だと言えばイメージが湧く

 外観は36x39.5cmとほぼスクエアなバッグの特徴は、まったくマチがないことだ。イメージ的には、クラブのDJなどが懐かしいアナログLPレコードを何枚か持ち歩くのには最適のデザインとサイズだろう。

 しかし、パソコンはどんどん軽く薄く堅牢になり、スリムなタブレットが先端商品の現代なら、マチがなくても、堅牢であればかなりの使い勝手はありそうだ。筆者はFLY BAGにA4サイズの大学ノートとタブレット(Nexus 7)、ペンケース、クリアファイル、ソニーのレンズ・スタイル・デジカメ程度の収納物をいつも入れている。

 持ち運び時のやや膨らみ気味の変形は気になるが、タイベックは堅牢な素材ゆえ、内容物を取り出したあとはごくフラットな元通りの姿に戻っている。

 鞄を企画すると一番難しいのは内部につくる収納用のコンパートメントの種類とサイズ、取り付け位置だ。FLY BAGにもペンホルダーが2カ所、小さなクレジットカードサイズのポケットが3カ所、Galaxy Note 3クラスが入る薄いマチ付きポケットが1カ所、それより少し幅の狭いポケットが1カ所、合計7カ所のポケットが用意されている。

 重量バランスを考慮したかなりの努力の結果だとは思うが、何れもがクラッチバッグの深い底辺に近い位置に設置されているため、きわめて使い辛い。FLY BAGは面白くかつユニークなデザインを志向した商品なので普通の人が日常的に使うという使用法には向いていないのかもしれない。

 本来の薄さや軽さのアドバンテージを前面に押し出して、宿泊出張の為のボストンバッグやトランクの底に折りたたんで収納しておき、現地で取り出して活躍するというような使い方がベストなのかもしれない。

マチは全く無いが、けっこう厚手のモノを入れても平気だ。膨張しても元に戻る
内部のポケットの位置とサイズは意見が別れるところだろう
製品名販売場所価格
FLY BAGビレッジバンガード上野2100円

ゼロ・ハリ