スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

Sペンをちょっと掘り下げてみる

Sペンをちょっと掘り下げてみる

 最近かなりGalaxyづいている筆者。「Galaxy Note8」(レビュー記事)や「Galaxy Book 12.0」(レビュー記事)を連続して購入&使用しているわけですが、やはり良いのはこれら機種で使えるデジタルペンの「Sペン」です。手書き文字入力も、アナログな線と筆圧の描画も、非常に快適です。

ドコモのサムスン製スマートフォン「Galaxy Note8」。本体内に格納可能なSペンで、端末の操作全般はもちろん、手書き文字入力やスケッチ描画などが可能です。
サムスンのWindows 10 2in1タブレットPC「Galaxy Book 12.0」。これもSペン対応で、ペンによる操作、入力、描画が可能です。

 Sペンを毎日使っていて微妙に不安なのが「無くしそう」ということです。とくにGalaxy Note8のSペンは細め短めで「いかにも無くしそうなサイズ感」ですし、スマートフォンなので出先で多用するので、やっぱりSペン無くしそう! というわけで、まずは予備を備えておきたいものです。

 Galaxy Note8の場合、予備のSペンは非常に容易に入手できます。au Online Shop(該当商品ページ)やdocomo Online Shop(該当商品ページ)で購入可能であるほか、端末取り扱いのある量販店でもSペンが小売りされています。

 Sペンの価格は、au Online Shopが税込2592円で、docomo Online Shopが税込2700円。Galaxy Note8のau版用Sペンとドコモ版用Sペンでは価格が異なります(量販店でも同様)。量販店ではポイント還元などがある分、もう少し安く入手できるようです。

Sペンの互換性は?

 ところで、au版とドコモ版のSペンって、違うモノなんでしょうか? 試しに、au版用として売られているSペンを購入し、ドコモ版Galaxy Note8付属Sペンと使い比べてみました。

写真左は、ベージュがau版のSペンで、ブラックがドコモ版。両色とも両キャリアにあります。外観は全く同じで、au版Sペンをドコモ版Galaxy Note8にセットできました。Sペンを引き抜くと立ち上がる「画面オフメモ」機能やエアコマンド機能が使えるあたりも同様です。写真右は、Galaxy Notesアプリのグリッドに沿って線を描いた様子。左がau版Sペンの筆跡で、右がドコモ版Sペンの筆跡です。どちらもペン先と筆跡がズレる感じはなく、自然に描けました。

 右の写真は、グリッドに沿って線を描いた様子です。筆者の手のぶれによる線のグニョグニョとズレは度合いはご愛敬として、「画面を見た状態でグリッドの端から端まで正確に線を結べた」という使用感です。

 結局、au版もドコモ版も、Sペンは完全に互換品であると個人的には感じられました。恐らく、auもドコモもサムスンも「あーSペン全部互換っすよ」とは1ミリも言わないと思いますし、互換品と思って購入するのも使うのも自己責任になるとは思いますが、機能性も使用感も書き味も同じだと感じられました。

 ところでところで、Galaxy Book 12.0付属のSペンとGalaxy Note8付属Sペンは? ということで試してみた結果、メーカーは「それも互換っすよ!」とは言わないと思いますが、だ~いたい互換が利くと感じられました。

Galaxy Note8用Sペンも、Galaxy Book 12.0用Sペンも、Galaxy Note8用デジタルペンとしてはだいたい同様に使えると感じられました。Galaxy Book 12.0用Sペンを使って、Galaxy Note8にエアコマンドを表示したり、「画面オフメモ」を起動して使うことも可能。なお、Galaxy Note8に付属Sペンを挿したままほかのSペンを使う場合は、[設定]→[高度な機能]→[Sペン]で、[省電力モード]をオフにする必要があるでしょう。こうしないと、Galaxy Note8から付属Sペンを抜かないと、端末がSペンに反応しないからです。

 前述にて「だ~いたい互換が利く」と書いたのは、ペンの物理的なサイズの差による「書いた感触の違い」があるからです。まあ、書き味の違いと言っていいと思いますが、筆者としては一般的な筆記具のサイズに近いGalaxy Book 12.0付属Sペンのほうが「良い書き味」だと感じられます。

 ちなみに、Galaxy Book用のSペンは、Galaxyカスタマーサポートセンター(公式ページ)経由でパーツとして購入できるようです。問い合わせてみたところ、Sペンが税別2400円、替えペン先が5本セットで税別500円だそうですが、これに税金・送料・代引き手数料が加算されるとのこと。

こんなペンも使える

 それから、サムスンとステッドラー(STAEDTLER)が共同開発したGalaxyシリーズ用のデジタルペン「STAEDTLER Noris digital」(公式ページ)。ステッドラーの「ノリス」シリーズ鉛筆(公式ページ)のようなデザインのデジタルペンで、対応機種は、Galaxy Note3/Galaxy Note edge/Galaxy Note8/Galaxy Bookとなっています。

サムスンとステッドラー共同開発の「STAEDTLER Noris digital」。ステッドラーのノリス鉛筆を感じさせるデザインと質感ですが、サムスンGalaxyシリーズ各種に対応するSペンです。長さは約175mm。

 STAEDTLER Noris digitalの使用感ですが、ほぼ鉛筆サイズなので非常に自然に握れて書きやすいです。書き味はGalaxy Note8付属Sペンとよく似ていて、「ギュッ、ヌルッ」というアナログ文具的な豊かな感触があって良好。

 握りやすさも書き味も、かなりイイ! のですが、サイドボタンがないので、Galaxy Note8でエアコマンドや画面オフメモが使えなかったりするのが残念です。そういった機能は別として、Galaxy Notesアプリで書いたり描いたりするためのSペンとしてならかなりの実力派だと思います。

 もうひとつ、ドスパラで売られている8型Windows 10タブレット「Diginnos raytrektab(DG-D08IWP)」(公式ページ)用の「標準デジタイザペン」(公式ページ)。これはGalaxy Note8対応品とは明記されていませんが、使えるらしいので購入して試してみました。

「Diginnos raytrektab(DG-D08IWP)」のペン。raytrektab付属品と同じものですが、別売もされています。標準のペン先以外に、エラストマー製やフェルト製のペン先も別売されています。長さは約147mm。

 ちゃんと使えるかな? と思ったこのraytrektab用ペンですが、Galaxy Note8ではペン先と描いた軌跡のズレもなく、バッチリ使えました(筆者の場合)。握った感じは上記STAEDTLER Noris digitalに近く、握りやすく書きやすい。ペン先を別売のエラストマー製に交換すると、Galaxy Note8付属Sペンに近い「ギュッ、ヌルッ」という書き味になります。また、ペン後方が消しゴム機能になり、Galaxy Notesアプリで消しゴムとして使えて便利。ただし、これもサイドボタンがないので、Galaxy Note8でエアコマンドや画面オフメモが使えません。

古めの「Wacom feel IT technologies」対応デジタルペンが全滅だった件

 Galaxyシリーズのデジタルペンは、ワコムの「Wacom feel IT technologies」が採用されているそうです。これは電池不要の電磁共鳴(EMR)方式のデジタルペン。電磁共鳴(EMR)方式についてはワコムの解説ページをご覧いただければと思いますが、けっこー多くのタブレット類に採用されてきました。

 筆者はそういう「EMR方式ペンに対応した端末」をけっこー多く所有してきました。それら端末は処分済みですが、ペンだけは残っていたりします。ですので、同じワコム電磁共鳴(EMR)方式を採用しているGalaxy Note8で、それらの各種デジタルペンが使えるハズ! ウヒョ♪

ワコム電磁共鳴(EMR)方式対応の各種デジタルペン。右は最も書き味の良い「Bamboo Stylus feel for Samsung Galaxy Note」(公式ページ)で描いた筆跡です。

 ガーン! 結論から言えば、上の写真の全てのデジタルペンは、Galaxy Note8で使えない……こともないんですが、快適に使うにはちょっと厳しいという使用感です。

 上の右写真は「Bamboo Stylus feel for Samsung Galaxy Note」で描いた筆跡ですが、軽く致命的な描画結果となりました。四角はグリッド交点から交点へペン先が来るようにして描いたもので、斜め線はグリッド右上交点から左下交点へ描いたもの。ですが、右にちょっとズレちゃってます。ペン先を置いた点より1mmくらい右に点や線が描かれてしまいます。

 で、そういう現象が「Bamboo Stylus feel for Samsung Galaxy Note」以外でも起きちゃいました。古いペンと現行機種用のSペンを現行機種で使うと、こういう差が出ちゃうっぽいです。

 1mmの誤差があるというわけですが、まあそれでも使えないことはありません。端末の操作やちょっとしたメモ書きなら大丈夫です。ただ、絵を描こうとすると、描かれる線がズレるのには意外なほど大きなストレスがありますし、なんかこう隙間が多い雑な絵になりがち。「手持ちの描きやすいデジタルペンで快適に絵を描こう!」とか思っていた筆者の期待は、完全に砕け散ったのでした。

 でもまあ、これらの古めのデジタルペンは、どれも販売終了品。これからGalaxy Note8を使う方には影響ないと思います。ただ、これらのペンはGalaxy Note8には不向きということで、激安で売っていたとしても買っちゃわないよう要注意かも、です。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。