みんなのケータイ

 毎年恒例となっている世界最大のケータイ見本市「Mobile World Congress」(MWC)が今年は2月24日から27日にかけてスペインのバルセロナで開催された。筆者も取材に行ってきた。

GigSkyのSIM。nanoSIMも選択できる

 こうした海外滞在時のモバイル通信手段は、現地のプリペイドサービスを利用すると安く済ませられることが多いので、最優先でプリペイドSIMカードを探すことにしている。とくに到着空港で購入できると、空港からホテルまでの道のりで使えて良いのだが、今回は深夜到着だったため空港でプリペイドSIMを購入できなかったので、「GigSky」という海外向けサービスを利用した。

 GigSkyは世界各国で利用できるデータ専用のプリペイドサービスで、各国のデータ容量をオンラインチャージして利用する。料金は国によって異なるが、たとえばスペインだと3000円で175MB・7日、4200円で300MB・14日、6000円で500MB・30日の3種類から選べる。GigSkyのSIMカード自体は、通常価格2480円のところ、現在は1480円で販売されている。日本からも購入可能で、専用アプリやサポートも日本語となっている。

 料金の検索やデータ容量の購入は専用アプリを使う。Wi-Fiや他国のネットワーク下でも検索・購入できるが、最初に1度だけ10MB・1日を無料で利用できるので、まずは現地に行き、無料の10MBでネットワークの利用可否を確認し、それから購入すると良い。

スペインでのプランの種類。ナゼか3つのキャリアに対応

 バルセロナでは到着と同時に、GigSkyの175MB・7日の利用を開始した。3000円はデータローミングの1日分とほぼ同金額だが、使い切らなければ7日間に渡って利用できる。写真のアップロードや地図表示、テザリング、アプリダウンロードをしまくると、175MBはすぐに使い尽くしてしまうが、ちょっと気をつければ、それほどストレスなく数日間は利用できる。

 翌日、ボーダフォンのプリペイドSIMカード(20ユーロで1.5GB+nanoSIM交換料が5ユーロ)を購入できたので、滞在中はそちらをメインに使った。しかしプリペイドを買って早々、SIMカードに初期設定されているPINコードが書かれた台紙を紛失してしまい、SIM挿し替え時に利用できなくなってしまったことがあり、復帰するまでの一時的な回線としてもGigSkyが役に立った。

イタリアでのプランの種類。この画面から各プランを購入できる

 バルセロナでの取材後は、すぐには日本に帰らず、カーニバル中のベネチア(イタリア)に1泊だけの寄り道をした。ベネチアでは当初、GigSkyを利用せず、ベネチア本島内のボーダフォンショップへ行った。しかしそのショップでは30ユーロ(約4200円)で1GB・30日のプリペイドプランが最安で、短期滞在にはちょっと高価だったので、あらためてGigSkyを利用することにした。最初からGigSkyを使っておけば良かった、というパターンである。

 GigSkyのイタリアでの料金は、3000円で250MB・7日、4200円で500MB・14日、6000円で1GB・30日の3種類だった。利用は2月28日の昼から3月1日の夜までだったが、ホテルにインターネットがなく、地図表示や写真のアップロードに使いまくったため、最終的な残量は38.43MBとなっていた。けっこうギリギリである。

ロシアではピクト行のキャリア表示も当然ロシア語・キリル文字

 ベネチアからの帰路では、さらにモスクワ(ロシア)に寄り道した。本来はただのトランジットなのだが、朝5時着の夜21時発と時間が十分にあったため、あらかじめトランジット入国ビザを取得し、モスクワ市内を観光することにした。

 直前のイタリアで「最初からGigSkyを使っておけば良かった」と後悔したので、ロシアでは最初からGigSkyを使おうと思ったのだが、GigSkyはロシアをサポートしておらず、そのときはなぜかRostelecomのプランを購入できたものの(現在は購入できなくなっている)、モスクワのシェレメーチエヴォ空港ではデータ通信どころかキャリア接続すらできなかった。

 国内キャリア回線契約を使い、海外ローミングのデータ定額を使おうかとも思った。日本との時差が5時間のモスクワでは、19時(日本時間24時)にデータ定額が次の課金期間へ切り替わる。それまでに空港に戻り、データローミングを無効にして空港のWi-Fiにつなぎ、ゲート前でうたた寝でもしていよう、という考えだ。しかしナゼかauのiPhone 5sでもシェレメーチエヴォ空港ではネットワーク接続ができなかった。

購入したBeelineのSIM。一通りロシア語で読めない……

 どうしようか、と迷いつつ、シェレメーチエヴォ空港をさまよっていると、朝の6時だったのに、出発フロアで「ЕВРОСЕТЬ」という非キャリア系のケータイショップが営業していることに気がついた。ここでiPhone 5cでプリペイドを使いたい、と身振り手振りで示すことで、350ルーブル(約1000円)のプリペイドSIMカードを購入でき、さらにnanoSIMへの切り取りまでやってもらえた。

 正直、カタログなどは示されなかったので、どの料金プランだったのかよくわかっていないのだが、Билайн(Beeline)というキャリアの350ルーブル3GBのプランだった思われる。GigSkyもローミングも使えなかったのは計算外だったが、早朝からこんなに安いプリペイドを入手できたのは嬉しい計算外だ。といっても、3Gのみでそれほど速くなく、半日の滞在では200MBも使わなかった。

機内Wi-Fiの管理画面。使った容量も見られる

 ケータイ回線ではないが、今回、日本→モスクワのアエロフロートSU265便とモスクワ→日本の同SU262便で機内Wi-Fiを利用できた。料金は10ドルで10MBもしくは30ドルで40MBと、地上のモバイルに比べて破格に高いが、それでも機内でインターネットが利用できるのは暇つぶしに最適なので、行きも帰りも30ドルのプランを購入し、主にiPad mini Retinaディスプレイモデルで利用した。

 利用時にはWi-Fiをオンにするだけでなく、専用ページで「Connect」ボタンを押して接続開始する必要がある。利用後は同じページで「Disconnect」ボタンを押すことで切断され、余計なデータ消費が抑えられる。

 通常のケータイ回線よりもデータ転送量の制限が厳しいが、接続自体はWi-Fiとなっていることには注意が必要だ。iOSにはWi-Fi利用時、アプリの自動アップデートなどを行う機能があるが、これをオフにしておかないと、すぐに40MBなど使い切ってしまう。

 機内Wi-Fiは世界中の航空会社が導入しつつある。航空会社によってはもっと安価に提供していることもあるので、長時間の路線では機内Wi-Fiの有無で航空会社を選んでも良いかも知れない。