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国内でiPhoneのeSIMが活用できる「IIJmio eSIMプラン(ベータ版)」

【iPhone XS Max】

 スマートフォンを利用するには、各携帯電話会社やMVNO各社と契約し、各社から発行されたSIMカードをスマートフォンに挿す。これまではこのスタイルが基本だったわけだけど、ここ数年、新しい契約形態として登場してきたのが「eSIM」。

 言わば、本体に組み込まれた電子的なSIMカードで、各社との契約情報をeSIMに書き込む形で利用する。新しいしくみと言われることが多いけど、実は店舗の端末で電番を書き込んでいたスタイルに取ったという説も……(笑)。

au契約のiPhone XS Maxに、IIJmioのeSIMプラン(ベータ版)を追加

 そんなeSIMを手軽に利用できるのがアップルのiPhone XS/XS Max/XR。本コーナーでも「意外に面白いかもしれないiPhoneのeSIM」で、米国のTelnaがMWC19 Barcelonaでプレス関係者向けにトライアルを提供していた話を取り上げたので、覚えている人も多いはず。

 その後、筆者は香港の携帯電話会社「3(Three)」(以下、「3香港」)が提供する「eSIM」サービスの「Roaming Data Prepaid eSIM」をiPhone XS Maxで契約して、海外渡航時に利用している。

 「3香港」のeSIMローミングサービスは、10日で138香港ドル(約2000円)という料金体系で、中国、マカオ、台湾、日本、韓国、シンガポール、マレーシア、フィリピン、タイ、ミャンマー、ベトナム、インド、インドネシア、オーストラリア、アメリカ、カナダ、グアム、フランス、イギリス、イタリア、アイルランド、スウェーデン、デンマーク、オーストリア、メキシコ、スリランカ、イスラエル、クウェートの28の国と地域で、データ通信が利用可能。

 Webページには「Unlimited」と記載されているけど、1日あたり500MBを超えると、通信速度が128kbpsに制限されるしくみ。eSIMの有効期限は180日間で、使った日だけ、1日分がカウントされるしくみなので、日本でも月末の「ギガが足りない」ときの追加用としても人気だとか。

 また、NTTコミュニケーションズの傘下になった「Ubigi」のeSIMサービスも気になるところ。こちらは5大陸の130を超える国と地域で利用可能な国際ローミングサービスで、「全アジア、7日間、1GB、15米ドル」「米国、30日間、3GB、29米ドル」「世界中、6カ月、2GB/月、399ドル」といった多彩なプランが用意されている。

 さらに、筆者が国際ローミングで愛用中のタイのAISの「SIM2FLY」参考記事)もeSIM対応を始めたそうだ。早速、知人のライターがバンコクで契約してきたんだけど、現地のショップに出向かないと契約できないので、どこかのタイミングでバンコクに行くべく、旅程を画策中。

 とまあ、いずれも海外での利用はどんどん世界が拡がってきたiPhoneのeSIMなんだけど、日本国内は今ひとつ……と思っていたら、先日、IIJがiPhoneのeSIMを対象にした「IIJmio eSIMプラン(ベータ版)」を発表した。

 詳細は本誌記事を参照していただくとして、ひと足早くトライアルで試すことができた印象をお伝えしよう。

 ちなみに、IIJmioのeSIMプラン(ベータ版)はiPhone XS/XS Max/XRのほかに、iPad mini(第5世代)、iPad Air(第3世代)、11インチiPad Pro、12.9インチiPad Pro(第3世代)、Surface Pro LTE Advancedでも利用できる。また、キャリアで購入した端末の場合、SIMロックを解除しないと、IIJmioを含む他事業者のeSIMサービスは利用できないので、その点は注意が必要だ。

 手続きとしては通常のIIJmioの契約と同じように、会員登録のうえ、「mioID」と「パスワード」の発行を受ける必要がある。申し込みをすると、設定用のQRコードが送られてくるので、他のiPhone向けeSIMサービスと同じように、iPhoneの[設定]アプリの[モバイル通信]-[モバイル通信を追加]の順に選んで、QRコードをスキャンするだけ。

QRコードを読み取ると、新しいプランを追加できる

 あとは必要な情報(プロファイル)がダウンロードされ、すぐに利用を開始できる。今回はメディア向けの試用版だったため、いきなりQRコードを読み取ることができたけど、契約後の「SIMカードの送付」という手続きがなく、すぐに利用開始できるのはメリット。
 実際の通信速度については、平日の午後の段階で、受信時2Mbps程度だった。ただし、これはおそらく試用版としての制限で、筆者が普段、利用しているIIJmioでは条件が良ければ、受信時10~20Mbpsオーバーで利用できることもあるので、実利用ではもう少し高速な通信が期待できそう。受付は7月18日から開始で、「eSIMデビュー応援キャンペーン」として、7月18日~7月31日、8月1日~8月14日、8月15日~8月28日と3回に渡って、個別の内容のキャンペーンが実施される。

新たに発行される電話番号は「020」で始まるIoT向けのもの

 料金プランは「ライトスタートプラン(eSIMベータ版)」という名称で、月額1520円(税抜)で最大6GBまで利用できる。既存の物理的なSIMカードと併用できるので、各携帯電話会社の契約は物理的なSIMカードで保持しつつ、データ通信はIIJmioのeSIMプランで節約するというスタイルを狙ってるようだ。ただ、各携帯電話会社の料金プランも一連の見直しで下がってきていて、月額1520円を上乗せするなら、各社のプランを大容量にした方がおトクという解釈もできる。

iPhone XS Maxの[設定]アプリ内で、どちらの回線のモバイルデータ通信を有効にするのかを設定できる

 IIJの加入者管理機能(HLR/HSS)を自社で持つ「フルMVNO」としての強みに加え、カンタンに登録できるiPhoneのeSIMの特長を活かすのであれば、前述の3香港のプランのように、契約そのものは半年くらい保持しつつ、月末のギガが足りないときだけ、eSIMプランを利用する(データ通信量はある程度、制限するとして)なんてスタイルの方が既存のiPhone XS/XS Max/XRユーザーになじみやすいような気がする。

 筆者の知人で趣味が登山という人がいて、メインの回線とは別に、万が一のときのために、山奥でも使えるNTTドコモ網を利用したMVNOサービスの契約を検討したいと話していたけど、そういった用途にも適しているかもしれません。既存の料金プランと同じような月額プランではなく、もうちょっと工夫を凝らしたユニークなプランの登場を期待したいところですな。

【お詫びと訂正】

 記事初出時、IIJのeSIMを利用するには「auとソフトバンクで購入した端末の場合、SIMロック解除が必要」としていましたが、フルMVNOとして提供されるサービスのため、ドコモで購入した端末の場合もSIMロック解除が必要です。お詫びして訂正いたします。