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終了したLINE Pay「祝!令和 全員にあげちゃう300億円祭」に思うこと

 友達に1000円相当の「LINE Payボーナス」をプレゼントできる、「LINE Pay」のキャンペーン「祝!令和 全員にあげちゃう300億円祭」が終了しました。当初の開催期間は5月20日~29日の予定でしたが、いろいろあって延長されていたもの。

 筆者は初日の5月20日に、「LINE」でつながっている友達に片っ端から送信したのですが、結局受け取ってくれたのは片手で数えられるくらいでした。

 「LINE Payボーナス」を受け取るには本人確認が必須かつ、その本人確認のためには免許証など写真付きの身分証のアップロードや銀行口座との紐付けが必要ということで、母から「身分証を送れって、これって詐欺じゃないの?」と疑う電話がかかってきたり、友達から「変なメッセージが来たけど、LINE乗っ取られてない?」と心配されたり……。このキャンペーンに参加してみてよくわかったのは、電子決済が普及するまでの道のりはまだまだ遠いなぁということでした。

 いくら電子決済が便利だよ、お得だよと言ったところで、新たに何かしらのアプリを入れてもらって、そこにクレジットカードや銀行口座を紐付けて使ってもらうというのは、非常にハードルが高いわけです。

 その点、「LINE Pay」なら、そもそも「LINE」を使っている人が多いから、新たにアプリをインストールしてもらう必要がないわけです。ひょっとしたらこのキャンペーンで一気に普及もあるのではと期待したのですが、筆者とつながっている友達や家族の反応、送った「LINE Payボーナス」の受け取り状況を見る限り、話はそう簡単にはいかないようです。

終了した「祝!令和 全員にあげちゃう300億円祭」のキャンペーンページでは、自分が送った「LINE Payボーナス」の額や送った相手、受け取り状況を確認できた。
筆者の友達はキャンペーン終了まで、そのほとんどが未受領だった。

 「LINE Pay」に限らず、最近は各決済サービスが様々なキャンペーンを展開し、利用店舗もどんどん広がって競争が過熱していますが、一方で盛り上がっているのはサービスを提供する側ばかりで、実際には消費者もそれから導入店舗も、この過熱ぶりについていけていないのでは……と思う出来事も。

 というのも先日、近所のドラッグストアが「PayPay」に対応したのですが、実はそのドラッグストアはつい最近まで「LINE Pay」推しだったのです。先月までレジの周りには「LINE Pay」のキャンペーンポップが目立っていたのに、今月になって行ってみたら、今度は店のいたるところで「PayPay」のキャンペーンがアピールされていました。「LINE Pay」にも引き続き対応はしているようですが、「PayPay」がお得ならそっちで払おうとレジで「PayPayで」と告げたところ、店員さんが明らかな困り顔に。結局、別の店員さんが駆けつけてくれて無事決済することができたのですが、新たな決済手段がどんどん導入される一方で、現場が追いついてないんだなぁという印象を受けました。

 また、沖縄の行きつけのダイビングショップにも「PayPay」が導入されたのですが、オーナーによれば導入から1カ月以上が経つものの、実際に「PayPay」で支払ったのは筆者のグループだけということでした。「今ならキャンペーンで手数料が無料だっていうし、手続きも簡単だったから導入してみたけど、使う人もいないし、キャンペーンが終わったらやめちゃうかも」とオーナー。各社の営業努力によって、電子決済が使える場所は小さなお店や地方にもどんどん広がっているように見えますが、導入店舗側の感覚は案外こんな感じなのだなと思った次第です。

 競争が過熱して毎月のように新しいキャンペーンが展開されている今なら、最大20%還元とか、クーポンがもらえるとか、実利が得られる機会が多いのは事実。だから電子決済を使い始めるなら早めがお得なのは間違いないのですが、一方でたとえば同じ「LINE」でも、決済に使えるものの中にポイントだったり、ボーナスだったり、条件の異なる手段が複雑に入り組んでいて、これを理解して使いこなせというのは、ちょっと無理があるんじゃないかとも思います。

 ただでさえいろんな決済サービスがあってややこしいのに、複雑なしくみがさらにハードルを高くしまっている。これは「PayPay」なども同じでしょう。積極的に使う人がたくさんいなければ、もちろん導入した店舗もメリットがないわけで……。LINEは今年度、「LINE Pay」の月間アクティブユーザー数を全世界で1000万人にするという目標を掲げていますが、大盤振る舞いの今回のキャンペーンでその目標に一体どこまで近づいたのか、成果が気になるところです。