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Mate 10 Proを1年以上使ってみての感想

【HUAWEI Mate 10 Pro】

 発売から1年の時を経てDSDVに対応、OSもAndroid 9になって完全体に進化した「HUAWEI Mate 10 Pro」。すでに後継モデル「Mate 20 Pro」が出てしまっているが、度々実施されているセール価格での販売やこれまでのバージョンアップ内容などを踏まえると、競争力はまだまだあるほうではないだろうか。本コーナーでもそのアップデートの過程をお伝えしてきたが、今回はざっくりと集大成的に振り返ってみたい。

バージョンアップで進化

 発売後の細かなアップデートやOSバージョンアップで、後継モデルに劣らぬ機能が追加されてきた。

 筆者がよく利用しているところでは、インカメラを使う顔認証機能だ。机に置いた端末のロック画面を解除する際も電源ボタンを押すだけと、とても簡単になった。手に持っている場合は指紋認証のほうが素早く操作でき、両方を併用している。

 筆者的には紆余曲折あったDSDV(デュアルSIM、デュアルVoLTE)対応も重要なポイント。au網のVoLTEも対応したことでMVNOを含め、キャリアを選ばない端末になった。

 カメラも、1年という期間を経て、それなりに向上した。発売直後は、飲食店など比較的暗い環境でのホワイトバランスの判定やダイナミックレンジの仕上がりに違和感を感じることも多かったが、徐々に改善されていった。「ギャラリー」アプリも旅の行程などの写真は自動的に判定してアルバムにしてくれるなど、AI系の機能は総じて着実に進化した。

今でもけっこう使える、元からのスペック

 そもそもカメラはライカ監修の広角レンズを搭載し、日中の屋外など良好な条件では、AI処理も相まって抜群の写りを披露する。また、「Mate 10 Pro」はモノクロ専用センサーを備えており、モノクロ撮影は極めてシャープで高画質な写真を撮影できる。後継モデル「Mate 20 Pro」ではモノクロセンサー非搭載となり方向を違えてしまったことから、モノクロセンサーの搭載は「P20 Pro」など同世代のモデルで終わってしまう仕様になりそうな気配だ。

 CPUの性能は十分高く、日常の利用で不満はない。残念ながら3Dゲームでスコアや順位を競うといった攻めまくった用途での使い勝手は分からないが、メモリー(RAM)は6GB、ストレージは128GB(microSD非対応)と、こちらも現時点で決して見劣りするようなものではない。

 有機ELディスプレイの具合は良好。動画などは下手なPC用ディスプレイより発色よくキビキビと表示できる。額縁はかなり狭く抑えられているし、昨今賛否が分かれる“ノッチ”がないのも、気にする人にはポイントかもしれない。焼き付きは、ゲームを長時間する人は注意が必要だ。実用系アプリでは、背景を真っ黒にして有機ELの負荷を減らす「有機ELモード」を用意している場合もあるので、画面の消費電力が気になる場合は活用したい。

 “超高速充電”とうたう「HUAWEI SuperCharge」は本当に高速で、未だに「もう充電できたのか」と驚くほど、満足度はかなり高い。専用のACアダプターや5A対応ケーブルが必要だが(1セットはパッケージに同梱)、職場などに追加で1セット用意しておきたい。

 見逃してはいけないのが防水・防塵に対応しているところ。背面もガラスのため指紋は残りがち、汚れが目立ちがちだが、手洗いのついでにサッと水で洗ってしまえるのはラク。もちろん小雨などを気にする必要もない。

工夫がいるポイント

 FeliCa・おサイフケータイに非対応という点は今でも少し残念だなと思う。これには明確な代替手段はない。NFCを使って、PASMOの残高をチェックするといったことは可能だ。

 3.5mmのイヤホンジャックは非搭載。USB Type-C接続の変換アダプターを使用するか、Bluetooth接続のイヤホン・ヘッドホンを利用することになる。aptX HDやLDACなど高音質コーデックはサポートされている。

 この端末をこれから購入する人に伝えておきたのは、裸運用の場合、とにかく端末がよく滑るということだ(笑)。背面のガラスが上等な仕上げのためか、置いた場所にわずかな傾きでもあればヌル~っと滑り出し、いつの間にか別の場所に落ちているといったことが起こる。驚いたのは、ズボンの前ポケットからでも外に出ようとする点。イスに浅く腰掛けた場合や、自動車の座席などでは、いつの間にか落下しているので注意したい。

 筆者は結局今までケースを付けない、どころか保護フィルムも貼らなかった裸運用で通してしまった(推奨している訳ではない)が、ケースや専用アクセサリーの類の充実度は、さすがにiPhoneなどにはおよばない。今から「Mate 10 Pro」を購入するという場合、通信販売などを活用して在庫をうまく探しておきたい。

今、賢明な選択ではないでしょうか

 この業界で、1年以上前に発売された端末を“未だに”使っていると肩身の狭い思いをすることになるが、一般的にはそこまで周りの目は厳しくないと思う。最新ハイエンドモデルの価格がかなり高い水準になってしまっていることを鑑みても、元ハイエンドモデルの「Mate 10 Pro」をセール価格などで入手するのは賢明な選択肢ではないだろうか。

 筆者はモノクロセンサー非搭載という点で後継モデルの「Mate 20 Pro」への買い替えを躊躇してしまったが、そういう「Mate 10 Pro」の「とても気に入っているポイント」がいくつかある。そうした点が見つかれば、長く付き合えるのではないかと思う。