みんなのケータイ

現金を電子マネー化した話と電子マネーを現金化した話

 今年も取材や旅行でいくつかの国を訪れましたが、そこで感じたのが、「キャッシュレス化が急速に進んでいるなぁ」ということ。WeChatPay、AlipayなどのQRコード決済が浸透している中国をはじめ、ロンドンやサンノゼではほとんどの支払いがApple PayでOK。中には「キャッシュお断り」というお店まであり、ここまできているのかと驚かされました。

 日本でもいわゆるFeliCa系電子マネーからApple PayにGoogle Pay、QRコード決済もいろいろ広がっていて、今年は本当に「なんとかPay」関連のニュースが盛りだくさんでした。筆者自身も移動はSuica、コンビニではiDや楽天Edy、割り勘はLINE Pay、スタバではアプリのスターバックスカードというように、最近は現金を使う機会がますます少なくなってきたなぁと感じています。

 SuicaやLINE Payなどプリペイド型の電子マネーでは事前にチャージが必要ですが、それもクレジットカードや銀行口座からできるので、ここでも現金の出番は普段あまりありません。しかし最近、外貨(現金)を電子マネー化できる「ポケットチェンジ」がSuicaやPASMOへのチャージに対応したと聞き、中国出張の帰りに余った人民元で試してみることにしました。成田空港にある「ポケットチェンジ」に20元紙幣を入れて、交換する電子マネーでSuicaを選択。リーダー/ライターにSuicaの入ったApple Pay対応のiPhoneまたはおサイフケータイ対応のスマホ(またはSuicaカード)をあてれば、ピッとなって完了です。

 ちなみに当日のレートだと20元は約326円でしたが、チャージされた金額は手数料などが引かれて276円となっていました。両替の手数料と考えるとちょっと高い気もしますが、この手軽さはほかにないので、まぁ仕方ないかと納得。「ポケットチェンジ」は日本のクレジットカードからはチャージができないWeChatPayにチャージするための手段としても知られていますが、使用頻度の高いSuicaへチャージできるようになったことで、日本国内でもさらに便利に使えるようになったのではないでしょうか?

成田空港に設置されている「ポケットチェンジ」。チャージ先の電子マネーに、Suicaなど交通系ICカードが選べるようになった。外貨を入れてチャージ先を指定し、ピッとするだけと手続は簡単!

 さて、それから数日後のある日のこと。筆者はうっかり財布を忘れて出かけてしまいました。先にも書いたように最近は移動も買い物も、筆者の行動範囲内ではほとんどの支払いがスマホで決済ができるようになっているので、普段なら財布を忘れてもあまり困ることがありません。しかし、この日に限っては、どうしても現金が必要でした。知人と新宿御苑へ行くことになっていたからです。

 新宿御苑の入園料200円は現金のみで電子マネーには非対応。経産省が「キャッシュレス・ビジョン」とか発表している一方で、「環境省所管の施設の入園料が現金のみとかどうよ?」と悪態をついたところで、どうにもなりません。たった200円とはいえ、次にいつ会うかわからない相手に借金をするのは気が引けるので、なんとか現金を得る方法はないだろうかと詳しい友人に電話で相談したところ、セブン銀行のATMには「スマホATM」という機能があり、LINE Payを現金化できると教えてもらいました。

 早速、近くのセブン-イレブンに駆け込み、ATMのメニューから「スマートフォンでの取引」を選択。指示に従ってスマホのLINEアプリを起動し、LINE Payの設定から「出金」を選んでATMに表示されたQRコードを読み取りました。あとはスマホに表示された4桁の企業番号と認証番号をATMに入力して、出金額を指定すればOK。見ると2800円くらい残高があったので、1000円を引き出しましたが、もし残高が少なくてもLINE Payに銀行口座が紐付いていれば、スマホでの手続きでチャージが可能です。

 なお、セブン銀行の「スマホATM」ではこのほか、ドコモ口座、じぶん銀行の出金などにも対応しています。筆者のように財布を忘れてスマホしか持っていないときに、現金を得るための方法として覚えておくと役立つかもしれません。

「スマートフォンでの取引」を選んで、QRコードを読み取り、コードを入力するだけ。なお、LINEアプリはできるだけ最新のものにアップデートしておく必要があります。スマホから無事に現金をゲットできました

 ちなみに「スマホATM」におけるLINE Pay利用限度額は1日あたり1万円で、最低利用額は1000円から。一律216円の出金手数料がかかります。提携銀行の時間外手数料相当ですが、とはいえ1000円で216円と考えるとかなり割高です。結果として、新宿御苑の入園料以上の手数料を支払うことになってしまったわけですが、まぁ背に腹は変えられません。たった1000円かつ216円損をしたとはいえ、このときの私にとって現金を得られた安心感は格別なもの。「キャッシュレス化が進んだとはいっても、まだまだ現金も必要だな。いざというときのために今度からスマホケースに1000円入れておこう」などと、しみじみ考えさせられたエピソードでした。