DATAで見るケータイ業界

通信モジュールの動向で悲喜こもごもとなった「契約純増数」

グラフで比較するキャリア決算(1)

 携帯キャリア各社の2019年7~9月期決算が5日までに出揃った。今回から、3社の主要数値を比較していく。まずは契約純増数に焦点を当てる。

通信モジュールに救われたNTTドコモ、足を引っぱられたソフトバンク

 2019年9月末時点における各社の累計契約数は、NTTドコモが7920.3万(前四半期比30.7万増)、KDDIが5727.9万(同91.1万増)、ソフトバンクが4479.0万(同1.8万増)となった。ソフトバンクの純増数は、純減だった2017年4~6月期以来、約2年ぶりに10万の大台を下回っている。

 次に、純増数の中身に踏み込むため、通信モジュール契約などを除外しスマートフォンを中心とした契約数に絞り込んだ状況を見てみたい。

 すると、さきほどのグラフとは大きく様相が異なる。

 ソフトバンクは、スマートフォンや従来型携帯電話、タブレットなどの「主要回線」が54.9万増を記録した。四半期ベースでみると、この数字は2014年度以降で最大となっており、好調さが浮き彫りとなった。総契約ベースでの純増数が1.8万増にとどまったのは、通信モジュール等が45.2万の大幅減で足を引っぱったことによる。

 一方のNTTドコモは、通信モジュールの増加分(47.7万)を差し引けば、契約数は実質的に純減だったと言える。4~6月期も1.3万増にとどまっており、ここにきてブレーキがかかっている。解約率に大きな変動がなかったことから、新規獲得の不調または(ドコモブランドの解約率には含まれない)ドコモ網MVNOの減少が影響したとみられる。同社は2020年3月末時点の契約数計画を、当初の7950万から8000万へ50万引き上げたが、これも「モジュールの貢献が大きい」(吉澤社長)とのことだ。

 ソフトバンクの数字にはY!mobileやLINEモバイルが含まれており、数値の単純比較はできないものの、両社の数字は明暗が分かれた。

 なお、グラフ内でKDDIは19年度以降を空欄としている。これは、同社が19年度から個人向け(パーソナルセグメント)の動向については「契約者数」に開示を一本化していることによる。au契約者数は9月末時点で2441.0万人、前四半期比5.3万減だった。MVNOの契約数を加えた「モバイルID数」は、同6.5万増の2709.0万となっている。

MCA

IT専門の調査・コンサルティング会社として、1993年に設立。「個別プロジェクトの受託」「調査レポート」「コンサルティング」などクオリティの高いサービス提供を行う。