山根康宏の「言っチャイナよ」
5000円台のLTEスマホやスタイリッシュなモデルが続々登場
(2015/7/8 08:00)
世界シェアで着々と順位を上げる中国のスマートフォンメーカー。本誌「みんなのケータイ」でもおなじみの香港在住のモバイル・ジャーナリスト山根康宏氏が最新の中国スマホ事情を解説します。2015年5月はスタイルやデザインを強化したモデルや、1万円台で特徴ある機能を搭載した製品、さらには5000円台の超低価格LTEスマートフォンが登場しました。
OPPO、スタイリッシュな「R7」「R7 Plus」を発表
OPPO(広東欧珀移動通信)はデザインを強化したラインナップの「Rシリーズ」に属する新機種2製品を発表した。現行モデルの「R5」は世界最薄クラスの4.85mm厚。これに対して「R7」は6.3mm、「R7 Plus」は7.8mm厚と若干厚みを増したものの、アルミ一体化整形ボディのスタイリッシュな外観をそのまま追従している。両モデル共通の機能は同社開発の急速充電VOOCに対応、5分の充電で2時間の通話が可能だ。また、OSはAndroid改変のColor OS 2.1を採用、2日おきに利用者が就寝中の夜中にシステムのクリーンアップを行う機能も内蔵されている。通信方式はTD-LTE、FDD-LTE、TD-SCDMA、W-CDMA、CDMA2000、GSMのうち、通信事業者向けに組み合わせを変えた製品が出荷される。
チップセットはSnapdragon 615(1.5GHz、クアッドコア)。メモリーは3GB、ストレージはR7が16GB、R7 Plusが32GB。メインカメラが1300万画素、サブカメラ800万画素も両モデル共通仕様だ。SIMは1スロットにナノSIMを2枚またはナノSIM+マイクロSDカードの組み合わせ。R7は5インチ、フルHDディスプレイ搭載、サイズは143×71×6.3mm、147g、価格は2499元(約4万9600円)。R7 Plusは6インチ、フルHDディスプレイを搭載、背面カメラの下に指紋認証パッドを搭載、サイズが158×82×7.8mm、203g、価格は2999元(約5万9500円)
スワロフスキーを纏った「Sugar2」
Sugar Mobileは本体の側面にスワロフスキーの人工ダイヤモンドを配置した高級女性向けスマートフォン「Sugar2」を発表。同社は2013年以来1年1機種の新製品を発売しているが、このSugar2はそれらの集大成ともいえるデザインと仕上げに力を入れたモデルだ。
本体側面に埋め込まれたスワロフスキージルコニアは合計136個。一つ一つがカッティングの向きを正確に合わせて配置されており、光が当たると美しい輝きを見せる。本体背面も細かい琥珀を重ねたようなデザインで高級感を増している。ディスプレイ下にはブランド名でもあるSUGARの名前を配置。カメラは美顔エフェクトを備えるほか、マニュアル撮影にも対応する。
チップセットはMT6752(1.7GHz、オクタコア)、メモリーは2GB、ストレージは16GB、ディスプレイは5.2インチ、フルHD。カメラは1300万画素と、フロントに800万画素を配置。OSはAndroid 4.4.2改変のSugar OSを搭載する。通信方式はTD-LTE、FDD-LTE、TD-SCDMA、W-CDMA、GSM対応。SIMスロットは1つでサイズはマイクロSIM。サイズは147×74×7.8mm、120g。価格は高級モデルだけあって高く3999元(約7万9300円)。
3GBメモリーと指紋認証対応で低価格な「K1 Note」
「直角」という社名の直角科技術はその名前の通り、スクエアなイメージを強調したデザインのスマートフォン「K1 Note」を発売した。Noteの名が付くことからわかるようにディスプレイサイズは5.5インチと大型で、1400万画素とやや高解像度なカメラも搭載する。本体側面は金属フレームのラインが走り、背面カバーは濃いブルーの色と細かい模様を配置した特徴あるデザインとなっている。なお、標準的なホワイトカラーのモデルも用意されている。そしてホームボタンは指紋認証機能も備え本体のロック解除に利用できる。
チップセットはMT6752(1.7GHz、オクタコア)、メモリーは3GB、ストレージは16GB。5.5インチ、フルHDディスプレイを搭載し、カメラは1400万画素とフロント500万画素。OSは素のままのAndroid 4.4を採用している。通信方式はTD-LTE、FDD-LTE、W-CDMA、GSM対応。SIMスロットはマイクロSIM+マイクロSIMのデュアル。サイズは156.7×77.5×9.3mm、160g。大容量メモリー搭載にも関わらず価格は1199元(約2万3800円)とミッドレンジ下位クラスの製品と同レベルに抑えられている。
サファイアグラス採用ながら2万円の「Lovme T6+」
中国メーカーのスマートフォンの中にもディスプレイに傷のつきにくいサファイアグラスを採用している製品が増えている。Lovme Technology(深セン愛我科技)の「Lovme T6+」もそんな製品だが、価格は2万円を切る低価格モデルだ。しかもディスプレイ面だけではなく背面側にも採用している。なお、本体は金属製で、側面部分はエッジを出したカッティングがデザイン上のアクセントとなっている。本体カラーは黒だけだが、ピンクやブルー、ブラウンなどのカラーバリエーションも予定されているようだ。
スペックは999元(約1万9800円)という価格相応で、チップセットがMT6732(1.5GHz、クアッドコア)、メモリーが2GB、ストレージが16GB。5インチ、HDディスプレイに、1300万画素カメラ+フロント800万画素カメラ。OSはAndroid 4.4。通信方式はTD-LTE、TD-SCDMA、GSMのみ。マイクロSIM+マイクロSIMのデュアルSIM仕様で、それぞれのSIMごとに中国でメジャーなSNS、WeChatのアカウントを個別に利用できる。サイズは141.5×70.5×7.5mm。
Etonが1000元切りのデカバ端末投入
大容量バッテリー搭載モデルを次々と発売するEton(深セン市億通科技有限公司)から低価格なデカバ搭載スマートフォン「P51」が発売された。同社のデカバシリーズの愛称は「動力王」。この動力王P51は5インチモデルながらも4000mAhの大型バッテリーを内蔵している。本体の厚みも9.3mmに抑えられ、このフォルムの中に大きいバッテリーが入っているとは思えないデザイン。
省電力モードで動かせば最大35日の待受が可能だ。高密度なバッテリーを採用しており充電速度は一般的なバッテリーより30%高速だという。そして、同社独自のFEC急速充電技術により2.5時間でバッテリーを空から満充電することが可能だ。さらにはOTGケーブルを使い、P51をモバイルバッテリーとして他のスマートフォンなどを充電することもできる。
チップセットは非公開だが、MT6732(1.5GHz、クアッドコア)と予想される。1GBメモリー+8GBストレージを搭載。5インチ、HDのディスプレイを装備し、カメラは800万画素+フロント200万画素。OSはベースがAndroidのYunOS 3.0。通信方式はTD-LTE、TD-SCDMA、GSMに対応。マイクロSIM+マイクロSIMのデュアルSIM仕様。サイズは142.8×70.8×9.3mm、177g。価格は999元(約1万9800円)。
Jiayuから5000円台のLTEスマホが登場
ここ数か月の間に499元(約9800円)クラスの超低価格LTEスマートフォンが各社から発売される中、今度はJiayu(宝鶏市佳域宇通電子科技有限公司)から299元、日本円で約5900円の「F2 4G普及版」が登場した。すでに599元(約1万1800円)で発売しているLTEスマートフォン「F2」の仕様を変更してコストを切り下げたエントリーモデルだ。チップセットはSpredtramのSC9830(1.5GHz、クアッドコア)を搭載、メモリーが512MB、ストレージが4GBと最小限に抑えている。カメラも背面が200万画素、フロントは30万画素だ。
一方、ディスプレイは解像度がFWVGAながらも5インチと大型のものを搭載。他社の超低価格モデルよりも見た目で優位に立っている。OSはAndroid 4.4。通信方式はSC9830がTD-LTE、FDD-LTE、TD-SCDMA、W-CDMA、GSMの5モードに対応するが製品としては不明。販売は中国移動の店舗のみとなっている模様である。
陶器をイメージしたデザインの「T1」
家電大手のAUX(奧剋斯集団通訊公司)からはインテリア用品をイメージした、陶器のような背面デザインを持った「T1」が発表された。各社スマートフォンの機能の横並びが進む中、デザインで差別化と高付加価値化を目指したモデルだ。本体カラーも白色ではなく「磁気ホワイト」とあえて表記している。なお、この電池カバーは樹脂製で、表面の塗装により陶器のような模様を表現している。陶器を素材に使うのは難しいにせよちょっと残念だ。
チップセットはMT6752(1.7GHz、オクタコア)、メモリーは2GB、ストレージは16GB。5インチ、HDのディスプレイを装備し、カメラは1300万画素+800万画素。OSはAndroid 5.0を採用する。通信方式はTD-LTE、TD-SCDMA、GSM。SIMスロットはマイクロSIM。サイズは142.5×69.9×7.2mm、141g。価格は1499元(約2万9800円)と、性能からするとやや強気な設定。