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海外から見た日本の「ケータイソムリエ」
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KDDI総研 藤原正弘 KDDI総研 第二市場分析室。専門は情報通信全般の社会・経済分析ということになっているが、まだネットワーク経済を勉強中の学生の身でもある。最近は、コンテンツ産業の調査にも手を出しており、「アキハバラ」にも馴染みたいのだが、なかなか踏み込めない二人娘の父親でもある。最近のレポートは、KDDI総研R&A誌「ヘドニック価格分析による携帯電話の機能評価」(2005年11月号)、「プラットフォームビジネスにおける企業連携」(2006年3月号)など。 |
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2月18日の朝日新聞(電子版)で「ご当地検定云々」という記事を読んだ。その記事によると、最近は、検定試験を行なう資格が3,000ほどもあるらしい。特に、地域の歴史や文化の知識を問う、いわゆる「ご当地検定」が増えているそうだが、1回限りで続かなかったり、あまりに簡単だったりと、質の低い検定もあるらしく、文科省がガイドラインを作成することになったという。
お上のお許しが無くても、自分でご当地博士を名乗っていればいいのに、と心の中で思うものの、自動車免許しか資格を持たぬ我が身では「知識も能力もないものがなにを言うか」とおしかりを受けるのは必定。そこへまた新しい資格がひとつ加わるようだ。
「携帯電話サービス等の販売員等に係わる検定試験……に関する意見募集」 by 総務省
“等”ってところが霞ヶ関風。誰が名付けたのか、通称「ケータイソムリエ」。この資格は全国区だし、キビシイ消費者の目がいつも光っているだろうから、質に関しては心配ないかもしれない。この「ケータイソムリエ」、海外でも注目を集めているようで、AFPの記事が世界中のニュースサイトやブログで紹介されている。日本のモバイル社会は海外からどう見られているのか、米Slashdotの投稿からいくつか紹介しよう。
- 日本の料金プランは複雑すぎるからソムリエが必要なんだろう。アメリカでは日本ほど複雑な料金プランは見たことがない。
- 「ケータイソムリエ」は、中古車のセールスマンのようなものではないだろうか。ワインのソムリエは文化と伝統を体現するものだが、ケータイは、競争の激しい市場で、流行に左右されやすい商品だ。
- お客さんの中には、あまりお金のことは気にしないで、何ができるか、どこで入手できるか、ステイタスとなるか、便利になるか、といったことを重視する人たちもいる。そうした人にとっては、ソムリエは重宝されるだろう。
- ワインの専門家って、蘊蓄があるんだが、それを聞いて喜ぶのは一部の連中。ほとんどの人は、そんな講釈には煩わされたくないと思っているんだ。
- 本当に必要なのは、中古車セールスマンではなくて、広告・宣伝・営業トークのルールだろう。サービスや料金など、良いところばかり強調したり、最初だけいい条件だったり。それから、契約期間の変更ができるようにするべきだし、その会社の用語を使わずに一般的な言葉で説明するようルール化すべきだ。
- ケータイソムリエはアメリカ人には奇異に映るかもしれないが、日本のケータイ市場は2つの点で違っているんだ。1つめは、ほとんどの人がビデオフォン(テレビ電話機能付き)を持っている。2つめは、ケータイショップの店員さんのサービスの質が断然いい。ドアのところでニッコリ笑って挨拶してくれる。日本の小売業を考えると、ケータイソムリエはおかしくないだろう。
中には日本のことが分かってるような、分かってないような、微妙な感じの投稿も見受けられるが、少なくともネットの世界の住人は、日本のケータイが進んでいて、サービスや料金が複雑なことは分かっているようだ。
延々と蘊蓄を聞かされるのは勘弁してほしいが、ヴィンテージものの端末なんてのがガラス張りのショーウィンドウに並ぶ日がくるのかもしれない。
■ URL
「携帯電話サービス等の販売員等に係る検定試験に対する総務省後援の運用方針」の公表
http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/080225_2.html
(KDDI総研 藤原正弘)
2008/02/27 11:46
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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