ケータイ Watch
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[2003/02/12]

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[2003/01/29]

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[2003/01/16]


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おとなのおもちゃタイトルGIF
大きな液晶が魅力「PocketGear」
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


NECのPDAといえば……

Pocket PC 2002搭載PDA「PocketGear」(MC/PG5000)。実売価格は5万8000円前後
 まだPocket PCやPalm OSといったPDA専用の共通なOSがなかったころ、PDAは電子手帳と呼ばれ国内の各社から発売されていたことがある。もう10年以上前のことなのだが、カシオやシャープなどからリリースされていたことをご存知の方も多いかと思う。実は、その時代、NECからも手のひらサイズの電子手帳が発売されていたのだ。

 その名前は「ET」。CPUにZ80を搭載、バーコードリーダー内蔵、スケジューラーやアドレス帳、表計算、さらにET-BASICと呼ばれるプログラミング言語を搭載し、マニアックな層に支持されたアイテムだ。ちなみに、私は箱つき欠品なしの「ET」を所有していたりする(マニュアルの発行日が1990年1月とあるので、実に12年も前の製品だ)。

 今回発売されたPocketGearは、NECが初めてリリースするポケットサイズのPDAだという記事を見かけることもあるが、実は10年以上前に電子手帳を作っていたりするのである。

 PocketGearは、Pocket PC 2002搭載のPDAだ。ようやく各社、Pocket PC 2002搭載のPDAが出揃った感があるが、それぞれ他にはない特徴を持っている。PocketGearの特徴は、大きめの液晶ディスプレイ(3.8インチ)を搭載していることが挙げられるだろう。大きな液晶ディスプレイ搭載というと、本体サイズも大きいのかなと思う方もいるかもしれないが、PDAそのものの大きさは他社のPDAと比較しても大きいというものではない。

 液晶ディスプレイの解像度は、他社のPocket PC 2002搭載のPDAと同様に240×320ドットなのだが、ディスプレイのサイズが大きいため、非常に使いやすい。PocketGearと比較すると若干小さめの液晶ディスプレイを有する東芝のGENIO eなどでは、動作させるソフトウェアによって、画面が狭くてタップしにくいなんてこともあるのだが、PocketGearではそういうことは感じなかった。

 CPUはStrongARM 206MHzを搭載、拡張性については本体にSDカードスロットとType2のCFカードスロットを有している。このあたりは、他社製のPocket PC 2002と比較しても遜色はない。ただ、問題は本体に搭載されているメモリの容量。PocketGearに搭載されているメモリは、フラッシュROM、RAM共に32MBなのだ。現在発売されているPocket PC 2002搭載PDAの多くは、64MBのRAMを搭載している。そうした他社製のPDAとPocketGearのどちらを購入するか比較検討しているユーザーにとっては、気になるのではないかと思う。

 ただし、住所録やスケジュール管理がメインなら32MBの容量で十分。また、音楽や映像データなどのリッチコンテンツを楽しみたいということなら、たとえメモリが64MB搭載されていたとしても不十分なので、結局はメモリカードに頼ることになる。そういう意味では、PocketGearは、SDカードスロットを有するため、たとえ内蔵メモリが32MBという数字であったとしても、SDメモリを併用すればメモリが不足して困るということはない。


PocketGearの最大の特徴は大型液晶だ CFカードスロットとSDカードスロットを搭載。SDに関してはI/Oには非対応でメモリのみ使用できる

ケータイの文化を取り入れたギミック

ボタン部分が青く光る
 実はPocketGearを使ってみて、とても気に入った点が3つほどある。1つは、たぶんケータイの文化を取り入れているだろうと思われるイルミネーションに関してのギミック。2つめはこれもケータイ文化からのものであろうと思われるストラップ穴、3つめは、本体横サイドに配置されたPGダイヤルと呼ばれるインターフェイスだ。

 イルミネーションに関してのギミックは2つあり、本体のボタンやカーソルキーを押すと、ボタンの奥にある青色のランプが光るというものと、本体上部のPGイルミネーションと呼ばれるインジケータをユーザーが自由に設定できるというものだ。PGイルミネーションは赤、緑、黄、青、紫、シアン、白の7色を設定でき、イルミネーションの点灯や点滅をシチュエーションごとに選択できる。たとえば、Wake On Ringのときには青で点灯、スケジュールの予定がきたときはシアンで点滅というように設定できるわけだ。こうしたイルミネーションの機能はケータイではあたりまえなのだが、PDAに付いているのは非常に珍しい。もちろん、自分で使って悦に入るというということもあるのだが、こうしたギミックは人に見せて自慢するのにも真価を発揮するだろう。

 2つめのストラップ穴についても、PDAでは珍しいもののひとつ。PocketGearの本体裏にはストラップ取り付け用の金具があり、ストラップなどを取り付けることができる。ただ、ストラップ穴は本体裏の右サイドにあるため、ネックストラップをつけて首からさげるといった使い方には向いていない。

 イルミネーションやストラップは言うまでもなくケータイ文化のものだ。ケータイにストラップを付けるのはあたりまえだし、さまざまなイルミネーションで自己主張するケータイの数も多い。こうした、PDAではないまったく別の機器の良いところを取り入れてる姿勢は、それが使いやすいか使いにくいかということを別にしても評価できるポイントだろう。

 3つめのPGダイヤルは本体の左サイドにある、ジョグダイヤル風のボタン。本体を左手にもったときに、ちょうど親指の位置にPGダイヤルがくる格好になる。PGダイヤルは上下カーソルの操作と決定ボタンの操作の2つが複合されているボタン。このボタンを利用すれば、スタイラスを使わずに表示内容をスクロールしたり、タップの操作をボタンから行なえる。ちょっとメモを見たいときや、混んでいる電車の中で電子ブックを楽しみたいなんていうときは、本体前面のカーソルキーよりも使いやすい。


充実したバンドルソフト

ダイヤル式のインターフェイス「PGダイヤル」。片手で持つことが多いPDAでは何かと便利
 ところで、モバイルギアなどのNEC製Windows CE搭載マシンといえば、その特徴のひとつに独自ソフトの豊富さが挙げられる。たとえば、モバイルギアに搭載されているメーラー(MGメール)はHandheld PC標準のメーラーよりもはるかに使いやすい。実際のところ、そういったNEC独自ソフトに期待してPocketGearを購入しようとしている人も多いハズだ。

 PocketGearにもさまざまなアプリケーションが付属しているが、残念ながらモバイルギアにおけるMGメールのように、あらかじめ用意されているアプリケーションを置き換えたソフトはない。だが、なかなか面白いソフトが入っている。

 本体にあらかじめインストールされている独自ソフトは「PGメニュー」と呼ばれるアプリケーションランチャとPocketGearの各種設定を行なうアプレットだ。PGメニューはオリジナルのメニューソフトで、アイコン表示されているアプリケーションをタップすることで、そのアプリケーションを起動できる。もちろん、自分でアプリケーションを登録できる。ただ、Pocket PCの弱点とも言えるアプリケーションの終了を補助してくれる機能はない。PGメニューにこのような機能があれば、さらに使いやすくなるハズなので非常に残念だ。

 設定関係で面白いのは「Wake On Ring」についての設定。Wake On RingとはPocketGearに対応したプロバイダとPHSカードを利用すると、メールが着信したときに自動的に受信トレイを起動しダイヤルアップして、メールを受信してくれる機能だ。この機能を利用すればいちいちメールを受信する手間が省けるので、PDAで頻繁にメールチェックをする人にとっては便利な機能だ。

 本体に内蔵されていないアプリケーションについては、付属のCD-ROMからインストールできる。なかでもiモードとJavaに関するアプリケーションを使えるのが嬉しい。「iディスプレイ」はiモード対応ブラウザで、このブラウザを使えば、PocketGearでiモードの一般サイトを閲覧できる。また、「i-enabler」を使えば、PocketGearでiアプリを動作させることも可能だ。このほか、Javaアプリケーション実行環境の「Jeode」、画像ビューワーの「EasyViewer」、電子ブックリーダーの「T-Time」、乗換案内ソフトの「JRトラベルナビゲータ」などさまざまなソフトが付属している。


■ 評価(最高点は★5つ)

イバリ度 ★★★★ 広い液晶ディスプレイ、怪しく青く光るボタン、色を設定できるイルミネーションなど自慢できるギミックがたくさん搭載されています。
実用性 ★★★ 内蔵メモリの容量が32MBという部分が気になるところ。しかし、CFカードスロットとSDカードスロットの両方を搭載しているので拡張性は十分。
お値段 ★★★★★ Pocket PC 2002搭載モデルとしてはかなり安価。
価格 5万8000円前後 購入のポイントは、やっぱり内蔵メモリの容量でしょう。他社製のPDAのスペックは総じて64MBを搭載しています。この点が気にならなければ楽しいギミックも多いし、買いです。ただ、先にも書いたようにメモリが少ないという点は、外部メモリに頼れば大丈夫。既にPocket PCをバリバリに使っているヘビーユーザーよりも、これからはじめてPocket PCを使う人に使って欲しい一品です。
利用期間 半年くらい
1日あたり単価 318円


・ PocketGear 製品情報
  http://121ware.com/pg/
・ ニュースリリース
  http://www.nec.co.jp/japanese/today/newsrel/0110/0501.html

NEC、iアプリ対応でCF/SDスロット搭載のPocket PC「PocketGear」
同じ解像度でも、やっぱり液晶は大きい方が使いやすい
「NEC PocketGear」



(広野忠敏)
2002/03/27 13:42

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