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コンパクトモバイルPCの決定版か?カシオ「CASSIOPEIA FIVA MPC-206」
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 自宅や会社でデスクトップのパソコンを使っている人にとって、さらに買い足すとすれば選択肢はノートやサブノートといったパソコン。デスクトップパソコンを使っていると、どうしても気になってしまうのがノートやサブノートといったパソコンの存在だろう。2台目のパソコンとして、モバイル用途のノートやサブノートパソコンが欲しいと思っている人も多いハズだ。そこで、今回はカシオ計算機のサブノートパソコン「CASSIOPEIA FIVA MPC206」を取り上げてみたい。


サブノートパソコンの役割って?

大きさは223×197×21.2mmで重さは990g。キーピッチは16mmで、液晶サイズは8.4インチ

 さて、いきなりFIVAの紹介をする前に、サブノートパソコンの役割とは一体どういうものかを考えてみることにしよう。サブノートといえば「B5ファイルサイズ以下のコンパクトなパソコン」を指すのが一般的だ。デスクトップパソコンやA4ファイルサイズのパソコンと比較すると、画面の解像度が狭かったり拡張性に乏しかったりするため、1台目に所有するパソコンというよりは、2台目以降のパソコンとして購入する人が多いハズ。

 目的はもちろんモバイル用途だ。たとえば、出先でちょっとパソコンを使いたい、仕事やプライベートでメインに使っているパソコンで使ったデータを持ち運びたい、打ち合わせの時にパソコンがあれば便利、スターバックスコーヒーのオープンスペースでメールの送受信やインターネットをしてイバってみたい、などなどサブノートパソコンはモバイルでのさまざまな用途に答えてくれるのである。

 こうしたモバイルでの用途を前提に考えると、サブノートパソコンに要求される機能はおのずと決まってくる。まずはバッテリーでの動作時間。モバイルで使うことを考えると、当然のことながらバッテリーでの駆動時間は長ければ長いほどいい。次に最低限の解像度を持っていること。狭い画面でWindowsを使うとストレスが溜まってしまうので、当然のことながら画面は広いに越したことはない。さらに外出時のネットワーク環境。出先に必ずLANコネクタがあるなんてことはありえないので、さまざまな接続手段があればベストだろう。そしてネットワークコネクタが標準装備されていること。サブノートを単体で使うよりも、自宅や会社のネットワークに繋がる方がメインマシンと使い分ける上でもなにかと便利だ。

 こうした視点でモバイル用途でのサブノートを物色してみると、すべての要求を満足してくれる製品というのは意外と少ない。そんな中でなかなかポイントが高いサブノートがある。それがFIVAなのだ。


FIVAはこんなサブノートパソコン

FIVAはA5ファイルサイズ。B5ファイルサイズの「ThinkPad i Series 1620」に重ねてみると、改めて小ささを実感できる

 先ほどの「サブノートへの要求」とFIVAのスペックを照らし合わせてみよう。

 まずは大きさと重さ。FIVAの本体はA5ファイルサイズ。つまり、A4の雑誌の半分の大きさである。厚さは約2cm、重さは990g。数字で書いてもあまり実感は湧かないかもしれないが、とても小さくとても軽い。この程度の大きさと重さならば、いつも持ち歩くことを考えても大した負担にはならないハズだ。

 次にバッテリの駆動時間。FIVAに搭載されているCPUはCrusoe TM-5600(600MHz)である。Crusoeは最近話題の低消費電力のCPUだ。パフォーマンスは同クロックのPentium 3と比較するとやや見劣りするが、Celeron 400MHzと同じくらいのスピードで使うことができる。2台目のモバイルパソコンとして考えれば十分なスペックだろう。ちなみにFIVAのバッテリー駆動時間だが、連続3~4時間程度の駆動は楽勝。スターバックスのオープンスペースで使うことを考えれば十二分な性能である。

 さらに画面の大きさ。FIVAには8.4インチのTFTカラー液晶が搭載されている。最大解像度は800×600ドットで、1677万色のカラー表示。800×600ドットということでデスクトップパソコンやA4サイズのノートパソコンと比べると解像度が狭く使いにくいと思われるかもしれないが、FIVAの場合は液晶が8.4インチとコンパクトなため、これ以上の解像度だとフォントが小さくなりすぎて使いにくくなってしまう。つまり、これはこれで適切なサイズだといえるだろう。ちなみに外部モニタ接続端子も標準で用意されていて、外部モニタに接続した場合は、1024×768ドット6万色の表示が可能だ。

 そして特筆すべきなのはFIVAの拡張性だ。このクラスのサブノートパソコンというと、拡張性が乏しいとか、周辺機器を購入したのはいいけど繋がらなくてムダになってしまったという話もよく聞くのだが、FIVAに限ってはそのようなことはない。A5ファイルサイズというコンパクトなサイズに、拡張手段がぎっしりと詰まっているのだ。FIVAの拡張手段、インターフェイスをざっと羅列してみよう。

ネットワーク100Base-TX/10Base-T
モデムV.90/K50flex対応、モジュラージャック内蔵
外部インターフェイスUSBポート
IEEE1394ポート
コンパクトフラッシュType2スロット
PCカードスロット
外部モニタ端子
ステレオヘッドフォン端子
外部マイク端子


 いかがだろうか。サブノートパソコンの多くはPCカード、モデム、USBポートの装備は当たり前だ。もちろん、一般のノートやサブノートパソコンでもポートリプリケータを利用すればいろいろと拡張できるものもある。だが、FIVAではわずか990gの本体のみでネットワーク、外部モニタ、さらにはCFカード(Type2)スロットなど、さまざまなインターフェイスを内蔵している。

 たとえば、PCカードスロットに無線LANカード、CFスロットにP-in Comp@ctを装着しておけば、会社では100Mの高速LANに有線で接続、自宅では無線LANで快適にインターネットを楽しみ、そして外出先ではP-in Comp@ctを使ってどこでもインターネットに接続できるといった環境をいとも簡単に実現できるというわけだ。これは他のサブノートなどにはマネのできないことだろう。ただ、私個人的のことでは、サブノートやノートパソコンで赤外線インターフェイスを使うことが多いため、赤外線インターフェイスが装備されていないのが少々残念ではある。




上から左側面、正面、右側面の写真。厚さ2cmのサブノートサイズながら、ありとあらゆるインターフェイスが揃っている


 その他のスペックはというと、メモリは標準で128MBを搭載、ハードディスクの容量は20GB、プリインストールされているOSはWindows Meと、1クラス上のノートパソコンと比較しても決して見劣りはしない性能だ。

 さらにFIVAには面白い機能が搭載されている。本体の右側面にブート切り替えスイッチがついていて、通常は電源投入時にWindows Meが起動するのだが、スイッチを切り替えてから電源を入れると、なんとLinuxが起動するのである。ただし、起動するのは通常のLinux環境とは違い、FIVA用にリファインされている。

 一般的なLinuxは起動するとログイン後にシェルが立ち上がるのだが、FIVAではいきなりX Windowが起動する。搭載されているソフトもMP3プレイヤーとFTPクライアントだけという、かなり限定された環境なのが少々もったいない。ただ、カシオ計算機では保証はしていないが、Linux用のソフトをインストールすることも、環境そのものを変更してしまうことも可能なので、UNIXな人にとっては面白い使い方ができるハズだ。


サブノートパソコンのベストバイかも

 ところで、今回のFIVAはカシオ計算機からお借りした製品を1週間ほど使ってみたわけなのだが、使うにつれFIVAが本当に欲しくなってしまった。大きさがとてもコンパクトで普段の持ち運びがしやすいということもあるのだが、なにより豊富な拡張手段が提供されているのが気に入ってしまった。

 メインマシン、つまり1台目のパソコンとして考えるととても使い物にはならないと思うのだが、2台目、3台目に購入するサブパソコンとしては、このFIVAは現時点でのベストチョイスといえるかもしれない。とはいえ、グランツーリスモ3 A-specとかGT Forceグランツーリスモ A-specとかイヤーレシーバースタイルの新しいネットワークウォークマンとかを購入してしまったので、予算不足でFIVAまでは買えないのである。あー、でもFIVAがとっても欲しいなあ。



■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 ★★  サブノートパソコンだからといってイバれるというものではありません。とはいえこのサイズでWindowsがちゃんと使えて、Linuxも動いてしまうというのはイバれるかも。
実用性 ★★★★★  CFカード、PCカードに加えてネットワークコネクタとモデムが標準搭載されているというように、サブノートながら拡張手段が豊富なのがポイント。
お値段 ★★★★  実売で18万円程度の値段は、このクラスのサブノートとしては比較的安価な値段でしょう。
価格 18万円程度  私の場合、ノートやサブノートパソコンを買うと大体1年は使いつづけます。新製品を買って1年経つと大抵は新しいノートやサブノートを買います。古いノートはどうするかというと、よほどのことがない限りは中古で売ったりオークションに出したりして、新製品の購入資金に当てるわけです。FIVAの場合、1年くらいして飽きたとか、あるいはFIVAに代わる新製品が市場に投入されたとしても、その後1年くらいは使いつづけるような気がします。コンパクトだからサブノートのサブマシンとして使ってもいいし、あるいはLinux環境を充実させるのも面白そうだし、無線環境を構築してブラウザ&メール専用として使うのも面白いかな。そんなわけで、通常利用時間1年のところ、2年で計算しました。
利用期間 730日
1日あたり単価 365円



・ FIVAの製品紹介
  http://www.casio.co.jp/mpc/top.html
・ カシオ計算機のホームページ
  http://www.casio.co.jp/


(広野忠敏)
2001/04/18 00:00

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