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おとなのおもちゃタイトルGIF
史上最強のスタンプ作成環境
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 前回に引き続き、今週もブラザー工業の製品を紹介したい。パソコン関連のブラザー工業の製品といえばレーザープリンタなどのほかにも、前回紹介したラベルライター、そしてスタンプクリエーター、シールメーカーなど、一風変わっているがとても実用的なアイテムをリリースしているのだ。今回はその中からスタンプクリエーターを紹介しよう。スタンプクリエーターは、パソコンを使ってオリジナルのスタンプを作ることができるとても便利な製品なのだ。


■ ラベルの次はスタンプだ

 本体の大きさは116×92×234mm(幅×高×奥行き)と、奥行きの長いデザイン。印刷方式は熱転写で、360dpiの解像度を持つ。WindowsとMacintoshの両方に接続できるシリアルケーブルが付属する

 前回紹介したラベルライター「P-touch 9300pc」にはとてもハマってしまった。とにかく、パソコンでいとも簡単にラベルを量産できるところが楽しいのだ。あまりの楽しさに、貼る予定のないラベルを量産してしまい、途方に暮れてしまったが、やっぱりどんなものでもモノを作るのは楽しいし、楽しいことはとてもよいことだと思う。そして楽しいついでに、今回はスタンプを作ってしまおうというものだ。

 スタンプクリエーター「SC-360pc」は、前回紹介した「P-touch 9300pc」と同様に、ブラザー工業の製品である。「P-touch 9300pc」はラミネートラベルに印刷をしてくれるプリンタだったが、「SC-360pc」は、オリジナルのスタンプを作成するためのハードウェアなのだ。どちらもパソコンに接続して使うようになっている。ちなみに、スタンプクリエーターもラベルライタと同様、スタンドアロンの製品も存在する。しかし、スタンドアロンの製品よりは、「SC-360pc」のようにパソコンに接続してスタンプを作れる製品の方が、自由度も表現力も高いスタンプを作ることができるのだ。

 それでは、「SC-360pc」のスペックを軽く紹介しておこう。「SC-360pc」とパソコンを接続するためのインターフェイスはシリアル。Windows 95/98/NT 4.0とMacintosh(漢字Talk 7.5.3以上)に対応している。USBに対応していないというのはちょっと気になるが、OSの対応の幅が広いのは評価できるポイントだ。

 実際にスタンプを作成するときは、パソコンにインストールしたデザインツール「P-touch Editor 3.0」でスタンプのデザインを行ない、スタンプを作成する。「SC-360pc」に未印刷のスタンプをセットして、「P-touch Editor 3.0」から印刷をすれば、あっという間にオリジナルのスタンプが出来上がるというわけなのだ。

 これは50×18mmのスタンプ。これが1500円くらいで売っている。だいたいこの大きさで「名前」「所属」「メールアドレス」「電話番号」くらいは収まる

 何でそんなに簡単にスタンプが出来るの? と不思議に思う人もいるだろうから、どうやってスタンプを作っているのかを簡単に説明しよう。「SC-360pc」で使う専用のスタンプは、インクパッドが特殊なフィルムで表面処理されている。何も印刷しない状態でスタンプを押しても、パッドのインクは表面のフィルムで浸透することができないので、何も起こらない。ところが、パッドに印刷をするときに、印刷面のフィルムを熱溶融することによって、スタンプを押したときにインクが浸透する部分を作っているのだ。つまり、スタンプに印刷をすると、印刷した部分はインクが通り、印刷していない部分フィルムが残っているためインクが通らないというわけなのである。もちろん朱肉は不要だ。


 気になるスタンプの値段だが、グリップ付きパッドは1000~1800円、交換用のパッドは650~1200円と比較的安価に入手することが可能だ。ちなみにブラザー工業純正品だけでなく、カシオ製のスタンプも利用できる。

 ちなみに、初めはグリップ付きのパッドが必要なのだが、同じサイズのグリップがあれば、パッドだけの交換で新しいスタンプが作れるのでオトクである。これはまあ、詰め替え洗剤みたいなものといえる。なお、スタンプの大きさは、30×9mm、50×6mm、70×9mm、50×18mm、70×27mmの5種類で、それぞれ印刷面のインクは赤、青、黒のバリエーションが用意されている。


やっぱりスタンプ作りも楽しいのだ

P-touch Editorにはビジネスからパーソナルまで、いろいろな用途でつかえそうなテンプレートやイラストが用意されている
 スタンプを作成するためのソフト「P-touch Editor 3.0」。実はコレ、前回紹介したラベルライターに付属していたラベル編集ソフトとまったく同じなのである。つまり、ラベルと同じような感覚でスタンプを作ることができるわけ。パソコンにインストールされたフォントを選んで、印刷面をデザインすれば、すぐにスタンプが出来上がる。たとえば、勘亭流フォントを使って自分の名前をデザインすれば、「あっ」という間に「千社札」スタンプが出来上がるというわけだ。

 自由に枠飾りをつけたり、イラストやビットマップファイルも読み込むこともできるため、かなり表現力の高いスタンプを作ることもできる。さらに、「P-Touch Editor 3.0」には、禁煙サインやさまざまなサインや絵柄が含まれたクリップアート、部品を選ぶだけで似顔絵を作ることができるモンタージュ、入力した文字にさまざまな効果を加えるアレンジテキストなどが用意されている。これらのツールを使えば、自分だけのオリジナルなスタンプを作ることが可能だ。

 こうして「SC-360pc」で作ったスタンプは、ビジネスシーンだけではなく、プライベートでも活用することができるだろう。たとえば、自分の顔写真を取り込んで作ったスタンプをつくり、名刺の裏に押せばオリジナルの営業用名刺が出来上がる。また、社内の連絡印や社名入りのスタンプなど、スタンプはさまざまなビジネスに活躍する。もちろん、プライベートでもスタンプがあれば便利というシュチュエーションは多いハズ。たとえば、自宅の住所と自分の名前が印刷されたスタンプを作っておけば、住所や氏名を書かなければいけないものでもスタンプを押すだけで済む。また、年賀状の住所印などに使うのもいいだろう。

 スタンプを一度作れば、後は押すだけ。1つのスタンプは前述したように約2000回の捺印ができる。この回数を多いとみるか少ないとみるかは使い方によって違ってくるだろうが、市販の出来合いのスタンプや特注スタンプを使うことを考えてみてほしい。もし、インクがなくなったらどうするか。出来合いのスタンプならば、同じスタンプを探して買わなければいけない。特注スタンプなら再注文だ。つまり、スタンプのインクがなくなった時に手間と時間がかかることになる。しかし「SC-360pc」ならばこんな心配は全然いらない。なぜならば、スタンプのインクがなくなったら、同じサイズのスタンプを買ってきて印刷するだけで、まったく同じスタンプを以前と同じように使いつづけることができるのだ。


 ただしスタンプを作るときに気をつけなければいけないポイントが1コだけある。それは、スタンプの作り直しはできないということ。パッドにスタンプを印刷すると、そこでスタンプが完成するわけだが、一度作ってしまったスタンプは、当然のことながら修正することはできない。つまり、印刷に失敗してしまうとスタンプ1個がムダになってしまうのだ。1回の失敗で600円から1000円の出費になってしまうのでかなり気をつけなければいけない。だが、そういう部分もよく考えられているのが「SC-360pc」の偉いところ。

 本体に同梱されている「印面確認シート」(別売もアリ)をあらかじめテスト用グリップにセットして「SC-360pc」で印刷をすると、スタンプを作成してくれるのではなく「印面確認シート」に実際のスタンプのデザインがどのようなものかを印刷してくれる。印面確認シートに印刷してデザインを確認、問題がなければスタンプの印刷面に印刷という手順でスタンプを作れば、スタンプの作成に失敗してスタンプがムダになることも減るだろう。ちなみに、印刷確認シートのかわりに、印面表示シートを使って印刷をすると、スタンプの背に貼る印面表示ラベルを作ることもできるようになっている。と、まあ、「SC-360pc」は割と痒いところに手が届きまくるスタンプ作成環境だといえるだろう。

 文房具店に行くと、ついついシャチハタスタンプのコーナーに足が向いてしまうとか、おもわず自分の名前のスタンプを探してしまうとか、全然必要ないのに業務用スタンプを手にとって見てしまうとか、手帳に押すために使う花柄スタンプや動物スタンプが欲しくなってしまう、というスタンプ好きな人にとっては「SC-360pc」は福音となる製品であるハズなのだ。



■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 ★★★  作ったスタンプをいたるところに押しまくってイバりましょう。
実用性 ★★★★★  とても実用的だといえるでしょう。ただ、製品がちょっと古いため、シリアルインターフェイスのみの対応というのが不満。ぜひUSBにも対応してください。
お値段 ★★★★  本体の価格は2万9800円、スタンプが1つ1000円から2000円。これでスタンプを1つだけ作ると、約3万円のスタンプが出来上がるというわけ。つまり、とりあえずちょっとだけスタンプを作るという人には向いてません。スタンプを量産すれば、スタンプ1コあたりの単価は下がるので、それなりの値段になるでしょう。ちなみに、1番小さいサイズのスタンプを100コ作ると、正味スタンプ1コあたりの値段は29800(本体価格)÷100+1000(グリップ付きスタンプ価格)で、約1298円となる。グリップなしのパッドを使って節約すれば、もっと安く作ることも可能だ。
価格 2万9800円  スタンプって紙にしか押せないので、前回紹介したラベルライターと比べると一般的ではないかも。ただ、スタンプを量産しまくるのは楽しいし、量産しまくったスタンプを使いまくるのも楽しいので、買う価値はあると思います。なにより、スタンドアロンのスタンプクリエーターと比べると、1024倍くらいこちらの方が使いやすいのがいいですね。
利用期間 365日(1年)
1日あたり単価 87円



・ SC-360pcの製品紹介
  http://www.brother.co.jp/stampcreator/sc360pc.html


(広野忠敏)
2001/03/21 00:00

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