ケータイ Watch
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ボールペンで書いたメモがそのまま画像データに!
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[2003/03/07]

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ドッキング可能なタブレットPC
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おとなのおもちゃタイトルGIF
ワイヤレステレビはすっごく便利「ソニー エアボード IDT-LF1」
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 今回のお題はソニーの「エアボード」である。12月上旬に発売されたばっかりの製品なのであるが、なんとこの「エアボード」はワイヤレス液晶テレビで、インターネットに接続してホームページを見たり、メールもできるという優れものなのだ。実は、一瞬買おうと思ったのだが、最近物欲予算が少なくなりつつあるのと、個人的に気になる部分があったため購入を断念しました。でも、めっちゃ使いたかったのでムリ言ってお借りしたわけなのだ。


■ なんだかすっげー便利

エアボード
エアボード
ソニー パーソナルITテレビ“エアボード”「IDT-LF1」。オープンプライス、12月1日発売。実売価格は13万円を切るていど。切り離し可能なタッチパネル付き10.4型液晶パネルを搭載したモニターと、インターネットや電子メール、テレビ放送やビデオなど多彩な情報とつながるベースステーションの組み合わせ。新しいコンセプトのパーソナルテレビだ

 エアボードについての詳しいことなどは、ソニーのカタログページを見ていただくとして、ここではかいつまんで紹介しよう。まず、このエアボード、別名「パーソナルITテレビ」と呼ばれているのだが、れっきとしたテレビなのである。普通のテレビと違うのは、画面が液晶(10.4インチ TFT液晶)であることと、テレビ画面(モニター)とベースステーションが切り離しできること。

 テレビチューナーなどのテレビとしてのベーシックな機能はベースステーションに集約され、ベースステーションとモニターはワイヤレス通信で結ばれている。つまり、完全にワイヤレスな状態でテレビ放送を楽しむことができるのだ。

 モニター部分にはバッテリーを内蔵、モニターをベースステーションにセットすることで、バッテリーを充電することができる。ちなみに、バッテリーの充電中でもテレビを見ることは可能だ。バッテリーが充電されている状態で、モニター部分を自由に持ち運んで、気軽にどこでもテレビを楽しむことができるのだ。なお、バッテリーは連続で1時間程度、モニターとベースステーション間は周囲の状況にもよるが30メートル程度離れた状態でも通信が可能だ。

 たとえば、ベースステーションにアンテナケーブルをつないで、液晶モニターを持ち出し、庭でガーデニングをしながらテレビを見るなんてこともできる。また、テレビを見ているときにちょっと席を外さなければいけない用事ができてしまった。そんなときも、ベースステーションからモニタを持ち出すだけで、テレビを見ながら用事を済ますこともできちゃうのだ。いやー、マジですごく便利です。

 操作は付属のタッチペンを利用する。テレビのチャンネルを変えたいときは、液晶モニタに表示されたチャンネルリストから、見たいチャンネルを選ぶだけ。チャンネルを変えにわざわざベースステーションを操作する、というナンセンスなことはぜんぜん必要ない。ワイヤレスの液晶モニタから、完全に操作をすることができるのだ。

 まあ、ここまでは誰もが考えつくありがちな話。さらに便利なのがベースステーションにビデオなどの外部機器を接続して、その外部機器をエアボードの液晶モニターからコントロールできるのである。エアボードのモニターから外部機器をコントロールするには、ベースステーションに接続した「AVマウス」と呼ばれる赤外線送信機を、外部機器の赤外線リモコン受光部にセットする。エアボードのモニターで操作をすると、「AVマウス」から赤外線のリモコン信号が発信され、外部機器をコントロールできるというわけ。

 この設定もぜんぜん面倒なことはなく、メニューに表示されるメーカー名や機器の名前を選ぶだけで、その機器に対応した操作ができるのだ。たとえば、ベースステーションにCSチューナを接続すれば、エアボードのモニタで、CSチューナのチャンネルを変更したりできる。また、ビデオを接続すれば、ビデオの再生・停止などのコントロールが可能だ。


 いやー、この機能。めっちゃ便利。この機能がなければただのワイヤレステレビだったりするんだけど、この機能のおかげで、ワイヤレステレビではなく、ワイヤレスモニタとしても使えるようになっているというわけなのだ。


家族で使うことをキチンと考えられたインターネット環境

 テレビだけじゃ面白くない。というわけで、エアボードにはテレビ以外にもメーラとしての機能、ブラウザとしての機能、そしてアルバムとしての機能がある。だから「パーソナルITテレビ」というわけだったりする。ベースステーションには56kbpsのモデムを内蔵。電話回線さえあればすぐにでもインターネットに接続して、メールやホームページを楽しむことができるのだ。ちなみに、接続のために必要なアカウントは既存のプロバイダのアカウントを利用することもできるし、専用のサービス「airboardネット」のオンラインサインアップをすることもできる。

 メールのための文章の入力は、モニタに表示されるソフトウェアキーボードを利用。もちろんかな漢字変換もサポートされているほか、ソニーのケータイ(C406S)でも採用されているPOBoxと呼ばれる予測変換機能を搭載。この機能はソフトウェアキーボードで文字をタイプすると、入力された文字で始まる候補を表示する機能だ。たとえば、「こ」を入力すると「こんにちは」、「こんばんは」、「壊れる」、「ここ」などの候補が表示され、続けて文字を入力すると候補が絞り込まれていく。また、学習機能を搭載しているため、利用頻度の高い候補が初めに表示されるようになる。この予測変換機能のおかげで、ソフトウェアキーボードの入力でありながら、スピーディーに文章を作ることが可能だ。また、モニターにはPS2キーボード端子も用意されているので、外付けのキーボードを接続することもできるようになっている。

 ところで、こうした製品を家族みんなで使うことを考えると、気になるのがメールのセキュリティ。自分宛てのメールを自分以外の人に見られるのは、それがたとえ家族であったとしてもあまり気持ちのいいものではない。

 エアボードではそのあたりの仕組みもうまく考えられているのが気持ちいいのだ。メールの設定や受信簿、送信簿などのメールの情報は、本体に保存できるのはもちろんだが、本体には保存せずにメモリースティックに保存することも可能。つまり、家族それぞれが自分専用のメモリースティックを持つことで、エアボードを共有しつつメールに関しては完全に自分のプライバシーが保たれた状態で使うことができるのだ。このあたりの仕組みは、そのへんにあるパソコンのOSやメーラーよりもよほど進んでいるし、きちんと利用者をリサーチして開発しているのだと思う。さすがだといえよう。


 もちろん、ホームページを見ることもできる。エアボードに搭載されているブラウザは、HTML3.2、フレーム、JavaScript、SSLに対応したブラウザが搭載。よほどヘンなページじゃなければ、きちんと表示されるハズだ。

 もう一つのアルバム機能。この機能はメモリースティックに保存された、デジカメの画像などをモニターに表示するためのもの。メモリースティックの画像をサムネイル(一覧)表示させることも、1枚だけ表示させることもできる。つまり、アルバムやフォトフレームとして使うことも想定されているわけだ。テレビを見ていない、インターネットを使っていないときに、お気に入りの写真を表示するなんて使い方もできるのだ。また、メモリースティックの画像をエアボード本体に記録することもできるし(本体メモリは8MB)、メールに添付して送信もできるようになっている。なお、メールに添付する際には、画像ファイルがそのまま添付されるのではなく、縮小されたイメージで添付されるのも嬉しい配慮。さらに、逆にメールに添付されてきた画像ファイルをアルバムとして取り込むこともできるのだ。

 というわけで、エアボードはテレビとして使ってもよし、メールやブラウザとしてインターネットで遊ぶこともできる。なにより、ワイヤーやコードの呪縛から解き放たれた状態というのは、一度使ってしまうと病みつきになってしまうハズ。



■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 ★★★★★  国内では競合する製品はまだ存在しません。そんなわけで、思う存分イバりましょう。ちなみに、海外に目をむけるとウェブパッドと呼ばれるブラウザを搭載するワイヤレスの製品がいくつかあります。
実用性 ★★★★  かなり実用的。メモリースティックを使って、お互いのメールのプライバシーが保てる機能が特に気に入りました。Windows 95/98/MeとOutlook Expressを使って家族でメールを共用するよりは、65536倍くらいスマート。
お値段 ★★  高いですね。スペックを見ると、まあこの値段でも納得できる……とは思うけど、ちょっと気軽に買える値段ではありません。
実売価格 12万8000円程度  インターネットに接続する手段がモデムだけというのが購入しなかった理由。なので、遊び尽くして飽きる時間を4日として計算しました。もちろんモデムの搭載は必要、しかしモデムだけってのはちょっとね。たとえば、シリアルインターフェイスを装備してモデムやTAを接続できるようにするとか、イーサネットの受け口が装備されているなんてことなら、間違いなく買っていただろうし、予想利用時間も飛躍的に伸びたことでしょう。ちなみに、ベースステーションと本体は「IEEE802.11b」による通信が行なわれています。つまり、現在普及している無線LANと同じ通信手段。でも、無線LANとの直接通信はできない模様。無線LANとエアボードが直接コミュニケート出来たらと考えると……自由度はもっと広がって面白くなるでしょうね。きっと、近い将来にそんな製品もリリースされると期待している。
利用期間 4日
1日あたり単価 3万2000円




URL
  ニュースリリース
  http://www.sony.co.jp/sd/CorporateCruise/Press/200009/00-0928/
  エアボード製品情報
  http://www.sony.co.jp/sd/ProductsPark/Consumer/airboard/


(広野忠敏)
2000/12/20 00:00

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