ケータイ Watch
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ソリッドオーディオプレーヤーとケータイの融合
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 ハイブリッド。日本語訳では混成という意味が一般的。ハイテク機器でハイブリッドといえば、ひとつの個体に2つ以上のまったく異なる機能を有する機器を指す。なおかつ、それぞれの機能は単体でも使えるような、十分に機能的なものでなければいけない。たとえば、NTTドコモのドッチーモはケータイとPHSが融合したハイブリッドケータイだし、ちょっと古いけど東芝のGENIOとかはPHSが融合したハイブリッドなPDAだ。

 そしていよいよ、auからしびれてしまうようなスペック搭載のケータイが発売された。メモリースティックウォークマン相当のソリッドオーディオプレーヤーが搭載されたハイブリッドケータイだ。


DiVAの音楽再生機能はこんな感じ

au C404S DIVA。ソニー製の@mail対応cdmaOne端末。オーディオプレーヤーと携帯電話が合体したハイブリッド端末であるのが最大の特徴だ。このため、実売価格も新規購入で4万円台とちょっと高め。VAIOユーザーでシリコンオーディオユーザーなら検討の価値あり
 ハイブリッド機器の宿命ともいえるのが機能が非常に豊富なことである。DiVAのすべてを@mailやEZwebも含めてレビューしてしまうと、とても語り尽くせないことが容易に予想できるのだ。ちなみに製品のマニュアルは394ページもあったりする。そのため、ここではソリッドオーディオプレーヤーとしての機能や、オーディオプレーヤーとしてきちんと「使える」ものに仕上がっているのかという視点からDiVAを見ていきたい。

 ところで、12月1日に発売が予定されているNTTドコモの「SO502iWM」もメモリースティックウォークマン相当のソリッドオーディオプレーヤーが搭載されているハイブリッドケータイだ。DiVAやSO502iWMのような「とても面白そうな製品」を「週刊スタパトロニクスMobile」担当のスタパ斎藤氏や「週刊モバイルCATCH UP」担当の法林氏が買わないわけがないと容易に予想できるので(ソニー製品だし)、きっと別の切り口からのレビューも読めることと思います。

 ところで、今回は出荷台数が少ないということをあらかじめ知っていたこともあり、飛び込みではまず購入できないだろうと予測していた。そのため、近所のauショップに予約をして入手したわけだ。しかし、同じauショップ系列でもショップによってずいぶんと対応に差があるのが気になった。

 リリースが流れているハズなのにそんな機種は予定されていないというショップもあれば、予約は一切受け付けていない、新規に関しての予約のみというショップも多く、結局機種変更で予約をするために10件くらいのauショップに電話をかけまくったのだ。


 たしかに、ショップの格差というのは地域や規模、あるいは窓口の担当者によってある程度の差はあるとは思うし、ある意味しょうがないことかもしれない。しかし、ユーザーにとってはあまり歓迎されないことなのも事実だ。でも、中には「当店では新規契約は受け付けていませんが、機種変での予約が出来るショップもあります」と親切に教えてくれるauショップもある。そんなわけで、どうしても欲しい端末があるときは、1軒だけではなく、何軒かのショップにコンタクトを取ってみることをオススメしたい。

 それでは、DiVAについて音楽再生機能を中心に見ていくことにしよう。簡単に言ってしまうと、DiVAはauのcdmaOne端末に、メモリースティックウォークマンが内蔵されているというシロモノだ。ちなみに、メモリースティックウォークマンについては6月14日掲載の本連載でも取り上げているため、あわせてご覧いただきたい。

 DiVAは、付属のマジックゲートメモリースティックに記録された音楽を再生する仕組みになっている。記録方式は、メモリースティックウォークマンと同様にATRAC3が採用されている。本体に付属のマジックゲートメモリースティックは64MB。この容量での記録時間は、最も高音質にすると60分、標準音質(CD並みの音質)で80分、最も低音質だと120分となっている。実際に聞き比べてみると、低音質の場合は音質の劣化がやや気になるが、標準音質ではCDやMDに録音された音楽と比べてもそれほど差は感じられない。

 なお、メモリースティックウォークマンとDiVAの違いは、オーディオ機器からメモリースティックへの録音が可能なことと、本体だけではパソコンとのインターフェイスが用意されていないことの2つだ。

 音楽再生機能のコントロールは本体のジョグダイヤルか、付属のリモコンを使う。再生モードは全曲リピート、1曲リピート、シャッフルの設定ができ、さらにDiVA単体だけでマジックゲートメモリースティックに記録されている音楽の順番も変えることができるようになっている。

 なお、DiVAで音楽を再生中の状態でもメールを作成したり、EZwebにアクセスして情報を見たり、メールを送信するといった操作が可能。また、再生中に電話が着信すると、イヤホンと本体のサウンダから着信音が鳴動し、再生中の音楽がフェードアウト。ここでリモコンの着信ボタンを押すと電話に出られる。電話が終われば、また続きから音楽再生が可能だ。

 さらに、リモコンにはマイクが内蔵されているため、音楽を聴いているときに電話がかかってきても、イヤホンとリモコンのマイクで電話に応答することが可能だ。つまり、音楽を聴いているときはいつでもハンズフリー状態というわけなのだ。実際に使ってみると、これは非常に便利な機能だということがわかる。また、通話中は両方の耳から電話の音声を聞くことができるため、騒々しい場所でもクリアに会話を聞き取れることができるのだ。


音楽データを用意するのは予想以上に面倒

本体には64MBのマジックゲートメモリースティックが付属。マジックゲートメモリースティックは背面に挿入する。標準音質で80分程度の録音が可能
 それでは、実際に再生するための音楽データをどうやって入手すれば良いのだろう。DiVAには光デジタル・アナログ共有の入力端子が備わっているため、CDプレイヤーなどのオーディオ機器から、DiVAに挿入されたマジックゲートメモリスティックに直接ATRAC3形式で録音することができる。かなり強引だが、MDプレイヤー/レコーダーをDiVAにたとえるとすると、マジックゲートメモリスティックはMDディスクと同じ役割と考えるとわかりやすいハズ。しかし、ここに大きな落とし穴があることを忘れてはいけない。


マイク付きリモコン。音楽再生中は現在演奏中のトラック数や時間などを表示。リモコンで再生、停止、スキップ、音量の調整、リピートモードの変更などの操作ができる。また、再生中に着信したときはリモコンのフックボタンを押してから、リモコンのマイクで会話をすることが可能。音楽再生していないときは電波状態や着信番号などが表示される
 MDディスクなら1枚数百円で購入することができる。たとえば、レンタルしてきたCDをMDにコピーして個人的に楽しむことを考えたとしよう。何十枚もMDディスクを買って、それぞれにCDをコピー。毎朝お気に入りのMDをチョイスして通勤途中に音楽を楽しむなんてのは、もはや珍しくもなんともないありふれた風景のひとつだ。

 しかし、DiVAで同じことをしようとすると、一気に破産だ。なぜって? 記録媒体のマジックゲートメモリースティックが非常に高価だから。ちなみに、64MBのマジックゲートメモリースティックの定価は2万円。とてもとても何枚も買えるような金額じゃないのだ。10枚買うつもりなら同じ値段でパソコン買えます。

 となるとどうするか……そう、曲を入れ替えたいと思ったら、録音し直しなのである。ね、すごく面倒でしょ? 朝の通勤や通学の途中でDiVAを使って音楽を楽しみたい人はどうするか。そう、前日の夜とかに次の日に聞きたい曲を吟味して、DiVAを使って録音するわけである。朝の忙しい時間に録音なんてムチャだしね。もちろん、何枚かマジックゲートメモリスティックを買って使いまわしをすれば、それなりに快適にはなる。でも、3枚買うことを考えたら、その値段でもう1台DiVA買えます。

 しかし、快適に使う方法もある。パソコンユーザーに限られてしまうが、12月にソニーから発売される「マジックゲートメモリースティックリーダー/ライター」を購入する方法だ。

 「マジックゲートメモリースティックリーダー/ライター」を利用すれば、CDの音楽をパソコンのハードディスクにATRAC3形式で保存しておいて、ハードディスクに保存されている音楽データをマジックゲートメモリースティックに記録できるのだ。ちなみに、64MBのマジックゲートメモリースティックへのデータ転送は数分で完了するため、朝の忙しい時間でも聞きたい音楽をチョイスすることが可能なのだ。さらに、インターネットで配信されている音楽を購入することもできるし、もし手持ちのMP3データがあれば、そうした音楽データをATRAC3に変換してDiVAで楽しむこともできる。

 もうひとつの方法は、マジックゲートメモリースティックスロットを搭載したVAIOを購入する方法(笑)。マジックゲートメモリースティックスロット搭載のVAIOからは、直接マジックゲートメモリースティックへATRAC3形式の音楽データを転送することができる。もちろん、MP3からATRAC3への変換もできるし、インターネットの音楽配信を楽しむこともできるのだ。すでに、マジックゲートメモリスティックスロットを搭載したVAIOを持っているならラッキーです。迷わずDiVAを購入しましょう。

 なお、マジックゲート対応ではないメモリースティックスロットやPCカードアダプタでは、DiVAで再生できる音楽データを書き込むことは出来ないので注意して欲しい。


 というわけで、環境さえ揃ってしまえば、非常に快適にDiVAで音楽を楽しむことができるのだ。しかし、DiVA単体、さらにマジックゲートメモリースティックも付属の1枚だけで使おうとすると、そこには延々と続くイバラの道が待っているのである。ハイブリッドケータイってなんかカッコ良さそうとか、ソリッドオーディオプレーヤーって流行だしとか、パソコン持ってないけどソニーだからイバれそうだしなんて感じで安易に買っちゃいけないような気がするのだ。まあ、たしかにイバれるんだけどね。


本当に使い物になるのか?

再生中の表示画面。もちろん、ケータイのソフトキーやジョグダイヤルでプレーヤーのコントロールができるほか、音楽再生中にEZwebにアクセスすることも可能だ
 ところで、DiVAってちょっといいな……って思ってる人が気になるのは「音楽再生中にバッテリが切れたらケータイも使えなくなるの?」みたいなバッテリ関係の仕組みがどうなっているのか? ってことじゃないだろうか。カタログスペックによると連続音楽再生時間は6時間。正確に計測したわけではないが、フル充電の状態から6時間近く再生ができた。DiVAでは音楽再生でバッテリーの残量が少なくなると、バッテリーにある程度の残量が残っている状態で、音楽再生機能が一切使えなくなる。つまり、フル充電の状態から6時間連続再生を行なうと(ただし、音楽再生中に通話をしたりEZwebを利用すると当然連続再生時間は少なくなる)、ケータイのためにバッテリーに余力を残した状態で音楽機能が完全停止するのだ。

 ということで、音楽機能が停止したときにどのくらいのバッテリが残っているのかということが気になるんじゃないかな。カタログでは「数分間通話ができる状況」という感じで明記されているが、気持ち悪いので実際にテストしてみました。テストはまずフル充電を行ない、音楽再生機能が停止するまで音楽を聴きまくる。音楽再生機能が停止したら、即座に通話を行ない、どれくらいの時間通話ができるのかを計測してみた。

 テスト結果は20分。カタログでは数分ということだったが、20分程度の通話が可能だった。ただし、バッテリーが新品であること、電波状態がかなり良い状況でテストしたことなどから、実際はもうちょっと短い時間になると予測される。ちなみに、DiVAの連続通話時間は160分、連続待ち受け時間は180時間。テスト結果から単純計算を行なうと音楽機能が停止してから22時間の待ち受けが可能ということになる。ただし電波状態やバッテリーの状態によってはかなりの差が生じるハズ。余裕を見て5割程度と見積もっても連続通話10分、待ち受けが11時間程度だ。

 この結果を長いとみるか短いと見るかは人によっても使い方によっても違うと思う。ケータイ持ってるけどそれほど頻繁に使わない、でも毎日ちゃんとバッテリーをチャージするなんていう人にとっては必要十分なスペックかもしれない。しかし、バッテリーがなくなってからチャージするとか、頻繁に通話あるいはEZwebを利用するという使い方をしている人にとってはさっぱり使い物にならないという結果に終わってしまうかも。

 ところで、話はがらりと変わるが、11月28日現在、いまだEZwebに繋がりにくい状況が続いている。全然繋がらないからメールアドレスなどのEZweb関係の初期設定ができないのだ。初期設定ができないため、もちろんEメールもEZwebもまったく使えない。この件に関しては方々で色々と波紋を呼んでいるが、通信事業者なのだから、新しいサービスなのだから、サーバやサービスなどのインフラをきっちり整えてから製品をリリースして欲しいものだ。製品を購入したのはいいがサービスがまったく使えないなんて。実際、筆者の場合Eメールが使えないとかなり困るんですけど……。



■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 ★★★★★  出荷台数が非常に少ないということで、運良く入手できたらイバれるでしょう。私は推定10人くらいにイバりました。さすがにケータイに5万円も出費する酔狂な人はなかなかいないです。私が予約したauショップに聞いたところ、同時期に発売されたC401SAは入荷分よりも予約がかなり多い状況。DiVAは7台の入荷で予約は私1人とのことでした。
実用性 ★★  ある程度バッテリーの残量を残した状態で音楽機能が停止するのはいいとしても、問題は残量。テスト結果を見て使えるかどうかを判断して欲しい。ベストなのは予備のバッテリを持ち歩くことだろう。ちなみに、充電アダプタは本体に装着したバッテリーのほかに、予備のバッテリーを同時に充電できるようになっている。
お値段  高いです。実売(機種変更)で5万円をちょっと切る値段というのはケータイとしては非常に高価。新規契約だとやや安くて4万円台前半。また、購入して半年に満たない機種からの変更では6万円以上のケースもある。そんなわけで、頻繁にケータイを機種変更する人にはハッキリ言って向いてません。
実売価格 4万8000円程度
(機種変更)
 ハイブリッド機器のメリットは持ち歩く機器が1つ減ることに尽きる。それほど人口は多くはないが、既にソリッドオーディオプレーヤーとケータイを両方持ちあるいているユーザにとってはDiVAに統合するメリットは大きい。ただし、パソコンに接続して音楽データをプレーヤーに転送するという従来のソリッドオーディオプレーヤーと比べると、DiVAのための音楽データを用意するのは非常に面倒だということを認識してから購入すべきだ。DiVAを本当に快適に利用できるのは、マジックゲートメモリースティックスロットを装備したVAIOを所有しているユーザと、12月発売予定のマジックゲートメモリースティックリーダー/ライターを購入したパソコンユーザーに限定されてしまうだろう。
利用期間 6カ月
1日あたり単価 266円




URL
  ソニーのDiVA製品情報
  http://www.sony.co.jp/sd/ProductsPark/Consumer/KEITAI/c404s/index.html


(広野忠敏)
2000/11/29 00:00

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