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おとなのおもちゃタイトルGIF
ソニーのPalm OS搭載PDA「CLIE」(PEC-S500C/D)
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 私は昔からPDAや電卓といった小さい電子機器が好きである。自宅の物置にはPDAマニアといってもいいほど、キロ単位で大量のPDAが眠っている。物置に眠っている小さき機器たちはさっぱり使いにくいけど面白そうだから買ったものや、とても使いやすかったけど単発で終わったものなど、さまざま。めずらしげなところではNECの電子手帳「ET」やソニーの「PalmTop(大、小)」なんてのもあったりする。さて、そんなわけで先日ソニーから発売されたPalmOS搭載PDA「CLIE」である。こんな面白そうなモノを見逃すわけがないので、さっそくゲットしました。


■ えっ、発売日当日に入手できないんですか!?

CLIE
ソニー CLIE。先行予約受付当日は、SonyStyleのサーバーが落ちるほどの人気を集めた

 さて、CLIEだが、私はSonyStyleで入手した。ちなみに、カラーモデルは先行注文受付当日に完売、おまけに注文のためのサーバーにも接続しにくい状況で、午後4時頃やっと注文ができたのだが。受付当日に注文をしても、発売日当日に入手できないという事態になってしまった。SonyStyleで先行注文をしたの中には、私と同じようにせっかく注文ができたと思ったのに、後日「発売日当日の発送は不可能」という連絡をもらった人が多いはずだ。しかし、発送不可能の連絡が来てからしばらく後に、今度は「発売日当日にお届けできる」という連絡があった。この連絡があったのは、発売日の直前。同じように発送不可能という連絡をもらい、じゃあ他で入手するからとSonyStyleの注文はキャンセルして、他でゲットしようと思ったけど結局発売日に入手できなくて悲しい思いをしている人って、かなりたくさんいるんじゃないかと思われる。

 そんなわけで、結局発売日当日に入手できたわけなのだが、注文受付のためのサーバが重くて注文できなかったり、注文してもすぐに入手できなかったり、発送の状況が時系列で変化するのは、オンラインの通販サイトとしてはあるまじき行為ではないだろうか。なんだかユーザーをなめてるとしか思えないのだ。このあたりはオンラインでスムーズな買い物ができるように改善して欲しいところだ。そういえば、プレイステーション2のオンライン販売のときも同じような状況だった気がするなあ。


えっ、白箱ですか!?

店頭で購入すれば、アプリケーション導入済の8MBメモリースティックが付属する。価格は店頭の方が高い(5万~5万5000円ていど)が、製品構成をSonyStyle先行予約時にも選ばせてほしかった
 さて、そういう経緯があって、発売日当日に無事に品物が届いたのだが、品物が届いたときのワクワクした気分は、梱包をほどいた時点で一気に冷めてしまった。冷めてしまったというより、悲しくなってしまったという表現が近いかもしれない。なんと、包装が白箱なのである。商品の包装なんてどうでもいいじゃない? って思う人もいるかもしれないが、ソニー製品って製品自体のクオリティもさることながらソニーが持つブランドイメージでファンになっている人も多い。すごく極端な話だけど、バカラのグラスやシャネルのバッグ、プラダのサイフ、ロレックスの時計が「白箱」に入ってたら、誰が買います? きっと買っても「それってだまされてるよ、ニセモノじゃないの?」って言われるのがオチでしょ?

 自社の商品を白箱に入れて発送するという発想は、それがソニーだからこそ信じられないのだ。ソニーっていう会社は、ソニーというブランドをとても大切にしている会社だし、そういう精神があるからこそ、我々ソニーユーザー(というかソニーファン)は、少々製品に難があったとしても、トラブルが多かったとしても、その先見性や秀逸なデザイン、そしてなぜか感じらるソニー魂に惹かれ、ソニーにエールを送ってきたのだ。スーパーマーケットで買ったわけじゃないのに、ノーブランド製品じゃないのに、製品が「白箱」に入っているなんて、ソニーらしくないし、ユーザに対して失礼です。こういうことが気にならない人もいるだろうとは思うけど、やっぱり私はソニーが好きなので気になってしまいます。ちなみに、店頭で売られているCLIEは白箱ではないので安心して買ってください。

 ちなみに、これからCLIEを購入しようという人は、店頭販売版(PEG-S500C)とSonyStyle版(PEG-S500C/D)とで、製品構成が若干異なるので注意してほしい。CLIEには標準以外のPalmScapeやMultiMailといったアプリケーションが添付されている。店頭販売版はアプリケーションが記録されたメモリースティック(8MB)が同梱されているが、SonyStyle版ではメモリースティックは同梱されていない。店頭販売版もSonyStyle版もともにアプリケーションが含まれたCD-ROMが付属するが、店頭品を買った人はパソコンがなくても添付アプリケーションをメモリースティックからCLIEにインストールできる。しかし、SonyStyle版ではCD-ROM、つまりパソコンがなければインストールすることができないのだ。うーん、こういうのってアリなんでしょうかねえ。


CLIEはなかなかイイけど…

 実際のところ、CLIEが始めてのPalmって人はかなり多いと思う。もちろんPalm/WorkPadユーザーも、CLIEってなんか良さそうだからって買っている人もいるでしょう。ちなみに、私はPalm系のPDAは使ったことはあるが、自分で所有するのは初めて。まあ、これはPalmに限った話ではないのだが、新しいPDAを使いこなすコツは自分のライフスタイルにPDAを合わせるのではなく、PDAによってライフスタイルを微妙に変える事に尽きると思う。今まで使っていたPDAでできたこと、そして新しいPDAでできないことを嘆くのではなく、どうやったらできるのかを考えるわけだ。

 たとえば、CLIEにはパソコンにある住所録やスケジュールといったデータとシンクロさせるために専用のPalm Desktopが付属している。そのままでは、OutlookやLotusオーガナイザーといったパソコンのPIMとデータの同期を取ることはできないが、プーマテクノロジーの「IntelliSync for Palm/WorkPad」を別に購入して使えば、OutlookやオーガナイザーといったパソコンPIMとのデータ連携が可能になる(ただし、IntelliSync for Palmは正式にはCLIEには対応していない。使用にあたっては個人の責任において行なってほしい)。

 しかし、本来なら「IntelliSync」のように他のアプリの住所録やスケジュールデータをインポート・エクスポートする機能を同梱すべきだと思うんですけどね。やっぱり、既にあるデータをいかにして新しいPDAに移行するかってのは、重要な問題じゃないだろうか。

 さて、CLIE内蔵のPIM。Palm OS独特のものであるが、これはかなり快適。具体的にどれと明言するのは避けるが、他のPDAのようにスケジュールを見るために待たされるといったこともない。CLIE独自のジョグダイヤルもなかなか使いやすい。ただ、ジョグダイヤルに関しては使いやすいけれども、もうちょっとって感じかな。たとえば、ホームからメモ帳を選んで、メモをスクロールさせつつ読むことはできるけど、じゃあいざメモ帳からホームに戻りたいって時はジョグダイヤルだけではできず、[ホーム]ボタンのタップが必要になる。また、内蔵アプリケーションのすべてがジョグダイヤルに対応しているわけではなく、一部のアプリケーション、たとえば標準のメールなどはジョグダイヤルには対応していない。

 そして、CLIEの特徴であるメモリースティックと携帯電話アダプタ。メモリースティックインターフェイスはまだ記憶媒体としての用途しかないが、本体のアプリケーションや大切なデータをバックアップするのに便利だ。また、本体のメモリがインストールしたアプリケーションで圧迫されているときは、とりあえず使わないアプリケーションをメモリースティックに移動することもできる。メモリースティックに含まれているアプリケーションを直接実行する機能はないが、CLIEのサポートページで提供されている「Memory Stick Autorun」を利用すれば、あらかじめ設定しておいたメモリースティックのアプリケーションが自動的に起動する。つまり、メモリースティックを仮想的なメモリとして使うことができる。また、サポートページにはCLIEをUSB接続したときに発生するトラブルを回避するためのアップデートも用意されているので、CLIEユーザはチェックして欲しい。

 さらに、携帯電話アダプタを使えばインターネットに接続してホームページを見たり、メールの送受信をすることができる。が、私はメールはiモードの「リモートメールサービス」で読むことにしているので使っていません。


でも、これだけはカラダをCLIEに合わせられません

 そんなわけで、普段使っているOutlookからのデータの移行も済んで、Graffiti(Palm用独自アルファベット入力)による入力も毎秒4文字程度の入力ができるまでになった。搭載されているATOK Pocketもかなりカシコイし、Graffitiエリアでの変換、確定オペレーションもできるため日本語のメモ取りがサクサクできるのだ。まさにカラダをPalmに合わせてしまったわけなのだが、どうしてもガマンできないというか合わせようがない部分が1つだけある。

 それは、液晶のバックライトが異常に暗いことである。どういうふうに暗いかというと、もうむちゃくちゃ暗い、不良じゃないかと思うほど暗いのだ。カラー液晶自体は非常に視認性がよく、明るい場所ではバッチリ見える。しかし、バックライトが暗いから、ちょっと暗い場所ではぜんぜん見えないのだ。どのくらい暗いかというと、真っ暗な部屋でバックライトを付けても液晶に表示された字が読めないほど暗いのだ。つまり、バックライトの意味が全然ないといってもいいほど。さすがに、これだけはカラダを合わせられないです。

 まあ、あえて色々と苦言を書かせてもらったけど、CLIEってソニーだからってことではなく、色々な可能性を秘めている製品だと思う。これで「コケ」てしまって、いにしえの「PalmTop」のようにならずに、ぜひとも次期バージョン、さらに次のバージョンの製品もユーザの声を反映してリリースしていただきたい。だって、私、なんだかんだいってもソニー製品が好きですから。



■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 ★★★★   とりあえずソニーなので、持っていればイバれます。「ほれほれ、コレがソニーのPDAだよ」って。でも、私の場合は周囲みんなが買っていたので、イバれませんでした。
実用性  バックライトがもうちょっと明るかったらね。暗いクルマの中でちょっとデータを見たり計算したりって使い方をすることが多い私にとってはさっぱり実用的ではありません。
お値段 ★★  まあ、妥当なセンか?
価格 SonyStyleで4万2800円で購入  うーん、Palm OSはいいんだけどねー。CLIEもいいんだけどねー。イメージが悪かった(白箱や店頭販売版と製品構成が違うなど)のと、バックライトが暗いのが致命的。あえてバックライトをナシにしてくれたほうがアキラメがつくかも。でも、転売しようと思っても「白箱」だから、そんなに高く売れないんですよね。中古市場では「箱」は重要ですから。それと、ソニー製品なのにさっぱりソニーテイストが感じられないという経験を久しぶりにしました。次期CLIEに期待ってところですね。
利用期間 3日
1日あたり単価 14,266円




URL
  SonyStyleホームページ
  http://www.jp.sonystyle.com/home.html
  CLIE Plaza!ホームページ(CLIE用のデータやツールもダウンロードできる)
  http://www.peo.ne.jp/plaza/pc/index.html
  CLIEのニュースリリース
  http://www.sony.co.jp/sd/CorporateCruise/Press/200007/00-0713/
  CLIEデベロッパーサイト
  http://www.jp.sonypdadev.com/


(広野忠敏)
2000/09/20 00:00

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