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おとなのおもちゃタイトルGIF
松下のH"と繋がるポータブルカーナビ
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


ポータブルとは言っても…

 ネットワークデルNaviの大きさはセンターコンソールよりも少々大きい程度。1DIN用のアダプタ(別売)を利用して取り付けることも可能。
 
 さて、今回のお題はカーナビである。モノは松下電器産業の「ネットワークデルNavi」。ディスプレイ、CD-ROMドライブ一体型のポータブルナビゲーションシステムだ。まずは、簡単にインプレッションなどを。

 ネットワークデルNaviは、5.8型ワイドTFT液晶とCD-ROMドライブを本体に塔載した「ナビ研」S規格、拡張フォーマットに準拠した、ポータブルナビゲーションシステムだ。ラインアップは「KX-GT30」、「KX-GT30X」、「KX-GT30Z」の3機種。最上位モデルのKX-GT30Zは、VICS/D-GPS内蔵のテレビチューナーユニットが本体に付属している。カーナビ自体の機能は、同様の価格帯の他社製CD-ROMカーナビとそれほど違いは無い。ルート探索、ルート設定、2画面ナビゲーション、音声ガイダンスなどポータブルナビゲーションシステムでありながら、カーナビとしての機能は十分に満足している。

 ところで、「ポータブルナビゲーションシステムというからには、クルマ以外のシチュエーションで使うことも考慮されているのか?」と思って使ってみたが、ダメだった。ネットワークデルNaviはあくまでもクルマでの利用を前提としているのだ。何故かというと、まずはGPSアンテナが内蔵、あるいは内蔵に近い形ではない、バッテリでの駆動ができない(別売りの重たいバッテリーを除く)、AC電源で使うには別売りのACアダプタが必要、本体だけで操作は不可能(付属のリモコンが必要)などなど。そのため、車内ではカーナビとして使い、屋外に持ち運んで現在位置を確認しながらトレッキングする、なんて使い方をすることは不可能に近い。つまり、あくまでもクルマで利用することを前提にしたポータブルナビゲーションシステムなのだ。

 なんで、クルマで使うのにポータブルなのかってのは、ちゃんとした理由があったりする。たとえば、クルマを買い換えるとき。車載型のカーナビを使っていると、カーナビの取り外しや取り付けは非常に面倒な作業。ところが、ネットワークデルNaviならば、たとえクルマを買い換えても取り外し、取り付けは非常に簡単。また、借りたクルマにナビが無い場合。このときもネットワークデルNaviがあれば、ナビ未搭載車でも、あっという間にナビ塔載車にすることができる。とはいえ、バッテリ駆動ができれば、ナビとして利用できるフィールドが広がるのにね。このあたりはちょっと残念な点だ。

 ちなみに、6月1日にはバッテリー内蔵の新モデル「KX-GA33」「KX-GA23」が発売される予定なので、「どうしても車から外して利用したい」と思う人は、これが出るのを待ってみてはいかがだろう。


■H"の位置情報サービスと連動

位置情報の取得
 このメニューを使って、H"端末に保存された位置情報を変換する。一度変換した位置情報はいつでもナビの地図に呼び出すことができる。
位置情報をナビ画面に表示
 H"端末を接続して、位置情報をナビ画面に表示してみた。H"端末からの発信がおおよそどの位置であるのかは、円形で表示されている。つまり、発信者はこの円の中のどこかにいるというわけだ。
位置情報をナビ画面に表示
 ネットワークデルNaviのメニュー。通信機能からインターネット、メール、ル・モテサーチ(位置情報検索)などの機能にアクセスできる。

 さて、ネットワークデルNaviの最大の特徴は、H"端末を接続することで、電話をかけてきた相手の現在位置をネットワークデルNaviの地図上に表示できることだ。この機能を利用するためには、松下製の最新H"端末「KX-PH33S/933S」をネットワークデルNaviに接続する必要があり、また電話をかける相手も位置情報サービスに対応したH"端末である必要がある。電話相手の位置をネットワークデルNaviの地図に表示するための手順は次のような感じ。

  1. LI機能を有効にしたH"端末で電話をかける。KX-PH33Sの場合は発信ボタンを長押しして液晶にハートマークが表示された状態で電話をする。こうすることで、電話相手のH"端末に位置情報が通知される。
  2. 電話がかかってきたら普通に会話する。このときH"端末はネットワークデルNaviに接続されている必要はない。ちなみに、通話時に受信側のH"端末に位置を特定するデータ(複数の周辺基地局IDとそれぞれの基地局と端末間の電界強度)が保存される。
  3. 受信側のH"端末をネットワークデルNaviに接続する。
  4. 「ル・モテ」サーチを起動。位置を表示したい相手を選ぶと、H"端末からセンターに通信が開始される、このときにセンターでは端末に保存された基地局の情報を経度・緯度の情報に変換する。ちなみに、1件のデータ変換には30円の情報料が必要。
  5. ネットワークデルNaviの地図に、相手がH"端末で通話してきた時点でのおおよその位置が表示される。

 と、こんな感じだ。実際にこの機能を使ってカーナビに電話をかけてきた相手の位置を表示してみたが、これ、凄く楽しいです。ほんとに楽しい。これは色々と遊ぶネタや便利な使い方が考えられる。

 たとえば、待ち合わせしたいとき。知らない場所だったとしても、わざわざ場所を口頭で説明したり、住所を伝える必要はない。相手がH"端末を持っていれば、電話をかけてくれるだけで、今いる場所がネットワークデルNaviの地図に表示されるからだ。あとは、ネットワークデルNaviのナビゲーション機能を使ってクルマを走らせればいい。もちろん、待ち合わせ場所の変更にも柔軟に対応できる。移動しちゃったら、また電話すればいいだけだからね。

 クルマ数台を使ったドライブの時も有効。クルマ数台のドライブのときはP.A.やS.Aで「あいつ、どこ行っちゃったんだろうねぇ、ここに集合って言ってたのに」って会話が進行することも多い。でも、こういうシチュエーションでもH"端末とネットワークデルNaviを使えば、フラフラしている、あるいは道に迷った友達の現在位置を知ることができるわけだ。

 また、怪しげな場所にいるだろうと思われるダンナ様に折り返し電話をかけてもらって、奥様がネットワークデルNaviで位置を確認して踏み込む、なんてコトも可能かもしれない。ただし、位置情報サービスを利用するためには、PHSの電波が届く範囲じゃないといけないのだが、そういう怪しげな場所では電波が届かなければケンカにはならないかも。つまり、この機能を使えば、人とクルマ、あるいはクルマとクルマとの位置情報のリンクができちゃうわけだ。使い方を色々と考えるだけでも、結構楽しいかもしれない。


ネットワーク機能も充実

インターネットに接続してホームページを表示してみた。ドライブの時のちょっとした探し物には便利だ。
 携帯とPHSと繋がると聞けば、いまや当然のことのように使える機能がインターネットへの接続機能。ネットワークデルNaviではH"端末じゃなくても、DDIポケットのαDATA32対応の端末、NTTドコモ、IDO、DDI-セルラーなどのデジタル携帯電話を接続すれば、インターネットを利用することができる。ただし、H"の位置情報サービスに対応した端末以外を接続したときは、当然のことながら位置情報サービスを使うことはできない。

 ネットワーク機能では、Webのブラウジングとメールの送受信をすることができる。文字の入力は10キーか、画面上に表示されるソフトウェアキーボードで行なう。もちろん、運転中の操作はかなりムチャなので止めておこう。たとえば、ドライブ中に近隣の情報をWebブラウザを利用して探したり、友達にメールを送信するなんてこともできちゃうわけだ。

 カーナビとしての基本機能も十分に満足していながら、インターネットへの接続も可能、H"で電話相手の位置もわかるというネットワークデルNavi、実は結構買いなんじゃないだろうか?

■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 ★★☆☆☆  カーナビの普及率ってかなりのもので、いまやカーナビなんてあたりまえの話なんだよね。でも、簡単に取り外しできるのはポイントが高い。クルマを買い換えてもカーナビの乗せ替えは簡単。ただし、バッテリ駆動はできないので単体での屋外使用はできない。AC100Vで利用するには別売りのACアダプタが必要。GPSのアンテナを内蔵して、バッテリ駆動ができればもっとイバれると思います。
実用性 ★★★★☆  カーナビの基本機能はCD-ROMナビとしては必要十分。さらに、位置情報サービスとカーナビとの連動は文句ナシに面白い。対応端末を使っていれば待ち合わせも全然苦にならないハズだ。電話で場所を延々と説明しなくても、電話をかけるだけでカーナビに場所が表示されるからだ。インターネットにアクセスもできる、メールも送受信できるとネットワーク機能も充実。でも、リモコンのカーソルキーでメールを打つのはちょっと疲れる。
お値段 ★★★☆☆  CD-ROMカーナビとしては、まあ、妥当なセンか?
標準価格 13万5000円  H"端末を使って位置情報を取得するのは楽しい。ただし、当然のことながら相手がH"端末じゃないとダメなんだよね。このあたりの規格をキャリア間で統一してくれれば、もっと面白いんじゃないだろうか。ただし、DVDじゃないのは結構ポイントは低いかも。やはり情報量という点では圧倒的にDVD対応のカーナビが勝っていますから。そんなわけで、予想利用時間は、H"を使ったお遊びに飽きるのが1カ月、CD-ROMの情報量が不満になるのに1カ月の合計2カ月としました。ただし、DVDカーナビに比べると圧倒的に安価なので、難しい選択だろうとは思う。
飽きるまで(予想) 60日
1日あたり単価 2250円



URL
  KX-GT30」シリーズ製品情報
  http://www.kmepci.ne.jp/navigt/
  「KX-GA33」「KX-GA23」のニュースリリース
  http://www.kme.panasonic.co.jp/newsrls/2000news/jn000413/jn000413_1.html


(広野忠敏)
2000/05/10 00:00

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