ケータイ Watch
連載バックナンバー
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ウイングスタイルはどう進化したのか
ソニー CLIE 「PEG-NX80V」
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小さい、軽い、安い!
日本HP iPAQ Pocket PC「h1920」
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ボールペンで書いたメモがそのまま画像データに!
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おとなのおもちゃタイトルGIF
ウイングスタイルはどう進化したのか
ソニー CLIE 「PEG-NX80V」
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 ソニーのウィングスタイルCLIEが新しくなった。ウイングスタイルはそのままに、筐体デザインが新しくなり、さまざまな細かい部分に手が加えられ、より使いやすく改良されているのが特徴だ。今回は、リリースされたPEG-NX73VとPEG-NX80Vの2つのうち、上位モデルのPEG-NX80Vを中心にレビューしてみることにしよう。


大幅に変更された本体デザイン

 NX80Vはディスプレイが回転する“ウイングスタイル”と呼ばれるデザインを採用したPalm OS搭載PDAだ。ウイングスタイルを採用したPDAとしては初期型のNR70Vから数えて4代目にあたる。NR70VがNX70Vへと進化したときは、通信カード用のCFカードスロットが搭載されたことでデザインに若干の変化がみられたが、それほど大幅なものではなかった。今回リリースされたNX80Vは、いままでのウィングデザインを採用したCLIEとは大幅にデザインが変更されているのが最大の特徴だろう。まずは、デザインや細かい部分の変更で、どのように使い易く、または使いにくくなったのかを見ていくことにしよう。

 まずは、本体の大きさだが、131.5×71.9×21.8mmとなっている。このサイズはNZシリーズよりは小さく、NX70Vよりは若干大きいという微妙なサイズ。実際にNX80VをNX70VやNR70Vと比較してみると、幅は同じで厚さが若干厚く、長さが少し短くなっている。手に持ったときのフィット感は若干スポイルされている感じだ。

 ちなみに、ディスプレイ部分の前面、背面は若干盛り上がるようなデザインになっている(ディスプレイ部分の断面はクサビ型だ)。キーボード部分は、それに合わせて中央がややくぼんでいるのがNX80Vの大きな特徴のひとつ。このデザイン、カッコ良さもさることながら、剛性を高めるのにも一役買っているようだ。具体的にどういうことかというと、ディスプレイがフラットなNR70VやNX70Vでは、ディスプレイを閉じてからディスプレイを左右にずらそうとすると若干「ふにゃふにゃ」していた。NX80Vではディスプレイ部の断面をクサビ型にして、キーボード部分とジャストフィットさせることにより、以前のシリーズで感じていた「ふにゃふにゃ感」がまったく感じられず、カチっとした印象なのである。


本体左側面
本体右側面。メモリースティックスロットはこちら

約127万画素CCDカメラ スミアを軽減するNDフィルターを搭載

 その他にも外見上の特徴がいくつかある。まずは、ディスプレイ部分にハードウェアボタンが装備されたこと。このことにより、ターンスタイルにしたときに、スタイラスを使わずにワンタッチで予定表、アドレス、予定表といったPIMの機能にアクセスできるようになった。Palmデバイスユーザーにとっては「しごく当たり前」のことが当たり前にできなかったのが今までのウィングスタイルCLIEだったりするわけだが、古くからのPalmユーザーにとっては非常に嬉しい改良のひとつだ。ちなみに、それらのハードウェアボタンは、NZシリーズのように押しにくい位置ではなく、非常に使いやすい。

 キーボードはバックライト付きで、さらにCtrl、BS、CapsLockなどのキーが若干大きくなり、配列もTG50やNZ90と同様になった。キートップは丸い形状で、その構造はNZ90やTG50と同様にキートップ部分だけが本体から顔を覗かせているといったもの。キーボード中央部分がややくぼんでいるせいなのか、それともキートップ部分が丸い形状のせいなのかはわからないが、NZ90やTG50の四角いキーボードの方が押しやすいような感じがした。もしNX80Vを購入して「キーボードもバリバリに打つぜっ」と考えているならば、買ってから「しまった!」と思う前に、実際に店頭などで操作感を確認してから購入すべきだろう。それから、場所に余裕があるんだから10キーくらい追加して欲しいですかねえ。

 その他の細かい改良部分だが、今までは重力に逆らっていたスタイラスの収納部を本体上部に移動。うっかりスタイラスが抜け落ちてなくしてしまうということがなくなった。ちなみにスタイラス本体は伸縮タイプの新型になっている。また、ホールドスイッチやBackボタンなどにも改良が加えられていて、NR70VやNX70Vと比べても操作感は格段に良くなっている。


ディスプレイ部に装備されたハードウェアボタン キーボード。中央部がややくぼんでいる

カシャッと飛び出すCFカードスロット

「カシャッ」感がたまらないCFカードスロット。すぐ横にスタイラス収納部がある
 NX80Vにはギミック好きにとってたまらない機構が搭載されている。それがCFカードスロットだ。CFカードスロットは本体の背面にあり、OPENボタンでスロット自体が「カシャッ」と飛び出すようなメカニズムになっているのである。言葉で表現するのは難しいのだが、ポータブルMDプレーヤーを開くときと同じような「カシャッ」感を堪能できるというわけだ。

 利用できるCFカードは、無線LANやPHS、モデムといった通信カードとCFメモリカード。ただし、CFメモリカードに保存できるデータはテキスト形式などに限定されており、PIMソフトで扱うデータやMP3などのマルチメディア関連データは保存できない。せめてCFメモリカードに保存したMP3などのマルチメディアデータの再生くらいできても良さそうなのに、とは思うが、残念ながらそういった使い方はできない。マルチメディアデータはメモリースティックのみ、ってあたりに、なんともソニーらしさを感じてしまうのは、きっと私だけではないハズだ(ちなみに、メモリースティックスロットはメモリースティックPROに対応)。

 通信カードに関しては、どんなカードでも使えるというわけではない。当然のことながらドライバが用意されていないカードを使うことはできない。対応する通信カードに関してはソニーのサポートホームページに動作確認リストが掲載されているのであらかじめチェックしておいたほうがいいだろう。

 なお、現時点でNTTドコモの@FreeDに対応したP-in Free 1P/1Sは動作確認リストには入っていない。これらのカードを装着すると「未対応通信カード」になってしまうが、ネットワークの設定で1Pの場合はP-in memoryに、1Sの場合はP-in M@sterに設定することでとりあえず使うことができる。しかし、通信対応としている割にはP-in Freeには未対応と若干オソマツな感じを受ける。このあたりは早急な対応を望みたいところだ。


伸縮できるようになった新型スタイラス 収納時に小さくなる仕組み

NX73Vか、それともNX80Vか

標準設定の手書き入力は「Decuma Japanese」。
 その他の特徴としては、シルクエリアで手書きでの文字認識が可能な「Decuma Japanese」を搭載。Graffitiが苦手でもスタイラスを使って日本語の入力が可能だ。ちなみに、私はGraffitiで原稿書けちゃう人なので、Decumaは使いません……。

 なお、搭載されるデジタルカメラはNX80Vは127万画素CCDカメラ、NX73Vでは31万画素CMOSカメラ。PDAにデジタルカメラの機能なんて必要ないから「NX73V」にしよう、と思っている人もいるかもしれないが、ちょっと待って欲しい。NX73VとNX80Vの違いはデジタルカメラだけではないのだ。NX73VとNX80Vの違いについては、デジタルカメラ部分だけがとかくクローズアップされがちだが、最も大きな違いはメモリ搭載量なのである。

 RAMの搭載量は、NX80Vが32MBなのに対してNX73Vは16MB。実際のところ「16MBの差くらい対したことない」と思うかもしれない。しかしPalmデバイスにとって、16MBのメモリ差はワンルームマンションと一戸建ての差と言えるほどの違いがあるのだ。NX73VとNX80Vの価格差は約10,000円。これを高いと見るか安いと見るかは人によって違うと思うが、末永くCLIEと一緒に過ごしたいのなら、デジタルカメラの機能なんて全然必要なくても、メモリ搭載量の多いNX80Vを買うべきだろう。

評価(最高点は★5つ)

イバリ度 ★★★★★  な~んか、カッコ良くなりました。デザインも良くなったし、質感もバッチリ。おまけにCFカードスロット周りのギミックにもかなりそそられるものがあります。CFカードスロットをカシャカシャやって推定10人くらいにはイバれるのではないでしょうか。
実用性 ★★★★★  わたし的に今まで不満だと思っていたウイングスタイルの欠点(スタイラスとかハードウェアボタンとか)が改良されたので、実用性は★5つ。でも、ちょっとキーボードが押しにくくなったかな。
お値段 ★★★  PalmデバイスとしてはNZ90を除いて最高クラスの価格帯ですね。
価格 59,800円  NR70Vを購入したのが1年3カ月くらい前なので、予想利用期間は約1年。NX80Vのリリースで、NX70VやNZ90を見送って良かったかなって感じがしました。あ、あと、キーボードなんてなくても、外付けでもいいからウイングスタイルの液晶部分だけのCLIEが欲しいところです。って、1年前から同じこと言ってますね、私。
利用期間 1年くらい
1日あたり単価 163円



URL
  製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/PEG/PEG-NX80V/

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(広野忠敏)
2003/07/03 12:44

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