ケータイ Watch
連載バックナンバー
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ソニー サイバーショットU DSC-U60
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小さい、軽い、安い!
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[2003/06/11]

ボールペンで書いたメモがそのまま画像データに!
ゼブラ「手書きリンク」
[2003/05/28]

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[2003/05/14]

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[2003/05/07]

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FMV-DESKPOWER L20C/S
[2003/04/16]

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Graffitiが苦手でも安心
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[2003/03/26]

大人気の英語トレーニングソフトを試す
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撮る、録る、見る、聴く、1台4役のマルチデバイス
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[2003/03/07]

PDA以上タブレットPC未満
サイプレスコーポレーション「e-Note」
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[2003/02/12]

さらに「ヘビー」になった“全部入りCLIE”
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[2003/01/29]

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[2003/01/16]


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おとなのおもちゃタイトルGIF
PDA以上タブレットPC未満
サイプレスコーポレーション「e-Note」
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


大画面の液晶を搭載した携帯端末

 サイプレスコーポレーションの「e-Note」は、OSにWindows CE .NET 4.1を採用し、SVGA表示が可能な液晶ディスプレイを搭載した携帯端末だ。Windows CE .NETを搭載しているということから、「それってPDAでは?」と思われる方もいるかもしれないが、ここではあえて「携帯端末」と呼ぶことにする。その理由の一つが、携帯用のデバイスとしてはかなり大きめの液晶ディスプレイを搭載していることが上げられる。

 e-Noteに搭載されているTFT液晶ディスプレイは、8.4インチ SVGA(600×800ドット)表示が可能。Windows CEマシンでありながら、ちょっと前のノートパソコン並みの表現力を持っているのだ。サイプレスコープレーションではe-Noteを「スーパーPDA」というコピーで表現しているが、実際に手に持って使ってみると、ちょっと小さめのタブレットPCといった感覚がいちばんしっくりくる。大きさは縦23cm、横15cm程度、重さは750gと、ノートパソコンやタブレットPCなどと比較するとかなりコンパクトなのだが、いわゆる一般的なPDAとしてみるとかなり大きい。PDAが手帳ならば、e-Noteはその名前が示すとおり「ノート」なのである。気軽にポケットから取り出して使うというよりは、カバンの中から取り出して、じっくり使うといった位置付けになるだろう。

 まずは、簡単にe-Noteのスペックを紹介してみよう。OSは、前述の通りWindows CE .NET 4.1を搭載。CPUにはStrongARM SA-1110 206MHzを採用し、メモリはシステムROMが32MB、データ用フラッシュROMが32MB、RAMが64MB(SDRAM)を搭載している。また、本体にはPCカードスロット(Type2)、USBポート(1.1)、シリアルポートを搭載しているほか、IrDA、ステレオマイクロホンジャック、モノラルスピーカーを装備。PCカードスロットには、一般的なストレージデバイスに加えて、NE2000互換のネットワークカード、無線LANカード、PHSカードなどを装着することができる。どのようにカードが動作保証されているのかはサイプレスのホームページに一覧があるので、興味がある人は行ってみてほしい。また、USBポートには、マウス、キーボードやUSBメモリデバイスを装着することも可能だ。


本体上部にUSBポートやPCカードスロットなど 本体右側面にマイクロホンジャックなどが配されている

 実際に利用してみて面白いと思ったのは、表示される液晶画面をワンタッチで回転させること。デフォルトでは、縦の状態(600×800)で表示されるが、ワンタッチで横の状態(800×600)として利用できる。このメカニズムは、タブレットPCなどにも搭載されているが、シチュエーションによって縦、横両方の使い方ができるというわけ。Windows CE .NETにはあらかじめWebブラウザとしてInternet Explorer、メーラーなどに加え、PIMツールとしてのPocket Outlook、さらにWord、Excel、PowerPointビューワーが含まれている。たとえば、Internet ExplorerでWebサイトをブラウズするときや、Wordの文書を表示するときは、縦表示にしたほうが使いやすい。また、Excelのワークシートを表示するときは、横表示が断然便利。このように使い道にあわせて画面の表示を簡単に変更できるのが非常に便利だ。

 また、液晶画面が大きいこともあり、操作感は非常に良い。操作は付属のスタイラスで画面をタップするというPDAライクなスタイル。液晶画面が汚れてもよいなら、スタイラスではなく、指でタップして使うことも可能だ。たとえば、既に自宅に無線LAN環境を構築しているならば、e-Noteに無線LANカードを装備することで、家中どこでもインターネットという環境が簡単に構築できる。本体はタブレット状でさらに画面をタップするだけなので、ポインティングデバイスも必要ない。とても気軽にWebをブラウジングすることが可能になるのだ。

 ちなみに、電源は内蔵のリチウムポリマーバッテリーを利用。フル充電に必要な時間は約2.5時間。このように、充電は比較的短い時間で完了するが、問題は連続駆動時間。4~5時間の連続利用でバッテリーがなくなってしまうのである。いまどきのノートパソコンでさえ4時間以上の駆動が可能。なかには10時間以上も使えるものもあるといった現在の状況を考えると、短すぎるといわざるを得ない。せっかくの面白いデバイスなのに、残念な部分の1つだ。


机の上で立てかけてブラウジングできる

背面のプレートは取り外すこともできる

リモートデスクトップクライアントとして使う

 e-Noteに代表される比較的大画面の液晶を搭載したWindows CE .NETマシンの最も面白い使い方は、リモートデスクトップのクライアントとして使うことではないだろうか。リモートデスクトップとは、Windows XP Professionalでサポートされている機能で、ネットワーク経由で接続した別のパソコンから、Windows XP Professinalをインストールしたパソコンを使うための機能。Windows XPなどがインストールされたパソコンだけではなく、Windows CE .NETからも利用することができる。

 たとえば、自宅の書斎にWindows XP Professinalがインストールされたパソコンが設置されていて、無線LANでインターネットに接続できる環境が構築されているものとしよう。e-NoteのPCカードスロットに無線LANカードを装着すれば、e-NoteにインストールされているIEでホームページを閲覧したり、インターネットを利用できるのは先にも触れたとおり。それに加えて、eNoteのリモートデスクトップクライアントを起動すると、書斎に設置したWindows XP Professionalのログオン画面がe-Noteに表示されるというわけ。つまり、e-Note経由で書斎のパソコンを使うことができるのである。つまり、e-Noteと無線LAN環境さえあれば、わざわざパソコンを使いに書斎にいかなくても、トイレの中だろうとリビングだろうとどこにいても書斎のパソコンを使うことができるのである。もちろん、インターネットのさまざまなリソースを閲覧する際にも、e-NoteのIEではなく、いつも使い慣れたパソコン経由で、Windows XPのIEを利用するといったことも可能だ。

 自宅のパソコンが常時インターネットに接続されているブロードバンド環境ならば、さらに面白いことが可能。e-NoteのPCカードスロットにPHSカードなどを装着した状態、つまり、モバイルインターネットができる環境ならば、出先から自宅の書斎に設置したパソコンをe-Note経由で使うことができるのである。

 たとえば、自宅のWindows XP Professionalを出先のノートパソコンで使うといったことは簡単にできるし、実際にそのように活用している人もいるのではないかと思う。また、ハンドヘルドPCを使って出先から自宅のパソコンにアクセスしているなんていうコアな人もいるかもしれない。ハーフVGAのハンドヘルドPCやPocket PCなどのPDAでは、画面が狭いため、リモートデスクトップを使っていてもあまり実用的な感じはしなかったが、e-Noteに搭載されている800×600クラスの画面ならば、十分に実用的ではないだろうか。タブレットPCが欲しいけど高くて買えない、なんて人もタブレットPCモドキの使い方ができるのもe-Noteの魅力の一つだといえるだろう。


ディスプレイ保護カバーも同梱されている スタイラスは本体上部の左側でホールド

評価(最高点は★5つ)

イバリ度 ★★★★★  かなりイバれる。人に自慢したり見せびらかせば、きっと珍しがられるでしょう。ちなみに、電車の中で使ってみましたが、かなり目立ちました。
実用性 ★★  かなり微妙。PDAとして使うには大きすぎ、ノートパソコンとして使うには非力すぎ。割と中途半端な印象を受けました。
お値段  かなり高価。SmartDisplayが10万そこそこで買えてしまうということを考えると、ちょっと高すぎですね。
価格 128,000円  正直なところ、ターゲットが不明瞭な製品といわざるを得ない感じがします。値段も少々高価すぎ。もうちょっとお金を足せば、ノートパソコンを買えてしまいますからね。ただ、タブレットPCに魅力を感じるけれど、タブレットPCは高くて買えないって人ならば、買ってもそれほど後悔しないと思います。だけど、PDAのように使いたいならPDAを、ノートパソコンのように使いたいのならばノートパソコンを買ったほうが幸せになれるでしょう。
利用期間 3日
1日あたり単価 42,666円


・ 製品情報
  http://www.e-tools.co.jp/e-Note/


(広野忠敏)
2003/02/26 13:10

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