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おとなのおもちゃタイトルGIF
今度のCLIEはとてもコンパクト ソニー「PEG-SJ30」
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 既にソニースタイルでも先行予約が開始されているので、ご存知の方も多いとは思うが、ソニーから新しいCLIE「PEG-SJ30」が発売される。製品の発売よりも一足先に実機をお借りすることができたので、今週は「PEG-SJ30」をレビューしてみることにしよう。新しいCLIEは、どこがどのように変わったのだろうか。


本体は非常にコンパクト

PEG-SJ30
 CLIEといえばもはや知らない人はいないはず。言わずと知れたソニーのPalmOS搭載PDAだ。現行のCLIEには折りたたみ式でフルキーボードやデジカメを搭載した「NR-70」シリーズ、そしてビジネス向けの「T600」シリーズがある。9月に発売される新しいCLIE「PEG-SJ30」は、もっとカジュアルに気軽にPDAを使いたいというローエンドのユーザー層を狙ったもので、非常にコンパクトなデザインで価格が安いのが特徴だ。

 PEG-SJ30本体のサイズは104×71×16.8mm、重量は約139g。T600シリーズを一回り小さくしたようなデザインと大きさ。このサイズで、解像度が320×320ドットの、バックライト付きの半透過型のTFTカラーディスプレイ(6万5536色表示可能)を搭載。ちなみに、ソニーではアメリカ市場をターゲットに、モノクロディスプレイのCLIE「PEG-SL10」を先に発売しているが、PEG-SJ30は、SL-10の筐体をそのままに、液晶ディスプレイをカラーにしたものだと言える。私も日ごろは「NR-70V」を利用しているヘビーユーザーだからか、PEG-SJ30を初めて手に持ったときは非常にコンパクトに感じた。NR-70VをPEG-SJ30の隣に置いてみると(NR-70Vを広げなくても)まるで大人と子供くらいの差があるというわけだ。

 その他の仕様としては、CPUにDragonBall VZ 33MHzを採用。OSはPalmOS 4.1だ。おなじみのメモリースティックスロットを搭載。さらに、赤外線インターフェイスと、外部インターフェイスの2つを備える。今までのCLIEでは、本体にクレードルが付属していて、クレイドルをUSBケーブルでパソコンに接続。クレードルにCLIE本体を乗せて、HotSyncボタンを押せばパソコンとのデータのシンクロができるというスタイルだったが、PEG-SJ30ではクレードルは付属しない。パソコンとのシンクロは同梱されるUSBケーブルを利用する必要がある。つまり、シンクロしたいときに、ケーブルを引っ張り出してきてCLIEとパソコンを接続しなければならないわけだ。ちなみに、クレードルを利用したい人は、別売りのクレードルを購入する必要がある。


ソニー製品にはお馴染みのジョグダイヤルも搭載 本体上部には電源ボタン、メモリースティックスロット、赤外線ポートが配置されている

ライトユーザ向けコンテンツを充実

 つぎに、PEG-SJ30に搭載されるソフトウェアについてみてみよう。PIMとしてはアドレス帳、予定表、To Do、メモ帳、電卓などを搭載。また、PictureGear Pocket、PhotoStand、CLIE Paint、TV Scape、Navin’ You Pocketなど、CLIEではおなじみのアプリケーションも搭載されている。上位機種にあたるT600シリーズとの違いは、音楽再生機能がないこと。T600シリーズは、本体にヘッドフォンジャックが装備されていて、内蔵のAudio Playerでメモリースティックに記録したMP3形式やATRAC3形式の音楽を再生できたが、PEG-SJ30では、こうした音楽再生機能は用意されていない。PDAでも音楽を再生したいという人は、T600シリーズを購入した方が幸せになれるだろう。ただ、別売りのオーディオアダプターを購入すれば、メモリースティックに記録された音楽データをPEG-SJ30で再生することができるようになっている。

 PEG-SJ30が今までのCLIEと違うのは、ライトユーザ向けのコンテンツへの対応を充実させた点だ。ライトユーザ向けコンテンツのひとつは「電子書籍」、もうひとつが「ゲーム」だ。PDAとしての基本機能を押さえつつ、エンターテインメント系のコンテンツを充実させて、PDA初心者を取り込もうという方向性が窺える。

 PEG-SJ30には電子書籍リーダの「Pook」があらかじめインストールされ、Pookを使って電子書籍を読むことができる。なお、本体にはあらかじめ、綿矢りさ「インストール」、平成暮らしの研究会編「通勤電車のヒマつぶし本」、筒井康隆「筒井康隆100円文庫全セット」の3タイトルがインストールされているので、気軽に電子書籍の世界を楽しむことができる。ちなみに、こうした電子書籍コンテンツは「ソニースタイル」のホームページから購入することが可能だ。なお、電子書籍リーダの「Pook」は無料でダウンロードできるため、従来のCLIEユーザも「Pook」をインストールすれば電子書籍を読むことができる。電子書籍については、まだまだコンテンツが充実しているとはいいがたいが(特に、私が好きな海外SF小説については皆無といえる)、コンテンツが充実していけば、PDAで本を読むのもごく普通のことになるかもしれない。

 もうひとつのコンテンツはゲーム。元々PalmにはPalmwareとして優れたゲームがたくさんリリースされているが、PEG-SJ30にはBump Attack Pinball(ピンボール)、ZANAC(シューティング)、PSol Lite(カードパズル)の3つのゲームがバンドルされる。買ってすぐに遊べるのは、初心者にうれしい配慮だ。また、CLIE用のゲームコントローラもオプションで提供される。このゲームコントローラはカーソルボタン4つとその他のボタン6つが装備されていて、対応ゲームを快適にプレイすることが可能。また、PEG-SJ30だけではなく、T650C、600C、400、NR70、NR70Vで利用できる。さらに、ゲームコントローラにはセガの「コラムス for クリエ Ver1.0」やトライアル版のゲームも同梱されているので、CLIEで遊びたいという人にぴったりのアイテムだといえるだろう。


クレードルを標準添付すべき

変換コネクタとUSBケーブル経由でHotSync
 HotSyncの方法に関して、PEG-SJ30は標準でクレードルが付属していないため、同梱のUSBケーブルを使わなければいけないのは先にも書いた。標準で使えるSync方法は、クレードルがいいのかUSBケーブルがいいのか、きっと意見が分かれるところだろうと思う。気軽に面倒じゃなく使えるのはクレードルだ。しかし、USBケーブルなら旅行先にも持っていけるので、旅行先でシンクロできなくなって困ったという経験をしなくても良い(まあ、赤外線を使うという手もあるが)。

 また、CLIEでは充電とHotSyncのためのUSBケーブルで同一のコネクタを利用するようになっている。そのため、HotSyncするときにUSBケーブルだけでは「充電しながらHotSyncする」ということができない(クレードル経由では可能)。PEG-SJ30ではアクセサリコネクタに接続する変換コネクタに、USBとACアダプタ用の差込口が装備されているが、HotSyncをするときと充電をするときで、それぞれアクセサリコネクタにケーブルを差しておかなければいけないわけだ。

 CLIEに限らずPDAは「イザ使いたいときに使い物にならない」ということはあってはならない。そうした事態を避けるためにも「使っていないときには常に充電しておく」というのが正しい使い方だといえる。利用者が特に意識しなくてもそういう使い方が自然とできるのが「クレードル」であり、そのためほとんどのPDAはクレードルを使ったパソコンとのシンクロをサポートし、クレードルに差しておけばPDA本体に充電ができるようになっているのである。

 エキスパートユーザならば、シチュエーションに合わせて、自宅ではクレードル、会社にもクレードル、出張先ではUSBケーブルとACアダプタといった使い方ができるし、実際そういう風にして使っている人も多いと思う。ところが、多くの初心者の場合は、標準添付品がすべてなのである。純正、非純正に限らず別売りの便利なオプションを購入していない人も多いし、さまざまなPalmwareをダウンロードせずに、買ったときのまま使っている人も意外と多いのだ。つまり、クレードルをオプションで用意しても、多くの初心者はクレードルのメリットがわからないため購入してはくれないだろう。

 PEG-SJ30はそのコンセプトから見ても、エキスパートユーザではなく、初心者をターゲットにした製品なのは明らかだ。はじめてPDAを使うからこそ、クレードルで便利にPDAを使って欲しいと思うし、クレードルの便利さを知らないまま、PEG-SJ30を買ってPDAライフを送るのは疑問が残る。コストはかかるかもしれないが、クレードルは標準添付にするべきではないだろうか。

 ちなみに、PEG-SJ30のアクセサリコネクタはT600シリーズやNRシリーズと同一。本体の形状が違うためNRシリーズのクレードルをPEG-SJ30で利用することはできないが、T600シリーズのクレードルはPEG-SJ30で利用することができる。アクセサリコネクタ形状が同じなので、純正、非純正に限らず、以前使っていた多くのアクセサリーをPEG-SJ30で流用することも可能だ。ちなみに、私はNRシリーズとT600シリーズに対応した、HotSync可能なUSB充電ケーブルを愛用しているが、このケーブルもPEG-SJ30でも使うことができたことを付け加えておく。


アクセサリコネクタ
同梱の変換コネクタでUSBケーブルとACアダプタと接続

評価(最高点は★5つ)

イバリ度 ★★★★★  元々CLIEはかなりコンパクトなPDAとして定評がありますが(NR70シリーズを除く)、さらにコンパクトになりました。片手に持つとすっぽり収まる感じ。かなりイバり度は高いと言ってもいいでしょう。
実用性 ★★★  低価格化しても、アプリケーションが従来モデル以上にバンドルされているのはとても評価できる点です。特に初心者にオススメのモデルだといえるでしょう。
お値段 ★★★★  3万円を切る値段でCLIEが買えるのは、ソニーファンじゃなくても嬉しいのではないでしょうか。私はNR70Vを持ってるので買いませんけど。
価格 2万9800円(ソニースタイル)  あいかわらずACアダプタを直に差して充電できないのが問題(クレードル経由またはアクセサリコネクタに変換コネクタを装着する必要があり)。CLIEの伝統だけど是非とも改善して欲しいもんです。それと、せっかくアクセサリコネクタが充電とUSB兼用になっているんだから、ぜひともHotSyncでUSB充電もできるケーブルをリリース、あるいは同梱してもらいたいものです。
利用期間 1年くらい
1日あたり単価 82円


・ PEG-SJ30 製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/PEG/PEG-SJ30/index.html
・ sonystyle PEG-SJ30販売ページ
  http://www.jp.sonystyle.com/peg/Store/Clie/Sj30/index.html

ソニー、カジュアル志向の新型CLIE「PEG-SJ30」


(広野忠敏)
2002/09/04 13:12

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