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携帯に便利な極小デジカメ ソニー「サイバーショットU」
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 カシオのEXILIMに引き続き、ソニーからも非常にコンパクトなデジカメがリリースされた。その名前は「サイバーショットU」(DSC-U10)。EXILIMと同様に、いままでは存在しなかったジャンルの製品だ。発売されてから数週間が経過しているが、一部店頭ではいまだに入手困難な状況だというほど人気のデジカメなのである。今回は、ソニーのコンパクトデジカメ「サイバーショットU」をレビューしてみることにしよう。


トイデジカメとコンパクトデジカメの隙間を埋める製品

DSC-U10

 それほど高機能じゃなくてもいいからいつもデジカメを持ち歩いて気軽に使いたい。そんな要望に答えることのできるデジカメ、それがソニーからリリースされた「サイバーショットU」だ。いままでのサイバーショットシリーズと比較しても際立つのがその大きさ。手のひらにすっぽりと収まるサイズでありながら、1インチの液晶を搭載し、10cmのマクロ撮影も可能、有効画素数は130万画素となかなかの性能を持つ超小型のデジカメだ。

 いままでも極小サイズのデジカメは発売されていたが、どれもトイデジカメの範疇を超えるものではなかった。液晶ディスプレイを搭載し、メガピクセルクラスの性能を持つ本格的なデジカメとしては、サイバーショットUは、カシオのEXILIMに次いでリリースされたものだ。極小デジカメというジャンルの製品は、いままでになかった製品ということで、カシオのEXILIM、そして今回紹介するサイバーショットUは、注目を集めている。

 これを読んでいる読者はデジカメを所有している、あるいは使ったことがあるという人がほとんどじゃないだろうか。デジカメユーザーの中には、いざデジカメで写真を撮りたいシチュエーションがあったときに、たまたまデジカメを持っていないから撮影できないという歯がゆい思いをしたことがある人もいるのではないだろうか。いつも持ち歩くことができるデジカメがあれば、シャッターチャンスを逃がすこともない。いつも持ち歩くことによって、写真を撮影するというデジカメ本来の使い方だけではなく、写真で日常を切り取りメモしておくという新しい使い方をすることもできる。いつもデジカメを携帯していれば、何気ない瞬間を写真に収めることもできるので、必然的に撮影枚数は飛躍的に多くなる。そうして撮った写真の中には、あとで見たときに面白いものもきっと混じっているハズだ。また、撮影可能枚数を銀塩カメラほど気にする必要がないというデジカメ本来のメリットを十二分に活かす使い方だといえるだろう。

 サイバーショットUは、「いつもデジカメを携帯して、撮りたいと思ったときに撮る」そんな使い方が最も似合うデジカメだといえる。


サイバーショットUのスペック

電池

 前置きが長くなってしまったが、ここでサイバーショットUのスペックを簡単に紹介しよう。本体の大きさは約84.5×39.8×28.6mm、重さはメモリースティックやバッテリを含んで約118g。タバコの箱の約2/3の大きさで暑さはタバコの箱よりも若干大きめ。本体に付属するネックストラップにつけて首からさげても全然気にならないほどの大きさ、重さだ。この大きさならば、バッグの片隅に置いてもジャマにならないので、いつでも気軽に取り出すことができるはずだ。

 先にも書いたように有効画素数は130万画素。1280×960ピクセル、640×480ピクセルの画像を記録できるほか、MPEGムービー(音声なし)を記録することも可能だ。1インチの液晶とフラッシュを搭載、記録メディアはメモリスティック、バッテリには単4ニッケル水素充電池が採用されている。単4ニッケル水素充電池という一般的なバッテリを搭載しているのは非常に好感が持てる。専用のバッテリならば、バッテリが切れてしまうとそこでおしまいで、デジカメがただの箱になってしまう。だが、一般的なバッテリならばその心配はいらない。ニッケル水素充電池ならば入手も容易だし、マニュアルでは奨励されてはいないが、アルカリ乾電池を使っても撮影することができるからだ。


操作は非常にイージーだ

 サイバーショットUを使ってみると、真っ先に感じるのが操作のイージーさ。複雑な操作をしなくても「な~んにも考えずに」写真を撮影することができるのである。このイージーさも、サイバーショットUの大きな特徴だといえる。サイバーショットUで写真を撮りたいときは、本体前面のレンズバリアをスライドさせて、シャッターボタンを押すだけ。レンズバリアは電源と連動していて、スライドさせるとレンズとフラッシュが現われて電源がオンになるのが便利だ。閉めるとレンズとフラッシュが保護されるので、特別なケースにしまわなくても、そのまま持ち歩けるという気軽さもある。

 ただ、バックやポケットに入れておくと、なにかの拍子にレンズバリアが開き、電源が入ってしまうということが何度かあった。ロックスイッチなどを採用し、簡単にレンズバリアが開かないようにすれば、もっと便利になったのではないかと思う。

 被写体の確認は、本体裏の1インチ液晶ディスプレイを利用する。光学ファインダーは装備していないので、液晶ディスプレイに頼ることになる。液晶ディスプレイは反射型(フロントライト)なので、明るい場所でも暗い場所でも視認性はかなり良い。真っ暗な場所でのフラッシュ撮影も明るい太陽光の下での撮影でも特に不便さは感じなかった。

 本体の細かい操作は、背部の3つのボタンを利用する。中央のボタンは上下に押すことができ、撮影時には中央のボタンだけでフラッシュモードの設定や撮影モードの設定ができるのが簡単で使いやすい。そのほかの細かい設定は、メニューを表示して行なう。もともと比較的低機能なのでさほど細かい設定をすることはできないが、撮影に関しては、画像サイズと連射(1280×960、640×480、640×480連射)、フォーカス距離、セルフタイマー、ピクチャーエフェクト(ネガアート、セピア、モノトーン、ソラリ)を設定することができる。

 フォーカス距離に関しては、「なぜにメニューでフォーカス距離の設定をしなければいけないのか?」とはじめは疑問に思ったのだが、これは使ってみて判明。基本的にサイバーショットUのフォーカスはマクロ(10cm)から無限大までフルオートなのである。つまり、どんな状況でもシャッターを押すだけで写真が取れる……ハズなのである。ところが、何枚か撮っていくと、同じようなシチュエーションであるにもかかわらず微妙にフォーカスがずれて撮影されることがあるのである。被写体の距離があらかじめわかっているときには、フォーカス距離を設定して撮影したほうが失敗が少ないようなのだ。ちなみに、オート、0.2m、0.5m、1m、無限大から選ぶことができる。


液晶が小さいのでやや使いづらい面も

液晶

 ところで、サイバーショットUに搭載されている液晶は、1インチという非常に小さいサイズなので、おのずと限界を感じる。撮影時に被写体の細部を確認することも無理だし、再生時に画像の一部をズームする機能もないため、撮影した写真のピントが本当に合っているのかを確認することもできない。このあたりは搭載されている液晶のサイズが小さいのでしょうがないといえばしょうがないのだが、せめて再生時に画像のズームができ、画像の細部を確認できるようにして欲しかった。

 また、メモとしてデジカメを使う場合、記録だけではなく再生にも重きを置く必要がある。サーバーショットUは、マクロ(約10cm)の撮影も可能なので、パンフレットの文字や値札なんかも気楽に撮影ができる。ただ、文字や細かいものを撮ったのはいいけれど、液晶で確認できないのでは、メモとしての意味がないように思う。液晶が小さすぎて本体だけじゃ確認できないから、CLIEにメモリスティックを挿してPG Pocketで細部を見るとか、パソコンに転送して確認するというのでは本末転倒。その場で撮ってその場で確認できてこそメモデジカメとして使えるのだが、確認に難ありのサイバーショットUをメモデジカメとして使うのは荷が重いシチュエーションもでてくるだろう。せっかくマクロ撮影ができるのに残念だ。


セカンドカメラとしては最適

 ところで、サイバーショットUの特徴を一口で説明すると、超コンパクトサイズ、低機能、イージーの3つのキーワードに集約できる。たしかに、気軽に持ち歩けて、気軽に写真を撮ることができる。ただ、それほど高機能ではないため、使ってみると何気に物足りなく感じることも多々ある。銀塩カメラにたとえてみれば、高級機クラスのデジカメは一眼レフ、中級機クラスはコンパクトカメラ、そしてサイバーショットUは、かなり強引だが、その気軽さから考えると使い捨てカメラといった位置づけが妥当かもしれない。つまり、メモ用や日常を切り取るためのツールとしてサイバーショットUを割り切って使うのならばなんら問題はないが、初めて購入するべきデジカメではない。むしろすでに中級機以上のクラスのデジカメを使っている人のセカンドデジカメとして最大限に活用できるハズだ。

■ 評価(最高点は★5つ)

イバリ度 ★★★★★  イバれました。たとえば、パブで女のコに自慢するとかという行為が可能です。EXILIMのときは無反応でも、サイバーショットUなら「きゃー、かわいいっ」と言われます。
実用性 ★★  マクロ撮影ができるのは非常に良いのですが、液晶ディスプレイが小さすぎるのと、拡大再生ができないのが不満。マクロを使いたければサイバーショットU、それ以外の機能面ではEXILIMに軍配が上がるでしょう。
お値段 ★★★  デジカメとしてみると比較的安価。でもセカンドカメラに2万4800円はちょっと高いかな。
価格 2万4800円 ソニー製品なのになぜ予想利用時間が半年なのかというとれっきとした理由があります。サイバーショットUは常に持ち歩いてこそ意味のある製品。そして、現在常に持ち歩いているものにケータイがあります。現在発売されているカメラ付ケータイのカメラとしての性能は、まだまだデジカメ専用機には劣ります。でも、サイバーショットUクラスの性能を持つカメラ付ケータイがあったらどうでしょう。わざわざデジカメなんて買わなくても大丈夫だし、持ち歩くものが1つ減って言うことありません。すぐにケータイにデジカメがついているのは常識になるだろうし、半年もすればサイバーショットUクラスの性能を持つカメラ付ケータイがリリースされるのではないでしょうか。というわけで、ゆくゆくは、このクラスのデジカメがケータイに統合されるのに座布団256枚。
利用期間 半年くらい
1日あたり単価 136円


・ 製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/DSC/DSC-U10/index.html
・ ニュースリリース
  http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200206/02-0627/

ソニー、手のひらサイズの130万画素デジカメ「サイバーショットU」


(広野忠敏)
2002/08/07 11:25

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