ケータイ Watch
連載バックナンバー
Bluetoothで音楽を飛ばして楽しむ。ヤマハ「NX-B02」
[2009/06/26]

サンワサプライのWeb限定商品「Miniトラックボールマウス」
[2009/06/25]

コンパクトな光学ディスク専用プリンター「CW-E60」
[2009/06/24]

長すぎるマウスケーブルをがっちり固定「マウスアンカー」
[2009/06/23]

ポートの見分けやすさはピカイチ「表彰台USBハブ」
[2009/06/22]

ずっと使いたいカメラケースはオーダーメイドで
[2009/06/19]

クリック専用デバイス? 指先で使う超小型トラックボール
[2009/06/18]

「光センサースイッチ」で暗いときに電源をオン!
[2009/06/17]

天井と壁面、どちらにも取り付けられるロジテックのLANカメラ
[2009/06/16]

サルでも使える? amadanaのポケットビデオカメラ「SAL」
[2009/06/15]


2009年6月

2009年5月

2009年4月

2009年3月

2009年2月

2009年1月

2008年

2007年

2006年

2005年

2004年

2003年

2002年

2001年

2000年

本日の一品タイトルGIF
アントワーヌ・プレジウソの技が冴える
「アワーズ・オブ・ラブ/ミステリーバック」

アワーズ・オフ・ラブ本体画像。ケースはプレジウソ独特な樽(トノー)型をしている
 アントワーヌ・プレジウソという人物をご存じだろうか。多分、腕時計に詳しい人でないと知らない名前だろう。アントワーヌ・プレジウソは「神の手」と呼ばれるほどの技術を持つ天才独立時計師だ。自分のブランドの時計として新作を精力的に発表するだけでなく、宝飾メーカーとのコラボレーションを実現したり、大手時計メーカーから複雑時計の制作依頼などを受けている。

 アントワーヌ・プレジウソは、時計学校時代にトノー型の腕時計で著名になった時計師と席を並べていたが、当時の成績はプレジウソのほうが上であったとのエピソードも残されている。卒業後はパテックフィリップやアンティコルムに籍を置き、その手腕を惜しみなく発揮していたが、その後、1993年に独立し、現在に至る。パーツ制作から組み立てまでジュネーブで行なわれ、極めて高品質な時計にだけ刻印が許されるというジュネーブシールの使用を許されている数少ない独立時計師の1人である。

 このアントワーヌ・プレジウソの時計で、もっともシンプルでベーシックなものが今回紹介する「アワーズ・オブ・ラブ/ミステリーバック」だ。機械は定評のあるETA社のCAl.2892-A2をトリートメントしたもので、綺麗なローターやさまざまな磨きが施された機械はとても手の入った見事な仕上がりになっており、時計の裏から観賞することもできる。数十万クラスの時計で、ここまで丁寧な仕上げの入った時計も珍しく、実物を前にする機会があれば是非手にとって見ていただきたい。もちろん、工房規模のブランドであるために、プレジウソの時計のほとんどは限定数生産になっており、今回紹介するモデルも200個限定となっていた。

 トノータイプのケースは、複雑時計のモデルまで一貫したプレジウソ独特のデザインで、大きめのリューズはとても操作しやすいサイズ。ケースの素材は良質なステンレス(316L)で、右側面や裏蓋には限定番号が刻印されている。ローズカラーの文字盤に、ブルーのインデックス、ブルースチールの針という派手過ぎないバランスのとれたものだ。現在発売されている同モデルでは、アップライドタイプのインデックスが採用されたり、文字盤にギョウシェ模様が施されるなどの違いはあるが、ケース形状や機械といった部分は同一である。

 グラスバックには、時計の名前の由来となっている「愛の時間」が刻まれている。実物を目の前にしてもグラスバックの「愛の時間」を確認することは難しい。ルーペなどでじっくり眺めれば見えてくるはずだ。これもオーナーだけに許された楽しみなのかもしれない。

 汎用的な機械がベースになっているとはいえ、大量生産でなく手作業で少量ずつ生産される時計には何かしらの魅力を感じてしまう。それが天才時計師が手がけた腕時計ということであればなおさらである。ただ、残念なことは、文字盤などの仕様が変更されてはいるものの、プレゾウソの知名度が高くなったためか、このシンプルなモデルでさえも大幅に値上がりしてしまっていることである。


文字盤はローズカラーでインデックスと針は深い青とバランスが良い。ANTOINE PREZIUSOと工房のあるGENEVE、6時位置にはHours of Loveとプリントされている リューズにはAPの文字、ケースには限定数とシリアル番号が刻印されている

 余談になるが、現在時計メーカーの中には、プレジウソのように個人の工房程度の規模で活動しているところも少なくない。小規模ながら活動できるのは、デザインや時計師としての技術が卓越しているからに他ならない。その卓越した技術を持った時計師の集団である「AHCI(Academie Horlogere Createurs Independants)」が存在する。通称アカデミーと呼ばれ、組織化された時計メーカーにはないコスト度外視の時計やユニークなデザインのモデルを、毎年BASELフェアで発表している。ちなみにBASELフェアとは、世界中の時計・宝飾メーカーが参加する展示会のことだ。このアカデミーでも、プレジウソは世話役として中心的な存在になっている。

 また、とあるテレビの番組でもプレジウソを紹介されていたのが記憶に新しい。その中では、複雑時計の組立を披露していたが、集中するために独りで作業できる週末に行なわれ、その様は緊張の極致。テレビの前ではあるが、息を殺して見入ってしまったほどだ。再放送も幾度か行なわれているので、機会があれば独立時計師の技を見てみるといいだろう。


尾錠にもANTOINE PREZIUSO、GENEVEの文字が刻印されている 愛の時間が刻まれたグラスバックの奥に、綺麗に磨かれた機械を覗くことができる

品名 発売元 購入価格
アントワーヌ・プレジウソ
アワーズ・オブ・ラブ/ミステリーバック
(限定数200個)
アントワーヌ・プレジウソ 395,000円(2000年発売当時)



URL
  アントワーヌ・プレジウソ(Antoine Preziuso、英文)
  http://www.antoine-preziuso.com/
  ユーロパッション(正規代理店)
  http://www.europassion.co.jp/preziuso/


(うずまき天符)
2003/11/26 10:58

ケータイ Watchホームページ

ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
Copyright (c) 2003 Impress Corporation  All rights reserved.