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こ、これだッ!! 欲しェェぇーッ!! ワコム「Cintiq C-1800SX」
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


こ、これだッ!! 欲しェェぇーッ!!

Cintiq C-1500X(G)。標準価格16万8000円。液晶タブレット採用で、目線がディスプレイとペンとを行ったりきたりするという従来製品の不自然差を解消した
 その発表を知った瞬間、心臓がゴキンと鼓動し、こめかみから汗が滲み、そして目と頭と物欲が冴えて思わず「欲しェェ~ッ!!」と声に出したモノがあった。ワコムの液晶タブレットのCintiq C-1500X(G)である。

 ワコムと言えばもはや押しも押されもせぬ大御所的タブレットメーカーであり、俺もワコム製タブレットを使っており、特にintuosシリーズの使用感は最強に最高でグレイトと言える。のだが、タブレットは、使うにおいて少し敷居の高さがある。

 intuosシリーズなどのタブレットは、描画のスムーズさやタッチのリアルさ正確さは抜群で、鉛筆やペンなどの筆記用具と同様の感覚で使いこなせる。のだが、それは線を描くこと自体のスムーズさに限ってのことだ。マウスで描くことに比べると超越的なほどのスムーズさがあるのは良いが、実際にペン等で描くのと比べると違和感およびそれを克服するための少々の努力が要る。

 というのは、タブレットは描く面が机上なのに、描かれる面はディスプレイ表面という点。鉛筆やペンとほとんどおんなじ感覚で超スムーズに使えるのに、手元で描いた線などが手元とは離れた画面上に現れるというちぐはく感がある。最初は手元と画面を交互にチラチラ見てしまう。ペンのストロークと画面上のカーソルの起動がユーザーの頭&心とマッチするまで、なーんかミョーな使い心地があるのだ。結局、ある程度タブレットに慣れれば済むことであり、まあ人によっては1日で慣れる人もいれば、1週間かかる人もいるだろう。とにかく、慣れるまでの間は、「線を描く感覚はすげーイイけど、ペンでカーソルを扱うこの感覚が気持ち悪いなぁ」なんてなことを思うわけだ。

 そんなところへCintiq C-1500X(G)が登場。これは、ディスプレイ表面がそのままタブレットになっている液晶タブレットで、つまり画面上にペンで描けば、描いたソコにそのまま線が描かれる。紙にペンで描くのと同様に使える!! タブレットにあった違和感および敷居の高さがほぼゼロ!! これだ!! ていうかソニーのVAIOにもこーゆーディスプレイを搭載したのがあったけれど、Cintiq C-1500X(G)は汎用性の高い単体の液晶タブレット!! これだ!! これしかない!! これで絵を描く!! レタッチもする!! ペンでコンピュータを操作しまくりなんだよアニキわかってくれよブラ……あ、このディスプレイはXGA(1024×768ドット)なのかーッ!? 絵を描くには比較的に狭いのかーっ!? ていうか狭い。

 てなわけで、とうとう俺が求める理想的なタブレットが登場したと思ったら、解像度的不満があり、手を出せなかった。テキストを中心に扱うならXGAでも良いが、グラフィックを扱うなら最低限SXGA(1280×1024ドット)くらいの解像度が欲しい。コンセプト的には物欲煽られまくりのCintiq C-1500X(G)だが、んー俺的にはいまひとつなスペックであり、手を出せなかった。


こ、これだッ!! 欲しェェぇーッ!! その2

Cintiq C-1800SX。オープンプライスだが、店頭価格は35万円程度。多くのプロフェッショナルが使用するタブレットのハイエンド機だ
 そのCintiq C-1500X(G)から約半年、またもやワコムから液晶タブレットが発表された。今度のはCintiq C-1800SXというちょいとスゴいヤツ。前の、Cintiq C-1500X(G)が15インチのXGA表示であったのに対し、Cintiq C-1800SXは18.1インチであってしかもSXGA表示!! 物理的にも解像度的にも十分余裕ありまくり!! これだ!! これなんだよアニキ!! これを待っていたんだよワコム!! これを予約す……ああっ何て値段だ店頭予想価格は35万円前後なのかよマジかよフツーの18型液晶が3台くらい買えるよ19型でも2台くらい買えるよ高ぇゼくわわわッ!! またもや手を出せないフィーリング。

 でもその使用感をとにかく味わってみたかったので、ワコムさんにおねだりしてお借りしてみた!! てなわけで、今回はタブレット野郎の夢と希望と愛と勇気と18.1インチとSXGAの液晶タブレット、Cintiq C-1800SX試用レポートを。なお、Cintiq C-1800SXの詳細についてはワコムの製品紹介ページをご覧いただきたい。

 ていうか俺的結論から先に申し上げれば、お借りしたCintiq C-1800SXを抱えてそのまま逃亡していきたいほど、その使用感は素晴らしい。マジで素晴らしい。借りたから言ってるんではなくてタブレット野郎ならばきっとうっとりするほど素晴らしく使いやすい。

 まず、タブレットとしての性能の高さ、感度の良さ、それから自由の高さは、本連載スタパトロニクスモバイルのバックナンバー、『マジで本格的に凄い!!:WACOM intuos i-400』を上回るものがある。スゲぇのである。文句ナシなのである。例えばPainterとC-1800SXを組み合わせて使うと、微妙なタッチの鉛筆の線から、ダイナミックな強弱を持つ筆の線まで、おおお俺は突然画家になったのかもしれない!! と勘違いするほど気持ちの良い線を描きまくれる。


 それ以上にカンドーしたのは、従来のタブレットとは全く違う、激ウルトラ快適なる使用感だ。Cintiq C-1800SXは、液晶タブレットと名が付く製品だが、違う!! これは発光するキャンバスだケント紙だ画用紙だ!! てなほど、コンピュータ周辺機器ということを意識させないダイレクトな描画感がある。何しろ、専用のペンで画面上に描けば、そのままソコに線が現われるのだ。

 従来の、画面と描画面が離れた位置にあるタブレットだと、いきなりおもむろにズシャァァァッと描いた時、(かなりタブレット慣れしていれば別だが)普通は予想とは違った線が描かれちまう。角度が微妙に違う、長さがちょいと違う、強弱の緩慢もなーんか違う。自分が求める線とは違うのが描かれてしまう。これをふまえて次の線を、さらに次の線を、と何回か、あるいは何十回か繰り返して“タブレット使用モードに突入”していくのが、従来のタブレット使用感だった。

 しかし、液晶タブレットCintiq C-1800SXは、最初の一発目から実にしっくり来る。おもむろにズシャァァァッと描いても、ほぼ予想どおりの線が描ける。角度も長さもズバリの線。ペンで画面上に描くが早いかソコに線が現れるのだから、角度も長さも間違えるハズがないのだ。また、強弱すなわち線の太さや濃さの干満も、ズシャァァァッのズシャあたりでユーザーの最強に強まった目と脳と手のサイバネティックな連携により、行為中に激っ速で微修正が行なわれる。そしてズシャァァァッの後半のァァッあたりでは、自分が思った通りの線を描けるようになっている。これまでのタブレットにはあり得なかった使用感だ。

 「紙に描くのとだいたいおんなじコトがコンピュータ上で行なえる」と言うと別に大したコトじゃないように感じられるかもしれないが、従来のタブレットに多かれ少なかれつきまとっていた違和感や敷居の高さがいきなりほぼ皆無になっているってのは物凄いことだと思う。

 お絵描き大好きなタブレット野郎、あるいはプロ絵師であるタブレットユーザーには、老婆心から、Cintiq C-1800SXを試さないほうがいいと言っておきたい。最強に欲しまること確実だからだ。俺などはこの原稿を書き終えたらCintiq C-1800SXを持ってトンズラな心意気とも言えるので十分注意されたし。


デカいっスね重いっスね

Cintiq C-1800SXを編集部の机上に置いてみた。隣のThikPad s30と比べると、サイズ的にはかなりデカいことがわかる
 マジメな話、Cintiq C-1800SXを数日使ったら、これはもうやはりかな~り欲しいのであって、現在購入算段中の俺。なのだが、実際に買うことを考えるとなると、いくつか気にしたい&気になる点が浮かんでくる。

 C-1800SXは、画面に直接描ける製品ってことで、フツーの液晶ディスプレイとはチト違う工夫が多々施されている。例えば、画面を20~77度の角度で自由に傾きを変えられたり、画面の縦横位置を自由に変えられたり、あるいはスタンドからディスプレイ部分を取り外して膝の上に置いて使えたり。縦長表示が可能なPivot機能にも対応しているあたり、液晶ディスプレイとしての汎用性も高い。いつもは普通の液晶ディスプレイとして使い、絵を描くときなどは胸の前に置いて抱え込むようにして使うとか、膝に乗せて抱くようにして描くなどできる。これはこれでヒジョーにナイスな工夫だと思う。

 が、その一方で気になる点として、C-1800SXのサイズがある。ハッキリ言ってC-1800SXはヒジョーにデカい。そして重い。外形寸法は468×407×70mm(幅×高×厚)で、重量は約7.7kgなのだ。これはスタンドを外した時のサイズ・重量である。人によってはこの液晶タブレットを見た途端、心の中の周辺機器サイズ的常識がガシャンと壊れて笑い出したりもするようだ。

 さておき、試しにこの状態で腿の上に乗せてみたら……スケッチブックの下を腿に置き、上を手で持って描く感覚に近く、非常に使いやすいものの、15分ほどで腿の一部がシビれ気味。30分くらいすると痛み気味。そして腕も疲れ気味。んむー確かに膝に乗せられるものの、やはり腿に乗せるなどするには重すぎる。

 タブレットとして使える点で、18.1型のディスプレイ面は有り難い大きさだ。小さいタブレットはその分精密な描画を行う必要がありがちで、描くときのスピード感ってのをそぐ。だが18.1インチ=約359×258mmのタブレット面積があると、神経質にならずにのびのびと描ける。SXGA表示である点は、液晶タブレットの実用性を高めているとともに、このくらいの大きさがあった方が汎用的に使う液晶ディスプレイとして見やすい。

 ディスプレイ全体の大きさは、フツーの18型液晶よりも一回り大きく厚い感じだ。この大きく重いディスプレイを支えるスタンドは傾きや角度をたやすく調整でき、足の部分がゴムで覆われているので机面を傷つけずにチルト・回転を行える。前述のように、大きく重いので、足に乗せて使うのはやや現実的ではないが、机上で使うなら非常に便利に使える。例えば、ディスプレイをほぼ上向きにして、画面を抱え込むようにして使うと快適に描ける。


 しかし、設置場所をけっこー選ぶっていうか、つまり場所を取る。立てて置くぶんには横幅468×奥行214mmのスペースがあれば置けるが、立てたままじゃタブレットとして使いにくい。用途に応じ、適宜傾きを変えるなどすると、結局、画面を上向きにした状態(=多くのユーザーが「描きやすい」と思えるであろう状態)にしたとき、横幅468×奥行459ミリのスペースを“食う”のだ。この他にキーボードの存在などを考えると、フツーの机だと置けないケースがけっこーあるのではなかろうか。

 C-1800SXのタブレット機能は、マウスの代替えとしても十分イケており、特にペンのみ(マウス不使用)でWindowsを操作した時の感覚は意外なほど痛快だ。ペンでのクリック操作は少々慣れが必要(慣れないと不意にクリック操作をしがち)だが、1時間も使っていればマウスよりもずーっとスピーディにGUIの操作ができるようになる。のだが、その時もキーボードの置き場に少々困ったりして。大きな本体、頑丈なスタンド、そしてそれらの机上専有面積は、いろんな人に不都合となりがちだ。

 ただ、C-1800SXは、VESA FPMPMI準拠で、ネジ穴感覚100mmのアームを取り付けられる。なので、アームを含めて調達する勢いがあれば、前述の置き場所の問題やキーボード問題などもスッと解消できるかもしれない。


細かな実用性

 ところで、ワコム製タブレットは皆そうだが、専用ペンはコードレスでありかつ電源も不要。これはワコム独自の電磁誘導方式で、ペン内部のセンサとタブレット側のセンサーの間で、電磁誘導による電流が流れて動作するというものだ。で、この電磁誘導方式のタブレットは、液晶タブレットとしても大きな強みを発揮している。

 それは、タブレットセンサー基盤を“液晶パネルの後側に配置できる”ということ。つまり、液晶パネルの前面にタッチセンサーなどを貼らずに液晶タブレットを実現できているので、例えば銀行に置いてあるATMのタッチパネル画面とか、PDAの画面などのように、液晶の鮮明さが損なわれることがない。実際、C-1800SXの液晶は、見た目は違和感ナシ、クッキリ&ハッキリの液晶表示だ。この表面がタブレットになっているなんて思いもしないキレイさ鮮明さがある。

 液晶表面は保護ガラスで覆われており、付属のペンで描く程度の力??そっと擦ろうがギョワワッと力強く線を引こうが全然歪まないし、また傷もつかない。液晶の見やすさはフツーの液晶と同等かそれ以上であって、タフさも十分。タブレットのカタチとして理想的であって、さらに耐久性などの面での実用性も十分あるわけだ。ちなみに、液晶の視野角は水平・垂直とも160度あり、机上に上向きに置いて使うなどしても見にくさは感じられない。

 ただ、人によっては嫌うかもしれない“液晶タブレットとしての宿命”もある。ホントに細かい話になるが、タブレットは、樹脂面を樹脂のペン先で擦って使う。なので、描いたときの“物理的な感触”が平坦になる。鉛筆だろうが筆だろうがチョークだろうが、全部樹脂を樹脂で擦るツルツルした書き味だけになる。このフィーリングを嫌うタブレット野郎は、タブレット表面にある程度のテクスチュアがある樹脂シートや紙などを置いてタブレットを使う。のだが、C-1800SXの場合、タブレット表面にシートや何かを置くと液晶が見にくくなっちまうので、そういうワザも使いにくい。些細な点ではあるが、フツーの画材からデジタル画材に移行する人は、そういった微妙な書き味にシビアな人が多かったりする。そのあたりのワザ(ていうか工夫ですな)がやりにくいC-1800SXは、便利だけど微妙なタブレットなのかもしれない。


 ぶっちゃけた話、C-1800SXをタブレットおよび液晶ディスプレイとして見ると、非常に高価であり、かなり重くデカいのであり、恐らくフツーのパソコンユーザーの環境(というよりもむしろ机上)に合わない製品だ。願わくはC-1500X(G)のSXGA版が登場なのだが、すなわち15万円程度でありコンパクトであり理想のスタイルのタブレットが欲しいゼと思う俺なのだが、それにしてもC-1800SXは魅力的な製品だ。

 前述のように、絵を描くには現在最も使いやすいデジタル画材だと感じる。特にPainterとの相性はバッチグーのグーのグレイト。自由に描きまくれる(自分の技量内でですけど)!! その開放感っつーか痛快感っつーか手っ取り早さっつーかキモチ良さは、前述の細かな「んーこの点はどーなんだろう」感をズバッと忘れさせて俺の預金残高も忘れさせて俺の本職も忘れさせて俺のクレジットカードを使わせようとするほどだ。このテの製品としては久々に感動モンである。

 まあ、モノとしてプロ向け、あるいはハイアマチュア向けの製品なのだが、日本にはこのよーなすげぇ装置があるんだなぁってことで、興味のある方は一度触れてみるとおもしろ……いや最強に欲しまるであろう。


・ CINTIQ C-1800SX製品情報
  http://tablet.wacom.co.jp/products/cintiq/cintiq_top.html
・ ワコム、SXGA対応の18.1型液晶タブレット(PC Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/pc/docs/2002/0408/wacom.htm
・ WACOM Cintiq(シンティック) C-1800SXニュースリリース
  http://tablet.wacom.co.jp/what/news.html?nno=122

2002/06/17 14:38

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