ケータイ Watch
連載バックナンバー
この“第三の手”ったら便利!! 「パナバイスジュニア」
[2009/06/22]

BlackBerry Bold用ケース買いまくり
[2009/06/15]

BlackBerry Boldちょ~好き!!
[2009/06/08]

ArduinoをShieldで遊ぼう
[2009/06/01]

2009年、Arduinoの現在
[2009/05/25]

SSDを使うニャ!! とか焦ってプチ失敗
[2009/05/18]

オリオスペックの静音PCを購入
[2009/05/11]

WILLCOM NSに興味津々!!
[2009/04/27]

ScanSnap最新型、S1500がイカシてる件
[2009/04/20]

カメラ周りをワイヤレスに!!
[2009/04/13]

電脳フィギュアARisで、話題の“拡張現実感”体験!
[2009/04/06]

6万円でお釣りがくる4TB NAS
「リンクステーション LS-Q1.OTL/1D」
[2009/03/30]

とても便利な“撮影スタンド"「WISTA サブスタンド88」
[2009/03/23]

イケてるiLife '09
[2009/03/16]

ワイヤレスマイクで音を撮る! ハンディカム「HDR-CX12」
[2009/03/09]

こんな雲台を連日使っとります
[2009/03/02]

WFT-E4がナイと拙者の生産性が激低下!!
[2009/02/23]

USB接続のサブモニターがアツい!?
[2009/02/16]

やっぱり気になる“まめカムHD”
[2009/02/09]

アクトビラってどーなのよ?
[2009/02/02]

電源回りにウルサい拙者
[2009/01/26]

ニコン謹製「メディアポートUP」を使ってみた!!
[2009/01/19]

無線LANで写真転送!! なSDメモリカード
[2009/01/05]


2008年

2007年

2006年

2005年

2004年

2003年

2002年

2001年

2000年

モバイルセントラル
モバイルセントラル一覧へ
スタパトロニクスタイトルGIF
MDLP対応・録再型ポータブルMDデッキ
ソニー MZ-R909
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


後押ししてくれない理由

ソニー MDウォークマン「MZ-R909」
オープン価格だが、店頭価格は3万2800円程度
 結果から言えば、俺はソニーのレコーディングMDウォークマンであるMZ-R909を買った。録音も再生もできて、しかもMDLPに対応していて、さらに高級MDデッキに搭載されているDSPことTYPE-Rが搭載されている超小型ポータブルMDである。MZ-R909についてのインプレッションからダイレクトにお読みになりたい方は、次の次の章からお読みいただきたい。この後に続く文章と、次の章の文章は、MZ-R909を買うに至るまでの四方山話なのである。

 で、発売当初っていうか発表直後から「欲しいカモ!!」と感じていたのだが、これまで手を出せないでいた。

 コイツを欲しいと思った理由は前述の各種スペック以外にもちょこちょこといくつかあり、また、3万円前後の実売価格なので、十分にターゲット内。いつものように「くわッ!!」と気絶すれば気づいた時に机の上に置かれていても不思議ではない製品……なのだが、MZ-R909についてはどーも半年近くも「欲しいんだけどナ~」てな感じで物欲が昇華できていなかった。

 購入を踏み切れない理由はいくつかあって、まず録音再生型のポータブルMDを持っていたこと。据え置きのMDデッキも持っていたこと。録再型MDの使用目的であるサウンド遊びのための生録音(って今でも言うんでしょーか!?)は、メモリースティックが使えるボイスレコーダーで間に合っていたこと。それから、俺の最強に強まりまくった思い出の曲がビッシリ詰まっててもーコレが最高なんですよスゲぇイイんですよ級のオリジナルMDがどっか行っちゃってたこと、など。

 次に買うならMZ-R909だろ絶対、と思ったり羨望したりしていたものの、これを購入する正当な理由が全部打ち消されている感じであった。すなわち、自分に対する拙者の言い訳が0個しか発見できない状態であった。……でも実はMDLPデッキ持って俺としては、MZ-R909がMDLP対応であることと、MZ-R909の台座(充電用クレイドル)がちょいと便利そうってあたり、購入の理由に結びつけられそうなフィーリングなのだが、前述の購入しちゃダメ的理由群がこのふたつの理由をいつも強力かつ完璧に削除してしまうのである。

 って、何をゴニョゴニョした細かい葛藤明細みたいなコトを書いてるんでしょーか、わしは。でも、そーゆー葛藤ってありませんか? 買いたいナァ……買うか!?……でも、ん~、買わなくても大丈夫なんだけど、んむむ~、と思って数カ月、みたいな。

 ところが!! 年末から今年頭にかけて、この状況が一変した。恐らく神や仏などによる不思議で未知のパワーが俺の状況に介在したと思われるのだが、急にポジティブな購入理由が発生したのだ。


神の後押し

 まず、年末に大掃除をしていたら、前述の最強に強まったオリジナルMDの次に最強に強まっていると思われる、俺謹製オリジナルカセットテープが発掘された。こここコレだよコレ!! これを探し続けて3年経ってたんだよマジで!! これは神の御力に違いない!! 3年越しの俺の欲求を見ておられた神が「そろそろ与えるか」と思ってこのテープを出現させたのだ!! てくらい、俺にとって大切かつ思い出深いテープなのである。

 わぁ嬉しいなぁ懐かしいなぁという心意気で、早速このテープを再生すべくMDもCDもテープも聴けるミニコンポを使お……うと思ったら……あ。大掃除の準備の時にバラしちゃった。でもこの2番目に最強に強まったテープを再生するために掃除ほったらかしでセットアップするゼ!! と、大掃除時に古雑誌を読みふけって掃除中断、みたいな行為に走った俺だった。

 ところが!! なぜか不思議とMDコンポにつなぐためのフラットケーブルみたいなシステムケーブル(専用AVケーブルの束的存在)が行方不明に!! 最近のMDコンポはダメですな。システムケーブルがないと何もできませんな……などと、やや余裕カマシ気味で探してみたが、全然ナッシングであり、あるいは掃除の途中で捨てられちゃったのかも~!? まあ買えばいい……けど俺のテープが再生できねぇんだよアニキ!!


 あーせっかく幻のテープを再生しようと思ったのになぁ残念だなぁしょうがないから掃除の続……あ!! アレだアレだろ古いウォークマン(ポータブルカセットテーププレーヤーですな)持ってただろ>俺!! ソレだ!! それで再生していきたい!! と古ウォークマン発掘作業を始め、つまり、大掃除中に古雑誌を読みふけっていたら「そういえばこの製品記事読んで超欲しくなって買ったよなぁ……アレってどこにしまったっけかな!?」とか言って掃除を中断した上にさらに些細なモノを発見するために部屋散らかし始めるよーな行為に走った俺だった。

 ところが、掃除を中断した後の、掃除と関係ない行為に限って順調に進む。すなわち速攻でウォークマンが見つかった。何となく神の力が介在したことを感じつつ、早速テープを再生してみた。

 ら!! 大変大変大変大変っ!! テープの音の一部がビミョーにオカシくなってますよ!! 部分的に音がウニョ~ンってウネった感じで再生されますヨ!! ……よく調べてみたら、どーもテープの頭のほーに伸びっていうかシワっていうかヘンな帯状のひずみができている。これが原因で、部分的に音がオカシくなるようだ。すなわち愛と希望と勇気と思い出のカセットテープメディアが瀕死の状態!! どどどどどどっ、どうしようっ!?


PCとオーディオ機器間でサウンドデータ入出力を行なうためのボックス。PC側のインターフェイスはUSBでお手軽。現在は後継機のUA-3(1万9800円)が販売されている
 約16分間どうしようか考えた結果、テープのサウンドをパソコンに取り込むことにした。ローランドのUSB接続オーディオインターフェイスのUA-30を経由して、テープの音をパソコンに取り込み、とりあえず瀕死のカセットテープからサウンドを救い出すのだ。そして、音がオカシクなっている部分を、サウンドデータ編集ソフトのSoundForgeでどーにか加工して直すのである。

 その後、約128分程度かけてサウンド取り込みを終え、約256分程度かけて音がヘンになった部分を若干良くして、さらに約512分程度かけてテープのヒスノイズを取ってみたり音質を調節してみたりなんかしたら、む!! これは非常に良い!! 昔のサウンドがグレードアップして蘇った感じだ!! やったァ!! と大喜びしつつ昨日だかにやってたような気がする掃除のコトなんざぁすっかり忘れた俺だった。

 さてこの復活したサウンドをどうしよう!? そうだ録再型ポータブルMDでMDに書き出していつでも愉快に聴けるようにしていきたい!! 手持ちの録再型MDウォークマンを使……あーどっか行っちゃってる!! UA-30を使ってWAVデータをMDに書き出せば一連の作業が完璧に終わるって時に限って、録音できるMDデッキがねぇとキた!! ふーざけんな神!! さっきからいろんなモン出現させるわりには最後のひとつを出しやがらねえ!! てめぇイイ度胸してや……あ!! ガム電池だけ出てきた!! わーい!! ていうかデッキを出せデッキをコラ!! 神!! といったイライラが持続しつつ探すこと1時間。でも全然出てこない。


 そしてMDデッキ探しの疲れで冷静さを取り戻しつつあった俺が見たのは、死ぬほどとっちらかった部屋だった。泥棒が同時に5人くらい入らないと、こうは散らからない。超弩級の散らかりようだ。まさに神憑り的な散らかりようであって……ああっそうだったのか神の狙いはコレか!! さっきからその大いなる力を振るって俺の部屋をどんどん廃墟っぽくしていたのは、神は神でも邪神ってヤツかよサイテーだよヤメテよマジでお願い頼むからとかクダラネーことを考えていたら、別のコトを思いついた。

 前述のテープメディアは90分テープだったりして、つまり曲も90分近く入っていたりして、74分とか80分のMDメディアには入らない。ディスクが2枚必要になるわけで、1本のアナログメディアに入っていたデータが2枚のデジタルメディアじゃないと入らないという状況は(DVDなんかだとけっこーありますが)妙な敗北感をもたらす。テープサウンド救出→復活→高音質化→まで連続して勝利をおさめてきた俺としては!! ここは負けられん!! 勝っていきたい!!

 そして勝つためには!! 大掃除が終わるまで出てこねぇと思われるポータブル録再MDなんかよりも!! あるいは注文したケーブルが届いてやっと使えるようになるMDコンポなんかよりも!! 俺が持っていないMDLP対応の録音可能なMDデッキなんだよゴッド!! 同じ容量のメディアに対して従来のMDの2倍もしくは4倍の時間の録音が可能なMDLPで録音すれば、74分とか80分のメディアに楽勝で90分のサウンドが入る!! 1本のテープが1枚のMDに収まるんだよゴッデス!! すなわち俺の勝利!! これだ!! これをやっていくしかないんだよだって掃除も終わってないしサウンドとかMDとかいじり始めちゃったしもう後に引けないからヨドバシのウェブサイトで[購入]ボタン押しちゃえポチっ!!

 そんな成り行きなのであった。結局、神は俺の部屋をお汚しになったかわりに、俺にMZ-R909購入の強いパワーをお与えになったと思い込んでいきたい。


MDデッキとしてのMZ-R909

入力ポートはもちろん光デジタル対応
 さて、4000文字近くの成り行きでとうとう買ったMZ-R909だが、やはり録再型のポータブル機はイイ。ポータブル型MDデッキで録音なんかできてもしょーがないジャン、というご意見もあるかと思う。が、録音できるってコトで、用途が大きく広がり、わりと多くのケースでソレ1台で済んじゃうからだ。

 MZ-R909の場合、普段はフツーのポータブル機として、再生専用に使う感じ。しかし、録音可能なので、マイクなどをつなげれば録音できるようになる。例えばプラグインパワー方式のマイク(電源をジャック(MDデッキ)から取るため電池が要らないタイプですな)を挿せば、即、会議の議事録音とか取材録音などに活用できる。ケーブルのないダイレクト接続タイプのマイクをつなげれば、感覚としては(やや動作の遅い)ボイスレコーダーとしても利用できる(けどダイレクト接続のマイクだと本体の動作音ノイズを拾う)

 CDなどからの録音も当然できる。MZ-R909なら光デジタル入力に(もちろんアナログ入力にも)対応しており、多くの光出力端子を持つオーディオにつなげて、音楽などをデジタル録音できる。ちなみに、MDのサンプリング周波数は44.1kHzで、デジタル入力のあるMDデッキによってはその周波数の入力しか受け付けないこともある。が、MZ-R909は内部にサンプリングレートコンバータを持つので、32kHz(BSチューナーとか)や48kHz(DATとか)のデータも(44.1KHzに変換して)録音できる。まあ最近の録音可能型MDはだいたいそうですけどネ。

 また、MZ-R909などを始めとする現代的っていうか最近のポータブル録再型MDは、据え置きデッキよりは少々使いにくい=ボタンが小さいとか表示域が狭いとか快適な文字入力ができないなど小ささゆえのデメリットはあるが、できることは据え置きデッキとおおよそ同等。細かな音質などをじーっくり検証するってんなら話は変わってくるが、録音系の機能を実用域内で利用するなら、十分に活躍してくれるMDデッキになるわけだ。

 例えば光出力のあるポータブルCDと、MZ-R909など光入力のある(録音可能な)ポータブルMDがあれば、それだけでMD・CD搭載のミニコンポとしての“機能”が得られる。性能や細かな使い勝手では据え置き型などのMD・CDコンポに劣る箇所があるが、たったふたつの小さなガジェットでコンポの機能が得られるあたりに大きな魅力がある。

 で、MZ-R909とCDプレーヤーとかデジタル出力を持つパソコンなどを併用した感覚は、やっぱり案の定「これでイイじゃん」というもの。CDと光接続すれば、手動での録音も、あるいはCDとのシンクロ録音もできる。光出力を持つオーディオインターフェイスを経由してパソコンと光接続すれば、パソコン上のあらゆるサウンドを非常に高品位に録音できる。このサイズでしっかりMD録音が堪能できるなら、これで済ませちゃおうと納得してしまうという感じだ。


 ちなみに、再生専用のMZ-E909は、実売価格が2万5000円程度、録再モデルのMZ-R909は3万2000円程度。7000円の差で、ポケットサイズのMDデッキの用途が大きく違ってくるあたり、んむむ~と考えてしまいがちである。

 ただ、MZ-R909について、最初ちょいと戸惑ったトコロがある。いくつかの録音モードを持つMZ-R909だが、デフォルトの設定だとそのモードが“上書きモード”になっている点だ。このモードで録音すると、録音直前の状態によっては、録音済みの音が上書き録音によって消えたりする。

 俺の感覚では、MDなどデジタルレコーダに録音すると、それまであったサウンドの一番先頭や一番後ろに新たなトラックとして録音されるのが普通だと思えまくりなのだが、この“上書き録音”はそーじゃなくて、録音操作直前に再生を停止したその位置から録音を始めてしまうのである。結果、俺のような感覚でいるヤツは、消したくもない録音済みサウンドを、新たな音によって上書き消去してしまうのであった。もちろん、このモードはカンタンに変更できる。録音済みトラックの後ろに、新たなトラックを並べていくように追加録音する設定にできる。

 それにしても、上書き録音というモード、これの必要性がよくわからない拙者である。MZ-R909は他の録再型MDと同様、曲(トラック)の分割や結合や削除や並び替えなど、MD上のデータの編集がかなり自在に行なえるデッキだ。そういう装置において、上書き録音っつーコトが必要になるのだろうか!? 録音した後に必要に応じて分割なり結合なりすれば、大切なサウンドでもどこをどう編集するかをしっかり認識しつつ処理できるのに、と思う。

 上書き録音は、後の編集の手間をなくして好きな位置に自由にサウンドを録音できるという手っ取り早さはあるものの、うっかりして大切なサウンドを消しちゃうってこともあり得まくるのだ。なーんとなく録音済みのサウンドを聴いていて、そこへ突然録音チャンスとか録音したい気分が到来した時、思わず録音ボタンを押しちゃったりなんかすると、さっき聞いていたサウンドが消えたりするわけだ。とても危険な録音モードって感じであり、前述の手っ取り早さと天秤にかけても、あんまりあって欲しくないモードだなぁとか思っちゃうわけだ。しかもデフォルトでこの設定ってのが怖いと思う。まあ、録音モードを上書き録音ではないものにすりゃぁイイってだけのことではあるんですけどね。

 あるいはコレって、カセットテープのような、アナログ的録音感覚をMDに持たせたってコトなのか!? 最後に止めた位置から上書き録音が始まるのって、非常にカセットテープ的というかシーケンシャルなアナログメディア的な録音フィーリングかもしれない。もしかしてソニーさん……ランダムアクセスメディアアレルギーのある御仁から多々の苦情が来たんですか「カセットテレコみたいな感じで録音できるモードをMDに付んかい!!」とか!?


MDLPデッキとしてのMZ-R909

MZ-R909はシルバーのほか、ブルーとレッドの3色をラインナップ
 MZ-R909の音質だが、まず従来のMDと同様、フツーの録音モードことSPステレオ録音し、これをMZ-R909で再生してみたが、なかなかイイ音だと感じた。

 1~2年くらい前のMDプレーヤーよりイイ音を出しているような気がする。新しいATRACコーディング用DSPのTYPE-Rの活躍によるものか、それとも気のせいかって感じで、ビシッとハッキリ区別がつくほどの音の差はないっていうか、いや音の差があるよーな気がするからもっとよーく聴くぜ~などと気合を入れ始めると逆にどんどん混迷し始めるような、微妙な差だと感じる。

 ただ、ホントに一昔前の、例えば7~8年前のデッキと比べると、MZ-R909がというよりもMDデッキ全体が、格段に音が良くなっていると感じる。昔はテープよりも音が悪いかも~なんて思っていたMDなのだが、最近は録音する曲などによってはCDと変わらない音の良さがある。昔はけっこーボーッとしていても、MDの音とCDの音ってかなりハッキリその違いがわかったのだが、最近はそーんなに目立った違いはない。特に昔は目立ちまくりだった低音の薄さとか高音のヘナヘナ感が、最近のMDでは目立たないっていうか耳立たない。MDの音ってのはどんどん良くなってるんですな。


 さて、以上はSPステレオの音。じゃあMDLPはどーか?

 MDLPでの録音モードは2種類あり、LP2が従来の2倍の時間、LP4が従来の4倍の時間録音できるというモードだ。従来の録音モードであるSPステレオ録音は、サウンドを約1/5に非可逆圧縮して録音するATRAC方式だが、LP2やLP4はATRAC3という新たな方式。ATRAC3は、そのビットレートをATRACの半分に落としても、音質はATRACと同じに保てるという夢のよーな非可逆圧縮方式で、つまりは同じ容量のMDメディアに同じ音質で倍の量のサウンドが入っちゃうというお得な方式なのである。

 MDLP録音をする場合、それに対応したデッキであれば、MDメディア自体は従来と同じモノで良いってあたり、敷居が低い。ただし、MDLP録音されたMDは、MDLP非対応プレーヤーでは再生できない。従来の録音モードのSPステレオ録音されたMDは、MDLP対応プレーヤーでは再生可能だ。

 で、このMDLP録音、その音質はと言えば、まあMDLPが登場してわりと日が浅いってこともあってか、MDLP独特の音の傾向はまだあるんだなぁという印象。結論から言えば、従来のATRAC録音より、音は悪い。

 が、ちょいと聴いて即わかるほどの音の悪さではない。ていうか正直言って、聞き慣れない曲をMDLPで録音・再生しても、音質についてすぐに良し悪しを言えない。ていうか逆に「イイ音じゃん」と単純に思ってしまう。もちろん聴く音楽や、聴く環境にもよるが、比較的ににぎやかだったり音自体にメリハリのある系統の曲??ロック系ポップス系のものなんかだと、どの音がどう悪いのかを判定するのがけっこー大変ってほど、イイ音なのであった。

 ついでに書くと、俺が古いテープから復活させた音などをMDLPで録音すると、音の良し悪しの判別がさらにできにくい。MDLP独自の音の傾向よりも、サウンドソースの音の悪さの方がずっと目立つ感じである。また、仮に非常に良いサウンドソースをSPステレオ録音とMDLP録音して聴き比べたとしても、出先で歩きながらとか電車に乗りながら聴くなら、周辺の雑音に微妙な音の違いが打ち消されてしまうと思う。

 しかし、じっくりよーく聴き比べると、前述のMDLP録音の傾向が確かにあると感じられる。

 俺が感じる印象として、SPステレオ録音と2種類のMDLP録音は、音の粒立ちみたいな観点ではそーんなに変わらない。音楽を構成する細かな要素??ギター、ピアノ、シンバルなど、それぞれの音質の違いをハッキリ断言できるほどは、違いがないと感じる。のだが、全体的な音の響きがなーんかビミョーに違う。SPステレオ録音だと自然かつフツーに聞こえるのに、MDLPだと少々音の広がり感に欠けるような印象があるのだ。SPステレオ録音には感じられる音場の広さってんでしょうか開放感ってんでしょうか、それが、MDLP録音には足りない印象。MDLPだと、少し息苦しいような、ちょっとだけ狭いところで鳴り響いているような、そんな息苦しさや閉塞感がある。

 って、ホントによく聴かないと気づかないようなモンなんですけどね。そしてそこまでこだわるなら最初からCD聴いとけ!! って感じでもあるんですけどね。


 てなわけで、まあ、気楽に構えたスタンスでMZ-R909を見ると、MDディスクサイズの超小型録再MDにしては、幅広い活用ができるし、音も十分良いと感じられるしで、その価格以上の手応えがある。また、蛇足だが、外見的にもスッキリしており、ジョグダイヤルを始めとする操作系も(ひと世代前の録再MDと比べると)非常に快適に扱える。最近流行り(!?)のクレイドル式充電台も非常に便利で、モノとして満足度が高いなぁと納得できた。


・ MZ-R909製品情報(ソニー)
  http://www.walkman.sony.co.jp/prod/md_rec/r909.html
・ MZ-R909ニュースリリース(ソニー)
  http://www.sony.co.jp/sd/CorporateCruise/Press/200107/01-0724/
・ UA-30製品情報(ローランド)
  http://www.roland.co.jp/products/dtm/UA-30.html

2002/02/12 11:02

ケータイ Watchホームページ

ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
Copyright (c) 2002 Impress Corporation  All rights reserved.