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真打ち登場!? 「ニコン COOLPIX5000」
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


真打ち登場なのかーッ!?

ニコンの5メガピクセル機「COOLPIX5000」。光学ズームは3倍で、連写性能に優れる。標準価格15万円
 デジカメに対する強い興味が沸騰して臨界点に達してメルトダウンしがちっていうかある種の病気ではなかろーかというほどデジカメばっかり買ってる最近の俺は、センセイこれはどんな病気でしょうかってことで診察を受けたい気持ちはさておき、この冬、何に期待していたかと言えば、COOLPIX5000ことニコンデジタルカメラE5000である。このデジカメの詳細はニコンの製品紹介ページをご参照願うことにし、まずはこのカメラに期待したことなどを。

 E5000はニコンの最新5メガピクセルデジカメだ。コレの存在っていうか発売予定を知った瞬間から、まったくもってヒジョーに魅力満載の製品だと感じた。俺にとっての魅力は、何はともあれ全部さておき、E5000に搭載された液晶??自由な角度に向けられるバリアング……じゃなかったフリーアングル液晶モニタである。キヤノンのPowershot G1やG2に搭載されていたのとちょうど同じスタイルの、もんのすげぇ使いやすい(と思われる)スタイルのモニタだ。このスタイルの液晶モニタを搭載した5メガピクセルデジカメってことだけで、俺はこの製品を予約購入することを決めた。

 それから、レンズ。35mm判換算で広角(ワイド)側28mmから使える3倍ズームレンズを搭載!! 広角撮影マニア垂涎!! ていうか俺が垂涎でよだれかけ必須野郎に!! この際3倍とかズームとかってコトはどーでもいい!! 28mmから使えるってぇのが、おまいさん!! こりゃぁてぇしたもんだねぇ~と膝を打ちつつ熱いのを一杯飲りたくなるほどのコトなのである!! って28mmってだけでそんな大げさな……と思われるかもしれないが、考えれば考えるほど熱燗で一杯……じゃなくてホントに心躍るような仕様なのだ。

 レンズ交換式デジカメおよびワイドコンバージョンレンズ等の使用を除き、これまで28mm程度の広角レンズが使える製品ってのは数えるとすぐ数え終わっちゃうほどしかない。コダックのDC4800ZoomとミノルタのDiMAGE7くらい。DC4800Zoomに関しては、既に販売終了となっており、またDiMAGE7やE5000と比べると撮像素子画素数が330万画素とかけっこー目立つノイズが多いとか、まあぶっちゃけた話、一昔前の製品というニュアンスが強い。てなわけで、DiMAGE7とE5000を比べてみると、絵作りの傾向などは度外視して、そのサイズや使用感を左右するギミックなどを考えると、んーこれはやはりE5000の方が良さそう!! とか思えてくる。また、同時発売されたワイドコンバータWC-E68とE5000を組み合わせると、35mm判換算で19mm相当の超広角撮影ができる!! んが!! ここここれは見逃せない魅力!!

 広角野郎垂涎の魅力を持つ5メガピクセルデジカメに、絶対便利に違ぇねえバリアン……じゃなくてフリーアングル液晶モニタを搭載し、しかも実はキヤノンのPowershot G1とかG2よりも小さくてオリンパスのC4040Zoom程度のサイズ=携帯性良好!! これは真打ち登場!! 買うしか!! 買うぜ!! 購入決定即予約!! という心意気になった俺だった。


なめとんのかニコン!!

 さぁさぁ真打ち登場だぜ買うぜ使うぜ楽しむゼーッと思ったのが9月半ば過ぎ。近日発売ってことで、その発売日をまだかまだかと待っていた。しかし待てど暮らせど全然発売日が発表されないのであった。

 残暑が厳しいかも~と思っていたら秋の虫が鳴き出し、そのうち紅葉が散り、さらに霜が降りて、そろそろ水たまりが凍ったりし始めた頃、やっと発売された。去年の12月13日であった。ていうか確か9月18日にWeb上で発売の発表して、その後ナンもナシで3カ月かよニコン!! 待たせ過ぎ!! 消費者をナメとんのかコラ!! ていうかどっかのCPUメーカーと似ていると思った。

 でも発売直後、この最新最強の真打ちと思われるE5000が手に入ったので待たせすぎの件はチャラにし……と思った矢先に回収騒ぎなのであらせられた。詳しくはニコンのサイトにあるが、なんか、久々に消費者をヒジョーにヤキモキドキドキハラハラゲンナリさせる製品登場の経緯だと感じた。……そうかこれは、思いっ切り前に製品の発表をして媒体露出度を高め、しかも発売直後の事態によってさらなる製品知名度を高める新手の販売促進方法に違いない!! 違うよ>俺。

 でも、まあ、E5000は手に入ったし、俺のE5000はレンズキャップの件も問題なかったし、まあいいや、と。そう思い、さてさてこのフリーアングル液晶モニタ付き5メガピクセルデジカメで28mmおよび19mm(WC-E68も買ったんですぅ~)の広角撮影を楽しむゼ!! と意気揚々と試し撮りに出かけた。


E5000の印象

 率直に言って、E5000は決して“お手軽・簡単なデジカメ”ではない。外見は、比較的にコンパクトだし、なんかこうフレンドリーさを醸し出すデザインが施されている。ポケットカメラ感覚で使いこなせそうな印象がある。いや、確かに、フルオートモードやデフォルト設定でのプログラムオートモードで撮れば、誰でもシャッターを押すだけでの簡単撮影を楽しめる。が、E5000の場合、その先、一歩踏み込んだ撮影をした時、カメラの能力が強く強く発揮されると感じる。そしてこの“一歩踏み込んだ撮影”をするとなると、最初の数日はけっこーかったりぃのである。

 まず率直にボタンが多すぎる……ように感じる。実際はこのクラスのデジカメとしてはフツーって感じのボタン数だ。小さめのボディに無理矢理とボタンを配置したような印象があり、感覚的にパパパッと扱うにはボタン位置になーんか脈絡のなさも感じる。モードダイヤルと同時に押すボタンも少なくない。これはE5000の多彩な機能をクイックに使用・変更するには便利ではある。だが、小さいボディに実装したためか、ボタン押下+モードダイヤル回転という操作を行う時、自分の手の動きが何だかぎこちなくなっているような、スムーズな使用感にやや欠ける。

 フリーアングル液晶モニタ上部にも3つのボタンが並ぶが、その使用感もいまひとつと感じた。ボタンの多くはE5000の本体背面右側に並んでいて、これは両手でカメラを支えつつ右手親指(と人差し指)で操作するにはまあまあ都合の良い位置っていうか慣れればわりあいスムーズに使えるようになる。が、メニューを操作したりするたびに液晶モニタ上部のボタンを押すことになる。それだけならまだいいのだが、E5000の液晶モニタはフリーアングル式。液晶を左側に開けば、その3つのボタンは液晶上側に来るし、液晶を開いた状態で本体に収めると、今度はこの3つのボタンが液晶下側に来る。これが何だかチグハグな操作感であり、戸惑い=撮影中の集中力の寸断が起きがちだったりする。

 ただ、こーゆーハードウェア的インターフェイスは、メーカーの思想がよく出たりする点でもあり、また、ある程度使えば慣れる。いわばニコン文化ってのがユーザーに染んでしまえば、ソニー製ビデオデッキユーザーが見たパナソニック製ビデオユーザーのように、あるいはヤマハのバイクに乗ってる奴が見たドゥカティ乗りのように、何ら違和感なくハードウェアを使いこなしている人となれるのだ。そして、E5000を少々マニアックに使えば、誰でもすぐにこのボタン類を意のままに扱えちまうようになる。ていうかならざるを得ない。


凝れば凝るほど納得がいかない!?

 ボタン類とかソフトウェアインターフェイスの話の続きをしようと思ったが、ちょいと画質の話をはさみたい。

 俺の場合、とりあえず購入直後は、工場出荷時デフォルトの設定でババババッと撮影した。で、その画質的印象はと言えば、ニコンというブランドのデジカメにしては、ほんの少し色味が鮮やかかな~、でも街を撮っても人を撮っても確実に無難以上でしかも及第点をしっかり超えてて、時々すげぇ画像が撮れるゼ!! 最初、2cmまで寄れる怒濤のマクロ撮影をしていて、なんかこう精細感・解像感がないかも~と思ったが、そりゃそうだ28mmで激接写したらピント合う範囲狭いなぁってことで納得。明るい環境で望遠側で接写を行なうと切れるような接写ができてビックリ!! みたいな。

 味気ないほどナチュラルってわけではないが、わぁキレイ~ってほどビビッドでもない色合い。そして、やはりナチュラルってほどでもないけど人工的って感じじゃない解像感。すなわち、まずまずであり適度でありフツーと言えばフツーに見える画像が得られる。唯一主張があるとすれば、35mm判換算28mmという焦点距離がもたらす開放感と遠近感がある光景の見え方だろう。

 でも、俺としては、ニコンということでもう少し抑えめで渋めっていうかストイックな色調が欲しく、また、やはりニコンということで、より強い解像感が欲しい、なんてなコトを思ったのが苦労の始まりだった。E5000をマニアックに使って俺好みの画像を得るゼ!! ってことで画質に関わる各種設定をいじくり始めたのである。

 E5000はマニュアル指向の強いデジカメで、露出の方法はもちろん、画質を決定する細かな要素までを幅広い自由度をもってしてユーザーが設定できる。シャッター速度や絞り値やホワイトバランス以外で、画質にダイレクトに関わりまくりの設定項目としては4つ、[階調補正]と[彩度調整]と[輪郭強調]と、あと条件が絡むが[ノイズリダクション]がある。特に前の3項目は、設定によってかなり写真の印象が変わってきたりする。

 ちなみに、[階調補正]はコントラストや明るさを変化させる設定項目で、AUTOを含めて6つの設定から選べる。[彩度調整]は彩度(色の鮮やかさ)の強弱の設定項目で、モノクロを含めて5つの設定から選べる。[輪郭強調]は画像の細部のエッジ(輪郭)の強弱の設定項目で、AUTOとOFFを含めて5つの設定から選べる。[ノイズリダクション]はノイズの除去機能で、OFFとONとクリアイメージから選べる。ONにすると(全ての画像サイズにおいて)1/15秒以下のシャッタースピードで撮影した時に星状ノイズを軽減し、クリアイメージにすると(SXGA以下の画像サイズにおいて)滑らかで階調幅があってノイズが少ない画像が得られる。


35mm判換算で28mm相当の広角レンズを搭載。空を広く入れた撮影なんかもできてキモチイーのであった。多くのデジカメの場合、広角側は35mm判換算で35mm程度なので、同じ位置からでは水面をここまで広く入れて写すことはできない なーんかちょっと傾いててすいません。E5000のレンズは、こういうスッキリとした青空の階調をヤケにキレイに出してくれる。色合いも自然だと感じられる

 さて、これらの設定のうち、俺がアレコレと試したのが[階調補正]、[彩度調整]、[輪郭強調]だ。画像のメリハリ調整に[階調補正]値を、色合いの強弱調整に[彩度調整]、画像解像感調整に[輪郭強調]を、というあんばいで調整しては撮り調整しては撮りと繰り返して撮影した。……のだが、コレ、やればやるほど深みにハマってしまうのであった。たった3つのパラメータだが、設定できる値がけっこー豊富で、実際には[階調補正]で5種類、[彩度調整]が4種類、[輪郭強調]が4種類ある。5×4×4なのであって80通りの組み合わせがありやがる。この80通り全部は試さないっていうか試せないので、効果的と思われる設定をアレコレ試してみた。

 結果、俺としては、[階調補正]=標準、[彩度調整]=-1、[輪郭強調]=HIGH、というのがイイかもな~となった。階調に関しては特になんか文句があるわけではないので標準とし、ニコンにしてはやや媚びてるじゃんという彩度を抑えるべく彩度を下げ、広角側で撮ることが多いので輪郭強調を最強にして隅々までの解像感を(見た目)高めてみた感じ。ここに辿り着くまで1000枚も実験したのだ。これが俺にとって最も正しい設定なのだ。これは絶対だ!! これが正しくないと1000枚も実験した苦労がむくわれないのダ!! むくわれないとイヤン!! ぜひむくわれていきたい!! むくいたい!! だからこの設定なんだよアニキわかってくれよブラザー!!

 だがしかし!! 正直なところ、どの被写体にでもオーケーなオールマイティに使える設定なんざぁねえってコトが真の結論なのだ!! わかったか>俺!! わかりました>俺!!


けっこー意地悪な被写体を撮ってみた。5メガピクセルとは言え、35mm判換算で28mm相当の広角レンズで撮っているので、画面内に入るディテイルはより細かくなる。そのためか、細部のクッキリ感がやや弱いように見える あーこの写真もなーんか傾いててすいません。実は光学ファインダーでも液晶ファインダーでも手前の地面部分が確認できないほど真っ暗な状況なのダ(←半分言い訳)。夕方のように見える空は、都心部の明かりに空がうっすら照らされているから。上空に見える白い点は星。夜中の空がここまで写るのは大したモンだと思う

 ていうかですね、[階調補正]と[彩度調整]と[輪郭強調]、この3つのパラメータ、いじり甲斐がありまくりっス。変えれば変えるほど得られる写真の印象も変わる。他のデジカメでも似たような設定変更ができるのだが、例えばキヤノンのPowershot G2とか、あるいは富士フイルムの多くのFinePixなどでは、それらの設定をいじろうとは思わない。画像を見ると「あ!!」と勘づくくらい強い画質的な個性があるからだ。さらに強い個性と言えば、パナソニックのLC5に見られる“超”がつくほど強力っていうか強靱な画質的傾向だろう。

 E5000はどうかと言えば、そういう強い個性はあまり見あたらないような気がする。イイ色で撮れないとかカッコ良く見える写真が撮れないってわけではなく、撮影においてデジカメっつーフィルタがあまり介在しない感覚だ。多くのデジカメの画質はメーカー任せというトコロがあって、ユーザーが制御しきれない色なり描写がある。メーカーの主張と言い換えてもいいかもしれない。ともかく、その色合いや解像感や描写の傾向が好きだからその製品を買う、みたいな、なんつーかフィルム選びやレンズ選びに似たところがある。

 気に入れる画像を生成する装置を買うとすれば、そういう個性はラクで有り難い。画像を見比べ、いちばん気に入る製品を買えば、後はパシャパシャ撮りまくるだけ。いつもだいたい自分が気に入る画質や色合いを出してくれるから、ハッピーになれる。

 だがE5000の場合、そこまで強い個性が見えない。少なくともデフォルトの設定では、フツーにキレイな感じで撮れる。裏返せば、撮ったんだけどなーんか物足りない、って気にもなる。素直は素直でイイんだけど、なんか主張しなさいキミは!! てな感じが、俺にはする。ぶっちゃけた話、俺の場合、カメラ任せで撮るなら、E5000でもイイんだけど、もっとイイ感じの写真が撮れる機種がいっぱいあるからそっちを使うヨ、と言えよう。

 しかし、個性的なデジカメを使うと、時としてユーザーの意志に背きまくりの写真が撮れたりする。こんな色じゃねえだろ、こんな質感とは違うだろ、というような違和感のある写真が撮れたりする。真冬の空なのに春の空みたいになっちゃった、日本の地味な景観がアメリカの自然公園みたいになっちゃった、とか。なっちゃって良かったァってんならイイのだが、なっちゃってヤダという場合、デジカメの個性が強ければ強いほど、目的の写真が撮りにくいことになる。


 E5000の場合、そのあたりが素直であり、かつ、無理のない制御ができる点が良い。前述の3つのパラメータをいじるなら、コントラストや彩度やエッジの切れを調整し、ユーザーの意図やイメージを(ユーザーにとって)より正しく写真として定着させられる。だからカメラ任せにしないで、ユーザーが主導権を握って画像をコントロールしたくなる。そして、ユーザーが積極的に色や光を制御し始めると、急にE5000が頼もしいデジカメとして見えてくるのだ。

 でも……実際、この光はこうあるべきで、この色はこう見えるべきダ!! というのが明確じゃないと、E5000は迷いの原因になるような気もする。ていうか俺はなっている。それは、前述のように、「この設定でイイ!!」とか「この被写体にはこの設定!!」と思っても、「……もしかしたら別の設定だとさらにイイのかも!?」などと考えてしまうからだ。まあまだまだ自信がないってコトですな。でもそんな写真的探求をするにおいては、機能的には十二分であり、サイズも使用感も大したモン級なのではないだろうか。


再びインターフェイス

1.8インチのTFTポリシリコン液晶を採用したフリーアングル・ディスプレイ
 さて、話を戻して、インターフェイスのこと。

 E5000の機能を把握して、各機能の効果を十分知れば、たぶんキョーレツにイカシた写真を撮れるだろう。「撮れた」のではなくて「撮った」と言える、アナタの正真正銘の“作品”を作れるよーな気がする。のだが、そこまでの道のりは、あまり短くはない。というのは、E5000、機能がいっぱいあってけっこータイヘンなのだ。

 例えばプログラムオートモードでE5000を使った時、そのメニュー項目がかなり多彩だ。写真のデキに関わるメニュー項目を順に挙げると、カスタムセッティング選択、ホワイトバランス設定、測光方式設定、連写設定、BSS(ベストショットセレクター)設定、階調補正設定、彩度調整設定、コンバータ設定、露出制御設定、フォーカスモード設定、輪郭強調設定、ブラケティング設定、ノイズリダクション設定と、ズラーッと並ぶ。デジタルもカメラも苦手って人にとってはもう泣きそうと言える。この設定項目の中にさらに細かな項目名が並んでいるのダ、と言うとたぶん泣き出すだろう。加えてこれらとは別にカメラの基本設定をするメニュー項目もあるヨ、とか言ったら血の涙を流しかねない。

 実際、こーゆー項目が無造作(じゃないんでしょうけど)にドバッと並んでいると、さぁE5000の多彩な機能をつかうゼと気合が入っていても、ちょいとゲンナリする。しかも、これら項目名は何となく意味はわかっても、ニコンのカメラ文化独自のものって感じの機能が多く、結局マニュアルを読まないと使いこなせない。ついでに、メニューを表示させた時のアイコンの多くも意味不明だったりして、デジカメ慣れした拙者であっても、もう何度も何度もマニュアルを読み返した。オリンパスやキヤノンのマネをしてくれとは言わないが、もうちょっとメニューや項目を整理できないものだろうか!? カテゴリ分けして階層化・整理するとか、洗練させて欲しいと思って思って止まない俺だ。各項目の機能は、どれも「なるほどコレはなかなか使える」と思えたりするものなので、ひときわ残念である。


 それから、液晶モニタについても少々残念だ。フリーアングル液晶モニタはヒジョーに便利でグレイトなギミックだと感じるが、使っているとなーんか視野角が狭いように感じる。横位置で使えばさほど違和感がないものの、縦位置で使うと両目で均等な明るさで液晶を見られない感覚が強く、何だかストレスを感じる。

 ついでに、液晶画面上に表示されるデータ類が多すぎるような気も。E5000の液晶表示は、詳細データが表示されるモードと、最小限のデータが表示されるモードと、OFFから選べる。液晶を見つつ使うに便利なのは詳細のモードなのだが、そのモードではホワイトバランスの設定からシャッター速度から絞りまで何でもかんでも表示していて、肝心の被写体が見にくくなる。じゃあ最小限のモードにすると、今度はAFフレーム程度しか表示されなくて被写体は見やすくなるものの、データを知るには不便。光学ファインダー右側にあるモノクロ液晶と併用すればいいが、フリーアングル液晶モニタなので(カメラと顔を離したアングルで撮る機会が増えて)、モノクロ液晶を確認できないことも少なくない。詳細表示と通常表示と最小限表示とOFF、みたいな段階を経た表示にして欲しかった。

 総じて感じるのは、外見の印象とはかな~り異なるほどハイエンド指向の強いデジカメだということなのだが、しかし、そーゆーデジカメなのに、なぜこんなに小さくしたのかとも思う。コンパクトでありハイエンドであるってのは非常に嬉しいが、コンパクトにしたために使いにくくなっているよーな気がして残念だ。


使い込むと……

 ネガティブな方向で言えば、E5000は難しいデジカメで、操作性もあんまり良くなくて、デジカメを使う楽しみでもある画質的個性もあまり強くない製品、とか思う俺だ。が、既に一連のハードルは飛び越えた俺。

 すなわち!! マニュアル熟読で難しさ克服!! そして操作にも慣れてスムーズに使用中!! さらに微妙な画質の方向性も徐々に掴みつつある!! とかいうあたりまで使い込むと、E5000ってのはさすがメーカー価格15万円もするハードウェア、時として(腕が良ければいつも)ビシッとキてる写真を撮ることができるのダ!! ってあくまでも自分のレベル内での“イカシた写真”ってコトなのだが、「ん~コレだよこー撮りたかったんだ~」という納得できる写真が撮れる。とか言いつつ客観的に見るとなーんかヘボい作例ばかりで申し訳ない気がしてきたので、話を変えていきたい!!

 使い込んでいくうちに気づいたのは、前述とカブるが、やはり意図して「こう撮ろう」とした時のおもしろさだ。これはレンズ性能なのか画像生成エンジンの傾向なのか、どうもE5000は他のデジカメと比べて非常にシビアな露出設定を求めるようだ。微妙に露出を変えるだけで被写体の表情が大きく変わる。まあ当たり前と言えば当たり前のことだが、よかれと思って画像をうまく処理しちゃってるっぽい今時のデジカメとは違い、何となくリバーサルフィルムを使って撮った時のような難しさがある。そしてうまく撮影できた時の画像の良さは納得できるものであり、こりゃスゲぇという絵が撮れるのであり、このまま写真の話をし続けると拙者の作例のイマイチさが浮き彫りにされて不利なのでまたもや話題を変えていきたい!!

 うわっ、と思ったのは、試しにやってみた長時間露光??シャッター速度を数秒から数十秒などすげー長くして撮影することだ。少しばかりの人工光がある真っ暗闇を撮ってみたら、夜中だっつーのに驚くほど夜中っぽい写真となった。フィルム式カメラと違い、デジカメで長時間露光なんかすると、CCDの特性上、ノイズが多量に写りまくる。最近のデジカメにはノイズ除去機構があって、真っ暗闇を真っ暗闇としてキレイに描写するものもあるが、今度は違和感のある漆黒とか高コントラストになったりしがち。なのだが、E5000の場合、フィルム式カメラでやった長時間露光とまでは行かないものの、非常に自然な階調を持つ長時間露光撮影ができる。もしかしたらこれなら月光写真家のマネゴトっぽいよーなコトもできるかも!? とやや嬉しくなると同時に、そこにフィルム式カメラの感触を見た俺。


 デジタルカメラはヒジョーに便利で好都合な装置で、フィルム代や現像代要らずで、手軽に使えて、汎用性も高い。フィルム式カメラと比べれば、ほとんどの面で安くて簡単で便利だ。その敷居の低さが楽しさに直結している。しかし、それらの都合の良さは、時として撮影者の緊張感や集中力をそぐ。取り直せるからテキトーでもいいやという弛緩もあると思うが、ユーザーに対して好都合であろうとする機能群も原因じゃなかろうか、とか思う。

 E5000もユーザーに対して好都合な自動的機能が多々ある。例えばフルオートで撮れば、その好都合さ楽勝さは他のデジカメと同様だ。が、そこから一歩踏み込み、意図的にE5000を制御し始めた時の感触がおもしろい。微妙な設定変更などがしっかり画像に現れるからだ。大胆な設定変更は失敗写真にダイレクトでつながりまくりとなるが、微妙かつ絶妙な設定制御をすれば予想と結果がピッタリ一致した時の喜びにつながる。こうしたらどうだろう、ああしたらどうなるだろう、そんな姿勢をガツンと受け止めてくれる。ユーザーの意図や設定を受け止め、正直にその結果を出してくれる。

 そこからくる妙味は、フィルム式カメラを使った時の期待と行動と結果の、一連のプロセスの中にあるおもしろみに非常に似ている。期待→撮影→失敗→トホホ、ってのもあるが、期待→撮影→大成功→ウヒヒ!! ってこともある。このあたりの気分的な上がり下がりがフィルム式カメラの感触と似ているのだ。似ているが、デジカメゆえ、そのプロセスを完了するまでの時間がチョー短い。

 E5000は、たぶん複雑だし難しめのデジタルツールだ。デジカメという略語が持つニュアンスとはやや違う、とっつきにくい面が少なくない道具だと感じる。だが、それを積極的に使い、うまく使えた時、写真っつー行為から来る大きな達成感を得られるのだと思う。

 てなわけで、フツーの人にはあんまりお勧めできないよーな気がするE5000だが、くわッと写真に取り組むゼという人には、このデジカメ、かなり使い甲斐……いや取り組み甲斐があるよーに思う。


・ ニコン COOLPIX5000製品情報
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/digital/coolpix5000.htm

2002/01/07 00:00

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